来週の為替相場見通し:『ドル円は157円台後半へと急上昇。来週は米FOMCがメインイベント』(4/27朝)

ドル円(USDJPY)は昨年12/28に記録した安値140.25をボトムに切り返すと、今週末にかけて、約34年ぶり高値となる157.79(1990年5月以来の高値圏)まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『ドル円は157円台後半へと急上昇。来週は米FOMCがメインイベント』(4/27朝)

『ドル円は157円台後半へと急上昇。来週は米FOMCがメインイベント』

〇今週のドル円、中東情勢の緊張感の緩和、米1QコアPCE速報値の上昇等に節目の155円突破
〇更に日銀の政策据え置きと、植田総裁のハト派姿勢、米3月PCEコアデフレーターの好調等に157円台へ
〇ユーロドル、欧州指標好調とECB関係者のタカ派トーンに一時1.0753まで上昇後1.06台に反落
〇ドル円、週末にかけて、約34年ぶり高値となる157.79(1990年5月以来の高値圏)まで急伸
〇テクニカルの地合い極めて強く、介入警戒感の後退や植田総裁の円安容認姿勢もドル円をサポート
〇来週は4/30ー5/1の米FOMCとパウエルFRB議長の記者会見、4月ISM指数、米雇用統計等に注目
〇パウエルFRB議長は極めてタカ派的となる公算が大きく、ドル円にもう一段強い上昇圧力も
〇引き続き、ドル買い円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):155.00ー160.00、(EURUSD):1.0550−1.0800

今週のレビュー(4/22−4/26)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初154.63で寄り付いたあと、早々に週間安値154.46まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)中東情勢を巡る緊張感の緩和(地政学的リスク後退→リスク回避の円買い後退)や、(2)心理的節目155.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(3)オプション勢による大規模ロスカット(155.00に設定されたリバースノックアウトオプションのトリガーヒット→オプション勢による防戦売りの買い戻し)、(4)米1ー3月期コアPCE速報値(結果+3.7%、予想+3.4%)の市場予想を上回る結果、(5)日米金利差拡大に伴うドル買い・円売り(米2年債利回りは昨年11/14以来の高水準となる5.02%へ急上昇、米10年債利回りは昨年11/2以来の高水準となる4.74%へ急上昇)、

(6)日銀金融政策決定会合における現行政策の現状維持決定(無担保コール翌日物誘導目標を0.0%ー0.1%に据え置くことを全会一致で決定。長期国債の買い入れ方針についても前回会合にて決定された内容を踏襲→一部で政策修正の思惑が広がっていたため、現状維持決定を嫌気する形で円売りが進行)、(7)日銀展望リポートの慎重な数値設定(新たに示された26年分のコアCPI見通しが1.9%に設定→2.0%に届かなかったことから緩和政策継続の思惑再燃)、(8)植田日銀総裁による「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」「国債買い入れ、6兆円で続けることに今会合で反対はなかった」「基調的な物価に対して円安は今のところ大きな影響出ていない」とのハト派的な発言、(9)米3月PCEデフレーター(結果+2.7%、予想+2.6%)の市場予想を上回る結果、(10)米3月PCEコアデフレーター(結果+2.8%、予想+2.7%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、週末にかけて、週間高値157.79(1990年5月以来、約34年ぶり高値圏)まで急伸しました。

引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/27午前2時10分現在)では、157.65前後で推移しております。尚、今週発表された米1ー3月期GDP速報値(結果+1.6%、予想+2.4%)は市場予想を大幅に下回る結果(米国におけるスタグフレーション懸念台頭)となりましたが、ドル売りでの反応は限定的となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0656で寄り付いたあと、(1)エストニア中銀ミュラー総裁による「欧州経済が予想通りに発展すれば6月の利下げに続いて年末までにあと数回の利下げが実施されると見込む」とのハト派的な発言や、(2)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「ECBは年内複数回の利下げを行う可能性がある」「6月と7月に連続で利下げすることも選択肢」とのハト派的な発言、(3)欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買いが重石となり、週明け早々に、週間安値1.0623まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)ドイツ4月非製造業PMI速報値(結果53.3、予想50.5)の力強い結果や、(5)ユーロ圏4月総合PMI速報値(結果51.4、予想50.7)の市場予想を上回る結果、

