来週の為替相場見通し:『ドル円は為替介入およびFOMCを経て急落するも続落余地は限定的か』(5/4朝)

ドル円は今週初に記録した約34年振り高値160.24をトップに反落に転じると、週末にかけて一時151.87まで急落するなど、週間値幅が8円を超える歴史的大相場となりました。

来週の為替相場見通し:『ドル円は為替介入およびFOMCを経て急落するも続落余地は限定的か』(5/4朝)

『ドル円は為替介入およびFOMCを経て急落するも続落余地は限定的か』

〇今週のドル円、週初本邦祝日中の薄商いを狙った仕掛け的なドル買い・円売りに高値160.24まで急騰
〇その後は為替介入と思しき動き、米FOMCのハト派的な結果等に、週末にかけ安値151.87まで急落
〇週末は米金利の下げ幅縮小等に153円近辺まで持ち直す動き
〇ユーロドル米雇用統計発表後に一時1.08台に急伸するも、1.07台半ばに押し戻され越週
〇ドル円、週間値幅が8円を超える歴史的大相場
〇テクニカルには地合は崩れず、急ピッチな上昇に対する一時的なポジション調整か
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い、政府・日銀の介入余力の乏しさ等がドル円を支持
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):151.00ー156.00、(EURUSD):1.0600−1.0900

今週のレビュー(4/29−5/3)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初157.82で寄り付いたあと、(1)前週末金曜日に開催された日銀金融政策決定会合および植田日銀総裁記者会見の予想外のハト派的な結果や、(2)前週末金曜日に発表された米3月PCEコアデフレーター(結果+2.8%、予想+2.7%)の市場予想を上回る結果、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの活発化期待、(4)本邦祝日中の薄商いを狙った仕掛け的なドル買い・円売りが支えとなり、週明け早々に週間高値160.24(約34年ぶり高値圏)まで急騰しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)政府・日銀による為替介入と思しきドル売り・円買い(日銀当座預金見通しから類推すると4/29分と5/1分合算で8.5兆円規模)や、(6)上記5を背景としたロング勢の大規模ロスカット、(7)米4月CB消費者信頼感指数(結果97.0、予想104.0)の市場予想を下回る結果、(8)米3月JOLT求人件数(結果848.8万人、予想868.0万人)の市場予想を下回る結果、(9)米4月ISM製造業景況指数(結果49.2、予想50.1)の冴えない結果、(10)米FOMCのハト派的な結果(予想通り政策金利の据え置きが決定された他、バランスシート・ランオフ減速開始の声明あり)、(11)パウエルFRB議長による「次の行動が利上げになる可能性は低い」とのハト派的な発言、(12)米4月非農業部門雇用者数(結果+17.5万人、予想+24.0万人)の市場予想を下回る結果、(13)米4月失業率(結果3.9%、予想3.8%)の前月比悪化、(14)米4月平均時給(結果+0.2%、予想+0.3%)の市場予想を下回る結果、(15)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、週末にかけて、週間安値151.87まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(16)米4月ISM非製造業・仕入れ価格指数(結果59.2、予想55.0)の市場予想を上回る結果や、(17)ボウマンFRB理事による「データ次第では追加利上げの用意がある」とのタカ派的な発言、(18)米金利の低下幅縮小が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5/4午前4時00分現在)では、152.93前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0695で寄り付いたあと、(1)ユーロ圏4月サービス業信頼感(結果+6.0、予想+6.8)の市場予想を下回る結果や、(2)ユーロ圏4月鉱工業信頼感(結果▲10.5、予想▲8.5)の市場予想を下回る結果、(3)ユーロ圏4月経済信頼感(結果95.6、予想96.7)の市場予想を下回る結果、(4)ドイツ4月消費者物価指数速報値(結果+2.2%、予想+2.3%)の市場予想を下回る結果、(5)オランダ中銀クノット総裁による「利下げ開始時期は6月が現実的だ」「ECBの経済見通しから外れなければ6月以降も利下げを続けることが可能」とのハト派的な発言、(6)デギンドスECB副総裁による「インフレに関して正しい方向に進んでいる」とのハト派的な発言、(7)スペイン中銀デコス総裁による「6月ECB理事会での利下げ開始はほぼ確実」とのハト派的な発言、(8)月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフロー、(9)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、週央にかけて、週間安値1.0649まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(10)ユーロ圏1ー3月期GDP速報値(結果+0.3%、予想+0.1%)の市場予想を上回る結果や、(11)ユーロ圏4月コアCPI速報値(結果+2.7%、予想+2.6%)の市場予想を上回る結果、(12)米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見のハト派的な結果、(13)米4月雇用統計の冴えない結果、(14)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.0812まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(15)米4月ISM非製造業・仕入れ価格指数の市場予想を上回る結果や、(16)ボウマンFRB理事による「データ次第では追加利上げの用意がある」とのタカ派的な発言、(17)米金利上昇に伴うドル買い再開が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/4午前4時00分現在)では、1.0766前後まで押し戻される動きとなっております。

