ドル円 高値圏でもみあうも上値は重いか(週報2月第1週)

今週は経済指標はあまり重要度の高いものは無い週となりますが、ECB関係者の講演が多くユーロの動きがドル(ユーロドル)、円(ユーロ円)の動きに影響を与えそうです。

ドル円 高値圏でもみあうも上値は重いか(週報2月第1週)

高値圏でもみあうも上値は重いか

〇先週のドル円、財務官の円安デメリット言及などを背景に水曜に114.16レベルに切り下げ
〇その後ラガルド総裁発言でユーロ円上昇、米雇用統計の強い結果などもあり週初め水準へと行って来いに
〇今週はECB関係者の講演多く、ユーロの動きがドル、円の動きに影響を与えそう
〇ドルでは10日の米国1月CPIが最大の注目材料、7%超えなら米国引き締め思惑も高まったまま
〇今週は114.50レベルをサポートに115.50レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は週前半はECB理事会に向けてユーロドルでのユーロ買い・ドル売りが出ていたこと、また財務官が円安のデメリットに言及したことも重なって水曜NY市場前場には114.16レベルまで水準を切り下げました。しかしECB理事会後のラガルド総裁発言でユーロ円も大幅上昇したこと、金曜の米国雇用統計で非農業部門雇用者数は予想よりもかなり強かったことを受け、ほぼ週初の水準へと行って来いの動きとなりましたが、115円台半ばのドル売りオーダーが残っていたことから、やや勢いを失っての週末クローズとなりました。

今週は経済指標はあまり重要度の高いものは無い週となりますが、ECB関係者の講演が多くユーロの動きがドル(ユーロドル)、円(ユーロ円)の動きに影響を与えそうです。ECBの年内利上げ予想が広がったことでユーロ買いばかりに目が向いていますが、ウクライナ問題の緊迫度も上がっていて安心は出来ません。詳細はユーロの週報に書きますが、オリンピック開催期間中にはロシアも動かないだろうという程度の安心材料しかない状況です。

いっぽうでドルの材料では10日の米国1月CPIが最大の注目材料です。前年比で前回の7.0%から更に上昇して7.3%という予想が出ていますが、予想より低くても7%超えの数字が出てくるようであれば米国の引き締め思惑も高まったままでしょう。金曜時点のFF先物の取引状況を金利に換算したものは以下の通りです。

高値圏でもみあうも上値は重いか

下から2022年3月、6月、9月、12月限となりますが、すでに6月時点で0.795%と3回の利上げを織り込んでいます。3月FOMCが初回の利上げはほぼ確定でしょうから、その後5月、6月と3回のFOMC連続での利上げを織り込んでいることとなります。2022年末も1.36%と5回の利上げは既に織り込んでいますが、今週のCPIの数字次第では6回に近い水準へと上昇していく可能性もあるでしょう。

いっぽうで現在の米国の株価水準はこうした利上げ前倒しと回数の増加を織り込んでの水準であることを考えると思いのほか強いという感じです。ただウクライナ情勢に急変があれば株式市場は簡単に崩れるでしょうから、米国株式市場も外部要因に左右される展開となるでしょう。

ただ、上述した通りで中国とロシアの首脳会談が済み、オリンピックが開かれている間は何も無いとすると2月20日まではウクライナからの悪材料は出にくいと考えられ、その間は米金利上昇によるドル買いと欧州の金利上昇によるユーロ買い(ドル売り)が相殺され、ドルとしての方向性は出にくいという流れになると考えています。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週示した11月高値と安値をそれぞれ起点とした上昇チャンネル(青)の中での動きとなっていて、11月安値を起点とした上昇N波動(ピンク)によるフィボナッチエクスパンションでターゲットを計算すると50%エクスパンションが115.37、61.8%エクスパンションが115.82と現状は、これら2つの上値の目途を考えることとなります。

いっぽうで下値はラガルドECB総裁発言後の安値114.74レベルが最初のサポート、その次はECB理事会前にテクニカルに買いが出た114.47レベルとなります。上のターゲット、下のターゲットとも水準的にはキリがよくありませんので、今週はキリのよいところで114.50レベルをサポートに115.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

2月7日(月)
**:** NZ市場休場
10:45 中国1月MarkItサービス業PMI
16:00 ドイツ12月鉱工業生産
24:45 ラガルドECB総裁講演 ☆

2月8日(火)
08:50 本邦12月貿易収支(国際収支)
09:01 英国1月小売売上高
09:30 豪州1月企業景況感
11:15 NZ中銀総裁講演
16:45 フランス12月貿易収支
22:30 米国12月貿易収支
26:00 フランス中銀総裁講演 ☆

2月9日(水)
08:30 豪州2月消費者信頼感
16:00 ドイツ12月貿易収支
18:30 南ア1月企業信頼感
24:00 米国12月卸売売上高
24:30 ボウマンFRB理事講演 ☆
24:30 週間原油在庫統計
26:00 カナダ中銀総裁講演
26:00 クリーブランド連銀総裁講演 ☆

2月10日(木)
09:01 英国1月住宅価格
16:00 トルコ12月失業率
21:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:30 フランス中銀総裁講演
22:15 レーンECB理事講演 ☆
22:30 米国1月CPI ☆
22:30 米国新規失業保険申請件数
29:15 英中銀総裁講演 ☆

2月11日(金)
**:** 東京市場休場
07:30 豪中銀総裁議会証言
16:00 ドイツ1月CPI
16:00 英国10〜12月期GDP速報値 ☆
16:00 英国12月鉱工業生産、貿易収支
16:00 トルコ12月貿易収支
17:05 エルダーソンECB理事講演 ☆
24:00 米国2月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月31日(月)
ドル円は週明け早朝から日経先物の上昇とともに円売りが先行、昼過ぎには115.59レベルの高値をつけましたが金曜高値はトライしきれず、上値が重たい地合いで海外市場入り。NY市場ではユーロドルが上昇する動きに引っ張られて114.92レベルまで下押し後に若干戻して引けました。

2月1日(火)
ドル円は前日の流れを継続してドル売りの流れが続きました。東京市場前場に財務官が円安のデメリットに言及したこともドルの上値を抑える要因となりました。欧州市場に入りユーロドル上昇の動きでドル円は東京市場の安値を割り込みテクニカルな売りも加わると114.56レベルまで下落。その後は安値圏でもみあいのまま引けました。

2月2日(水)
ドル円は東京市場では若干底堅いものの動意薄の展開が続きました。欧州市場に入ると上値が重くなり、前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながらNY前場にはADPの数字がマイナスとなったことも重なって114.15レベルまで水準を切り下げました。引けにかけては買い戻しも出て114円台半ばへと戻したものの上値が重たい地合いのまま引けました。

2月3日(木)
ドル円は東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場ではイベントを前に前日売った向きのポジション調整と思われる買い戻しが見られました。その後も底堅い流れが続きNY市場ではラガルドECB総裁会見を受けたユーロ円の大幅上昇も手伝って114.99レベルまで買われての高値引けとなりました。

2月4日(金)
ドル円は東京市場では底堅い日経平均とともにじり高となっていましたが、欧州市場ではダウ先に売りが見られたことから朝方の水準へと押してNY市場入りとなりました。米国雇用統計はADPがマイナスだったことから弱い数字が出るのではと警戒されていましたが、予想を大きく上回る+46.7万人となったことから115.43レベルまで上伸しました。引けにかけては週末前のポジション調整も見られ115.14レベルで引けました。

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