ドル円見通し 米長期債利回りの一段高で円安進行、1月28日高値に迫る(22/2/9)

ドル円は2月8日深夜への上昇で115.62円を付けて1月28日高値115.68円へ迫った。

ドル円見通し 米長期債利回りの一段高で円安進行、1月28日高値に迫る(22/2/9)

ドル円見通し 米長期債利回りの一段高で円安進行、1月28日高値に迫る

〇ドル円、2/8深夜115.62付け、1/28高値115.68に迫る
〇米10年債利回り4連騰で2019年11月以来高水準、金利差によるドル円上昇感強める
〇12月米貿易収支、輸入物価高で過去最大の赤字額
〇今週10日には1月米消費者物価指数発表予定
〇115.20以上での推移中は上向きとし、115.75超えからは116円台序盤を目指すとみる
〇115.20割れから続落に入る場合、2/7夜安値114.90試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は2月8日深夜への上昇で115.62円を付けて1月28日高値115.68円へ迫った。1月27日早朝の米FOMCが金融引き締め姿勢を強めたことによるドル高を背景とした上昇が1月28日夕高値115.68円で一服となり2月2日夜安値114.14円まで下落、1月24日夜安値からの上昇幅に対する凡そ3分の2を削ったが、2月3日の英中銀による利上げとECBのややタカ派姿勢へのシフト、2月4日の米雇用統計における就業者増加数や平均時給の伸び等を手掛かりに米長期債利回りが4日連続の上昇となったことでドル円も2月2日夜安値を押し目として上昇再開に入り1月28日夕高値超えを試している。

【米10年債利回りが4連騰で2019年11月以来の水準に】

2月8日の米10年債利回りは前日比0.05%上昇の1.97%となり、2019年11月7日以来の高水準に達した。2月3日からは4日連続の上昇だが、2月4日に1月19日高値を超えて一段高入りとなり2月7日は小幅な上昇だったが8日に4連騰となったことで勢い付いている印象だ。
30年債利回りは前日比0.04%上昇の2.26%となり2021年6月4日以来の高水準となった。昨年3月に2.45%を付けたところから昨年12月3日の1.68%まで低下してきたが、その後はV時反騰に入っている。
2年債利回りは前日比0.06%上昇の1.35%となり、2020年2月以来の高水準に達した。
世界規模の感染拡大が収まらないもののウィズコロナ政策による景気回復は継続しており、人手不足とモノ不足によるインフレ進行が深刻化していることで主要国中銀による金融引き締め姿勢への転換が急がれている。米長期債利回りのみならず独仏英豪等の長期債利回り上昇も顕著となっていることは金融緩和政策が長期化している日銀とのスタンスの差から円安要因となり、特に日米金利差によるドル円の上昇感を強めている。

2月8日には米商務省による12月の米貿易収支の発表があったが、807億3000万ドルの赤字となり市場予想の830億ドルの赤字よりは少なかったものの、2021年の通年では前年比18.3%増の1兆907億ドルの赤字となり2020年を超えて過去最大の赤字額となった。景気回復に伴う需要増と原油高騰やサプライチェーン停滞による輸入物価高が貿易赤字の拡大を招いていることは、米連銀による金融引き締めを急がせる要因と受け止められた。
2月10日には1月の米消費者物価指数の発表があるが、市場の事前予想では前月比で0.4%上昇と伸びがやや鈍化すると見込まれる中、前年同月比は7.3%上昇となり12月の7.0%から伸びが加速すると見込まれている。

【二重の三角持ち合いから上放れ期】

日足チャートでは1月4日高値と1月28日高値を結ぶラインを上値抵抗線として11月30日安値と1月24日安値を結ぶラインを下値支持線とする三角持ち合いを形成し、60分足チャートでは1月28日夕高値と2月4日夜高値を結ぶラインを上値抵抗線として1月24日夜安値と2月2日夜安値を結ぶラインを下値支持線とした三角持ち合いの様相だった。
2月8日夜の上昇により日足チャート及び60分足チャートの三角持ち合いにおける上値抵抗線を突破してきている。1月28日高値115.68円を超えて続伸に入れば1月4日高値116.34円超えを目指す可能性も高まるところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、2月2日夜安値114.14円を起点とした上昇が2月4日夜高値115.42円で一服となり7日夜に115円をいったん割り込んだが、その後の反騰で4日夜高値を超えてきているため、2月7日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入っていると思われる。高値形成期は2月9日夜から11日深夜にかけての間と想定されるのでまだ一段高余地ありとみる。115.20円割れからは弱気転換注意とするが弱気サイクル入りは7日夜安値割れからとする。

60分足の一目均衡表では2月7日夜の下落から遅行スパンが一時的に悪化したものの8日夜の上昇で再び好転しており、先行スパンの上部へ若干潜り込んだところから再び上抜けてきている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上回っての推移が続くうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とし、弱気転換は先行スパン転落からとする。

60分足の相対力指数は2月7日夜に30ポイント台へ低下したところから切り返している。70ポイント前後に抵抗感があるものの、70ポイント超えから続伸に入る場合は勢いが増して80ポイントを試す可能性もあるとみる。50ポイント以上での推移中は上向きとし、50ポイント割れからはいったん下げに入る可能性があると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、115.20円を下値支持線、115.75円を上値抵抗線とする。
(2)115.20円以上での推移中は上向きとし、115.75円超えからは116円台序盤(116.00円から116.25円)を目指すとみる。116.20円以上は反落注意とするが、115.50円以上での推移が続くなら10日の日中も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)115.20円を割り込んでもその後に115.50円を超えるところからは上昇再開とするが、115.20円割れから続落に入る場合は2月7日夜安値114.90円試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

2/9(水)
14:30 (日) 中村日銀審議委員、記者会見
16:00 (独) 12月 貿易収支 (11月 120億ユーロ、予想 110億ユーロ)
16:00 (独) 12月 経常収支 (11月 189億ユーロ、予想 200億ユーロ)
22:10 (英) 英中銀チーフエコノミスト・ピル氏、講演
24:00 (米) 12月 卸売売上高 前月比 (11月 1.3%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:30 (米) ボウマンFRB理事、講演
26:00 (加) マックレム・カナダ中銀総裁、講演
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省10年債入札

2/10(木)
ロシアとベラルーシの合同軍事演習(2/20まで)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前月比 (12月 -0.2%、予想 0.4%)
08:50 (日) 1月 国内企業物価指数 前年同月比 (12月 8.5%、予想 8.2%)
09:01 (英) 1月 英RICS住宅価格指数 (12月 69、予想 69)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.5%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 7.0%、予想 7.3%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 0.6%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 消費者物価コア指数 前年同月比 (12月 5.5%、予想 5.9%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.8万件、予想 23.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 162.8万人、予想 162.5万人)
27:00 (米) 財務省30年債入札
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 5.50%、予想 6.00%)
28:00 (米) 1月 月次財政収支 (12月 -213億ドル、予想 250億ドル)
29:15 (英) ベイリー英中銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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