米指標にらみつつもドルは底堅い値動きか(週報2月第1週)

先週のドル/円相場は「行って来い」。一時114円前半まで下落する局面も観測されたが、じわじわと持ち直し終わってみれば、元のレベルを回復している。

米指標にらみつつもドルは底堅い値動きか(週報2月第1週)

米指標にらみつつもドルは底堅い値動きか

〇先週のドル円、週間高値115.59、一時114円前半へ下落するが持ち直す
〇週末の米雇用統計、予想超える好数字でドル買い支援
〇115.68を高値、114.16を下値とした1.5円レンジ形成、期待された上放れには至らず
〇今週は1月米消費者物価指数、2月ミシガン大消費者信頼感指数速報値など発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは114.20-116.50、115.43や115.68が最初のターゲット

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は「行って来い」。一時114円前半まで下落する局面も観測されたが、じわじわと持ち直し終わってみれば、元のレベルを回復している。

前週末は、8回目の投票でようやくイタリアの大統領を選出。現職のマッタレッラ大統領の再選が決定されたほか、30日早朝に北朝鮮が今年7回目となる「飛翔体」を発射したことで、週明けの市場でも一部で話題となっていた。
そうした状況下、ドル/円は115.25円前後で寄り付いたのち、115.59円の週間高値を示現。しかし、週の半ばに掛けては一転下値を試す展開となり、114円前半へと1円以上も反落している。ただ、下値を確認後はVの字型の回復を見せ、終わってみれば「行って来い」。発表された米経済指標の結果などに翻弄されるなか、週末NYは115.20円レベルで取引を終え、越週している。
なお、そうしたなか豪中銀が「0.10%に据え置き」と発表したほか、ECBも同じく決定会合で「政策金利の据え置き」を発表した反面、英中銀は政策金利を0.25%引き上げて年0.5%にすると発表。昨年12月の前回から2会合続けて利上げを実施していた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米ファンダメンタルズ」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、1日に発表されたISM製造業景況指数が予想を上回る好数字となるなか、翌2日に発表されたADP雇用統計は事前予想値プラス18万人程度に対し、実数値はまさかのマイナス30万人。米国の連続利上げ期待を吹き飛ばすネガティブサプライズで、為替市場ではハシゴを外されたドル売りが一時殺到する結果となった。しかし、「新型コロナ・オミクロン株の影響で数字はよくない」といった見方が台頭し、期待感が乏しかった週末の米雇用統計は逆に予想を上回る好数字。一転してドル買いを支援し、対円でもドル持ち直しの一助となっていたことは間違いない。

対して後者は、米国防総省が「近く東欧などに3000人を派兵する」旨の発表を行う反面、ロシアのグルシコ外務次官からは「破壊的な措置」とのコメントが聞かれるなど、依然としてウクライナをめぐる緊迫したムードに変化なし。そうしたなか「米露外相による電話会談」や「仏露首脳の電話会談」などが相次ぎ行われたものの、目に見える格好での大きな進展は観測されていない。むしろロシアは、五輪開会式とあわせた対面式の「中露首脳会談」で中国の支持を得ることに成功。今後さらに軍事的な攻勢をかける可能性が取り沙汰されていた。

<< 今週の見通し >>

短期的に見て、ドル/円は1月28日の115.68円を目先高値、今月2日の114.16円を同下値とした1.5円レンジを形成。先週末には発表された良好な米雇用統計を受けてレンジの上放れも期待されたが、結局超えていくことは出来なかった。ただ、リスクという意味ではドル高方向にバイアスが掛かりそうで、前記した115.68円をしっかり超えれば116円台回復。年初来高値の116.35円も視界内に捉えられかねないかもしれない。
各国の金利情勢については、「利上げに積極的」なのは米国だけにとどまらず、すでに利上げに踏み切っている英国のほか、豪州やECBも方向性はそちらサイド。対して、改めて指摘するまでもなく日本は「利上げに消極的」という、かなり異質な存在だ。いわゆる金利差だけが市場変動のすべてではないものの、基本的な円安基調はまだしばらく続く可能性も否定できない。ただし、ウクライナ情勢が為替のみならず金融市場全般の波乱要因で、「平和の祭典」オリンピック期間中とはいえ、ロシアの軍事侵攻などにも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円は2週間ほど推移していた115円レベルを上限としたレンジを超えたものの、いまひとつ値は走らずにレベルを切り上げる格好で、新たな新レンジを形成しつつある。今週はまず、足もとの115円挟みの新レンジをきちんと抜けていくことが出来るのかに注目したい。先週末高値の115.43円や115.68円などを超えていけば、年初来高値116.35円が再び視界内に捉えられる反面、114.16円の安値を下回り底割れした場合には113円半ばがターゲットに。

材料的に見た場合、中長期的には、ウクライナをめぐっても「日米欧vs中露」という構図になりつつある「中国情勢」、弱毒性ながら感染者の多さから病床逼迫やインフラへの影響が懸念されている「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
そうしたなか今週は、1月の消費者物価指数や2月のミシガン大消費者信頼感指数速報値などが発表される見込み。また危険性が増している感のあるウクライナを、独仏外相が7-8日に訪問する見込みであるなど、国際情勢についても目の離せない一週間となりそうだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、114.20-116.50円。ドル高・円安については、115.43円や115.68円が最初のターゲット。抜ければ116円台回復から、116.35円も意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週末にかけ再び上回ってきた移動平均の21日線をめぐる攻防に注目。ちなみに、少しずつレベルを切り下げる展開が見込まれており、週末には114円台前半まで切り下がりそう。果たしてサポートとして寄与するのか注目だ。

米指標にらみつつもドルは底堅い値動きか

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