(6)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「インフレが目標に戻る兆しを確認できるまでは利下げはできない」とのタカ派的な発言、(7)ドイツ4月Ifo期待指数(結果89.9、予想は88.9)の市場予想を上回る結果、(8)ドイツ4月Ifo現況指数(結果88.9、予想88.7)の市場予想を上回る結果、(9)ドイツ4月Ifo景気動向指数(結果89.4、予想88.8)の市場予想を上回る結果、(10)ドイツ5月GFK消費者信頼感調査(結果▲24.2、予想▲25.5)の市場予想を上回る結果、(11)米1ー3月期GDP速報値(結果+1.6%、予想+2.4%)の市場予想を下回る結果、(12)日銀金融政策決定会合および植田総裁記者会見のハト派的な結果(ユーロ円急伸→ユーロドル連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.0753まで上昇しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(13)米3月PCEデフレーター(結果+2.7%、予想+2.6%)の市場予想を上回る結果や、(14)米3月PCEコアデフレーター(結果+2.8%、予想+2.7%)の市場予想を上回る結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/27午前2時10分現在)では、1.0695前後まで反落する展開となっております。

来週の見通し(4/29−5/3)

<ドル円相場>
ドル円(USDJPY)は昨年12/28に記録した安値140.25をボトムに切り返すと、今週末にかけて、約34年ぶり高値となる157.79(1990年5月以来の高値圏)まで急伸しました。4時間足・日足・週足・月足の全てにおいて強い買いシグナル「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ観測の後退(米国にてインフレ懸念再燃→利下げ織り込みが年3回から年1回に後退)や、(2)日銀による追加利上げ観測の後退(日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見は総じてハト派的な内容→早期利上げ観測が大幅後退)、

(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード長期化の思惑)、(4)政府・日銀による介入警戒感の大幅後退(イエレン米財務長官は「為替介入は非常にまれで例外的な状況でのみ許容される」と発言するなど、日本の為替介入姿勢を牽制→米国はインフレ抑制に寄与するドル高を容認する構え→一方、植田日銀総裁は会合後の記者会見の中で「基調的な物価に対して円安は今のところ大きな影響出ていない」と円安容認とも受け止められるコメントを発信)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記1を見極める目的で、4/30ー5/1の日程で開催される米FOMCに注目が集まります。米FOMCは6会合連続の政策金利据え置きが見込まれているため、市場参加者の関心はパウエルFRB議長の記者会見における発言に移っています。

ここ最近の労働市場の強さやインフレ指標の粘着さを踏まえれば、パウエルFRB議長の発言は極めてタカ派的となる公算が大きく、状況次第では、NY連銀ウィリアムズ総裁やアトランタ連銀ボスティック総裁が述べたように、「追加利上げの可能性」を滲ませるシナリオも想定されます。その場合、年内利下げ観測が完全に消失し、米長期金利急上昇→米ドル買いの経路で、ドル円にもう一段強い上昇圧力が加わりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米FOMC以外にも、米4月ISM製造業景況指数、米4月雇用統計、米4月ISM非製造業景況指数が予定されるなど、米国側の重要イベント目白押しの1週間となります

来週の予想レンジ(USDJPY):155.00ー160.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は3/8に記録した戻り高値1.0982をトップに反落に転じると、4/16に一時1.0601(昨年11/2以来、約5カ月ぶり安値圏)まで急落しました。今週は幾分持ち直す動きとなりましたが、アップサイドより複数のレジスタンスポイントが垂れ下がってきていることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ECBによる6月利下げ観測の高まり(6月の利下げ開始を皮切りにその後も年内複数回の追加利下げが織り込まれる展開)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(利下げ開始時期が来年以降にずれ込む恐れ)、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

来週4/30に予定されているユーロ圏4月消費者物価指数や、ユーロ圏第1四半期GDP速報値が市場予想を下回る場合には、ECBによる連続利下げ(6月、7月の連続利下げ)を織り込む形で、ユーロドルに強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(まずは心理的節目1.0600の下方ブレイクを試すシナリオを想定。同水準の下抜けに成功できれば、その後はロスカットを巻き込みながら、心理的節目1.0500や、昨年安値1.0448まで一気に急落する恐れあり)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0550−1.0800

注:ポイント要約は編集部

『ドル円は157円台後半へと急上昇。来週は米FOMCがメインイベント』

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