来週の見通し(5/6−5/10)

<ドル円相場>
ドル円(USDJPY)は今週初に記録した約34年振り高値160.24をトップに反落に転じると、週末にかけて一時151.87まで急落するなど、週間値幅が8円を超える歴史的大相場となりました。日本政府・日銀による為替介入がサプライズ的に入ったことに加えて、注目された米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見が予想外にハト派的なトーンだったことが背景と考えられます。とはいえ、日足ローソク足が依然として主要テクニカルポイントの上側に位置していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合は崩れていない(急ピッチな上昇に対する一時的なポジション調整)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見はハト派的な結果となったが、週末に発表された米4月ISM非製造業・仕入れ価格指数は市場予想を大幅に上回る結果。ボウマンFRB理事からも「データ次第では追加利上げの用意がある」とのタカ派的な発言あり→現時点では年1回の利下げが市場で織り込まれているが、インフレ指標に鈍化の兆しが見られない場合は、利下げ開始時期が来年以降にずれ込む可能性あり)や、(2)日銀による追加利上げ実施の難しさ(円安に伴う輸入インフレ拡大の影響で物価高に賃金上昇が追い付かない実質賃金低下状態が発生→追加利上げ観測後退)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(金融引き締め継続姿勢の米国と、金融緩和から脱却できない日本とのコントラスト→日米金利差に着目したドル買い・円売り要因)、

(4)政府・日銀による介入余力の乏しさ(日銀当座預金見通しから類推すると、4/29の介入規模は約5.5兆円、5/1の介入規模は3兆円。3月末時点の外貨準備高が約24兆円規模のため、政府・日銀による介入余力は15.5兆円程度)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。来週は重要イベント通過後の材料出尽くし感に加えて、日米共に経済イベントの発表に乏しいことから、上記ファンダメンタルズに沿った動き(日米金利差を着目したドル買い・円売り→今週の下げ幅を段階的に取り戻す動き)が再開すると推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):151.00ー156.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は4/16に記録した安値1.0601(昨年11/2以来、約5カ月ぶり安値)をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、一時1.0812まで急伸しました。米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見が予想外にハト派的な結果となり、米金利が低下したことが背景(米ドル主導の動き)と考えられます。但し、一目均衡表の雲がアップサイドから急ピッチに垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、トレンド転換は生じていない(足元の上昇は下落トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整→上値余地は乏しく一巡後の反落リスクに要警戒)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ECBによる利下げ観測の高まり(今週もECB当局者よりハト派的な発言が複数あり→6月利下げ開始を皮切りにその後も年内複数回の追加利下げを実施する公算大)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(利下げ開始時期が来年以降にずれ込む恐れ)、(3)上記1、2を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(年内複数回の利下げを織り込む欧州と、年内利下げ見送りの可能性も浮上しつつある米国とのコントラスト→欧米金利差に着目したユーロ売り・ドル買い要因)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。来週は重要イベント通過後の材料出尽くし感の影響で、ファンダメンタルズ(欧米金利差)に沿った値動きに戻ると推察されるため、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はユーロ圏3月生産者物価指数や、ユーロ圏3月小売売上高が予定されております。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0600−1.0900

注:ポイント要約は編集部

『ドル円は為替介入およびFOMCを経て急落するも続落余地は限定的か』

ドル円日足

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