トルコリラ円見通し 手掛かり難での持ち合い続く、財務相は地金のリラ転用促進政策を準備(22/2/9)

8.44円まで下げたところは買い拾われたものの8.50円を超えたところでは戻り売りにつかまっており、動意に欠ける展開だった。

トルコリラ円見通し 手掛かり難での持ち合い続く、財務相は地金のリラ転用促進政策を準備(22/2/9)

手掛かり難での持ち合い続く、財務相は地金のリラ転用促進政策を準備

〇トルコリラ円、2/8は8.52から8.44の取引、レンジ狭めた持ち合い続く
〇対ドル、13リラ台での持ち合い1か月経過、次回中銀会合控え手がかり探る展開
〇トルコ財務省、英国にて投資家に経済政策説明、インフレ抑制が最大課題との認識示す
〇地金のリラ転用促進政策、今週末新たに発表か
〇8.47以上での推移中は上昇余地ありとし、8.53超えからは8.56前後への上昇を想定する
〇8.47割れからは8.43前後への下落を想定、8.43以下は買い戻しも入りやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の2月8日は8.52円から8.44円(ベンダーによっては8.40円や8.34円の安値提示も見られた)の取引レンジ、9日早朝の終値は8.51円で前日終値の8.45円からは0.06円の円安リラ高だった。
1月3日に安値8.13円から高値9.00円へ戻した後はこの高安範囲での推移。1月20日にトルコ中銀が利下げを見送った際に8.61円まで上昇して以降は2月1日に8.67円を付けたものの下落し、8.40円以下では買い拾われてレンジを狭めた形での持ち合いが続いている。
2月8日はトルコ関連の主要指標発表や欧米の重要イベントもなく手掛かり難だったが、8.44円まで下げたところは買い拾われたものの8.50円を超えたところでは戻り売りにつかまっており、動意に欠ける展開だった。

【対ドルでも動意薄い】

ドル/トルコリラの13.66リラから13.54リラの取引レンジ、9日早朝終値は13.55リラで前日終値の15.57リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
12月23日への急騰一巡で1月10日に13.93リラへ下げた後は13リラ台の持ち合いが続いているが、13.10リラ台では売られて13.70リラ前後では買い戻され徐々にレンジを狭めている。
持ち合いも1か月を経過しておりそろそろ持ち合い放れを試したいところだが、当面は2月10日のトルコ失業率、2月11日の鉱工業生産や小売売上高等を見ながら2月17日の次回トルコ中銀金融政策決定会合へ向かい手掛かりを探る展開と思われる。

【トルコ財務相、英国で投資家に経済政策説明会】

トルコのネバティ財務相は2月8日にロンドンで投資家や銀行関係者らと会合を持ちトルコの経済政策やインフレ見通し、リラ安抑制等について説明したと報じられた。
インフレ抑制が最大の政治課題との認識を示し、今後の見通しやリラ防衛のためのリラ預金保護政策等について投資家の理解を求めたようだ。投資家はリラ防衛のための外貨準備高の余力や介入等の規模等への説明を求めたようだが、財務相はこれについては明言を避けたという。
ネバティ財務相はまた今週末には家計の金保有をリラに交換する新たな枠組みを発表すると述べたようだ。トルコの家計における金保有は2500億-3500億ドル規模であり、金をリラに交換することを推進する新たな制度を発表するという。また通貨スワップ協定についてはアブダビ、サウジアラビア、イスラエルとの間で協議を行っているとしたがその詳細には触れなかったという。

【概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクル】

トルコルラ円は概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルで推移している。
2020年11月6日底以降では、4か月目の2021年3月8日安値、3か月目となる6月2日と6月21日の両安値によるダブルボトム、9月の利下げ再開時につけた9月27日安値、さらに3か月目となる12月20日の史上最安値が前回のサイクルボトムとなっている。
12月20日から12月23日へ急反騰したところから1月3日安値8.13円まで失速して戻り幅の凡そ6割を削ったが、その後はほぼ横ばいの推移にとどまっており反騰入りのきっかけを得ずに持ち合いを続けている。持ち合いは売り買いの力関係が拮抗していることを示すのでバランスを崩す強気材料がサプライズ的に飛び込んでくれば持ち合い上放れへ進む可能性も秘めているのだが、下落一服での横ばいはトレンド転換へ進めずに時間調整につかまっている状況を示しており持ち合い下放れから一段安へ進むことも多い。

仮に1月3日安値を割り込んで持ち合い下放れに入れば、概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルとしては12月20日安値から3か月目の3月後半からやや長引けば4月中盤にかけての間まで安値形成期が延びる可能性もある。
1月から3月の間はトルコ中銀等は追加利下げを急がずに様子を見る姿勢を強調しているが、2023年の大統領選挙での再選を目指して何とかインフレを克服したいエルドアン大統領が追加利下げ強行へ走る可能性もあるところであり、2月17日の中銀金融政策決定会合を前後して利下げ圧力を強めるような発言が出てくると持ち合い下放れが早まる可能性もあると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月3日午後安値を前回のサイクルボトムとして上昇したが、2月4日夜高値の後は伸びずに8日早朝へ続落したために2月8日午前時点では2月4日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日午後から10日午後にかけての間への下落を想定した。
2月8日夕刻へ安値を切り下げたが、その後の反騰で2月4日夜高値を上抜いたため、現状は2月8日夕安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたところと思われる。高値形成期は9日夜から11日深夜にかけての間想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、戻りは短命の可能性もあるので8.48円割れを弱気転換注意として8日夕安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして11日午後から15日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、2月8日夜の反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月8日夜の上昇で70ポイントへ到達してからはやや下げている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合は下落再開注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.47円を下値支持線、8.53円を上値抵線とする。
(2)8.47円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.53円超えからは8.56円前後への上昇を想定する。8.56円以上は反落注意とするが、8.50円以上での推移なら10日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.47円割れからは8.43円前後への下落を想定する。8.43円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、8.45円以下での推移なら10日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 2/4時点 (1/28時点 716.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 2/4時点 (1/28時点 105.3億ドル)
2月11日
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 3.3%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 11.4%)
 16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.3%)
 16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 16.3%)
 16:00 12月 経常収支 (11月 -26.81億ドル)
2月15日
 17:00 1月 財政収支 (12月 -1457.4億リラ)
2月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 2/11時点


注:ポイント要約は編集部

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