先週のレンジ内でやや上値が重いもみあい(週報1月第3週)

先週のドル円は月曜高値で金曜安値と週を通してドル安・円高が進行し週間レンジも2円38銭と11月のオミクロン株によるリスクオフ以来の下げ幅となりました。

先週のレンジ内でやや上値が重いもみあい(週報1月第3週)

先週のレンジ内でやや上値が重いもみあい

〇先週のドル円、ドル安・円高が進行し週間レンジ2円38銭で11月以来の下げ幅に
〇今週も先週に続き株式市場を見ながらのリスクオフと巻き返しが円相場の主要な材料に
〇今週は金曜に本邦12月CPIが発表、予想は前年比0.9%と急速に上昇
〇明日の日銀会合後の黒田総裁会見、過度な円安に対して警戒するような発言なら円高材料に
〇今週は113.80レベルをサポートに114.80レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は月曜高値で金曜安値と週を通してドル安・円高が進行し週間レンジも2円38銭と11月のオミクロン株によるリスクオフ以来の下げ幅となりました。前回はオミクロン株、今回は米国の利上げ前倒し思惑とテーマは変わったものの株式市場における上値圧力がリスクオフの円買いの主な材料です。また後述しますがテクニカルにもいくつかのターゲットを着実につけに行く中で、ドル買いに回っていた短期筋のストップオーダーも巻き込んで思いのほか下げたという流れになりました。

今週は連日経済指標の発表は続くもののそれほど重要度の高いものはありませんし、既に週末から1月FOMCを前にブラックアウト期間に入ったことで、FRB関係者の発言等もありません。先週に続いて株式市場を見ながらのリスクオフとその巻き返しが円相場にとっての主要な材料となることに変わりはないでしょう。

その株式市場ですがNYダウも日経平均も上値が重たいと同時に下値も堅く、先物ベースでは日経平均が28000円、NYダウが35700ドルを割り込むと急速に反発する動きが見られました。今週も同水準で下支えされるかどうかを見ながら、もし下抜けするようであれば一段のリスクオフによる円高相場につながりやすいという流れです。

また相場材料とはなりにくいでしょうが、今週は金曜に本邦12月CPIが発表され予想は前年比で0.9%と昨年1月CPIが−0.6%だったことを考えると急速に上昇してきています。海外主要国ほどでは無いものの日本でもインフレは率は着実に上昇し、日銀がターゲットとしている2.0%はまったく予定していなかったエネルギー価格急騰や輸入品価格の上昇といった動きが影響して、このまま行くと年内には見ることになるのではないかと思われます。

明日火曜には日銀会合後の黒田総裁会見で本邦CPIに関しての質問が出ると思いますし、輸入物価と関連して円安の悪影響についても質問が出る可能性があります。インフレが進んでいない時には円安は問題無いという姿勢でしたが、ひょっとするとここからの過度な円安に対しては警戒するような発言につながる可能性があり、その場合は円高が進む材料となるでしょう。今週もどちらかというと円高に動く材料の方が多そうだという点には注意です。

テクニカルにはいつもの日足チャートを見てみましょう。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週は大きく動いたことで11月末安値と年始高値の38.2%押しから61.8%押しまで次々と達成、78.6%(61.8%の平方根)押しとなる113.33まで残り15銭にまで迫る動きとなりました。押しや戻しを考える際の最後の砦が78.6%(61.8%の平方根)と考えていますので、かろうじて下げに転換したとまでは言えないという水準の安値でした。

しかし、これまではピンクのラインで示した上昇ウェッジの中での動きとなっていましたが、先週の下げでサポートラインを下抜けたことで現状では戻り売りを考えやすい展開になってきたと言えます。戻しの限界点としては大台の115円というところですが、おそらく114円台後半では既に売りが出やすい流れにあると言えるでしょう。

下値はごく短期的には既に先週見た安値ということになりそうですから、今週は株価次第とは言うものの下値もそれなりに買いが出てくると見ています。今週は113.80レベルをサポートに114.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月17日(月)
**:** NY市場休場
**:** 日銀会合(〜18日)
11:00 中国10〜12月期GDP
11:00 中国12月鉱工業生産、小売売上高
**:** ユーロ圏財務相会合

1月18日(火)
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
16:00 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感
22:30 米国1月NY連銀製造業景況指数
24:00 米国1月NAHB住宅市場指数
26:00 フランス中銀総裁講演
**:** EU財務相会合

1月19日(水)
08:30 豪州1月消費者信頼感
16:00 英国12月CPI
16:00 ドイツ12月CPI
17:00 南ア12月CPI
19:00 ユーロ圏11月建設支出
20:00 南ア11月小売売上高
22:30 米国12月住宅着工・建築許可

1月20日(木)
08:50 本邦12月貿易収支(通関)
09:01 英国12月住宅価格
09:30 豪州12月失業率
16:00 ドイツ12月PPI
16:45 フランス1月企業景況感
19:00 ユーロ圏12月CPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 ECB理事会議事要旨公表
22:30 米国1月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 米国12月中古住宅販売
25:00 週間原油在庫統計

1月21日(金)
08:30 本邦12月CPI
08:50 日銀会合議事要旨公表
09:01 英国1月GFK消費者信頼感
16:00 英国12月小売売上高
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
24:00 米国12月景気先行指数

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月10日(月)
東京市場が休場となったアジア市場のドル円は株価が底堅く始まったことから買いが先行したものの115.85レベル止まりで上値が重たい印象で欧州市場入り。欧州市場では米露によるウクライナをめぐる会談を懸念してユーロが対ドル、対円で売られる流れとなり、ドル円はユーロ円とともに下げに転じました。NY市場ではダウの大幅安後の買い戻しの動きとともに115.04レベルまで下押しし、若干戻しての引けとなりました。

1月11日(火)
ドル円は前日NY後場買い戻しの流れを受けて底堅い展開で始まりました。東京後場にやや下押しする場面も見られましたが、パウエルFRB議長再指名の公聴会においてタカ派寄り発言が出るのではとの思惑に改めて買いが入り、NY前場に115.68レベルの高値をつけました。公聴会での発言は想定内でタカ派寄りでも無かったことから引けにかけてはじり安となり東京朝方の水準に押して引けました。

1月12日(水)
ドル円は注目の米国CPIを前にNY市場まではほとんど動きが見られませんでした。CPIは予想通りの年率7.0%となったことで、10年債利回りはやや低下、ドル円もドル売りで反応しました。その後週間安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながら一段安となり114.38レベルまで下げた後にやや戻して引けました。

1月13日(木)
ドル円は前日NY市場の下げを受け終日じりじりと水準を下げる展開が続きました。NY市場で発表された新規失業保険の申請が増えていた事もドル売り材料とされましたが、1日を通しての動きはそれほど大きくはなく安値114.00レベルを見たあとは若干戻して引けました。

1月14日(金)
ドル円は東京市場では日経平均が大幅安となる中で売りが先行したものの株価に買い戻しが入ると買い戻し。欧州市場ではダウ先が下げると改めて売りとなり、一時113.48レベルの安値をつけましたが、引けにかけてはダウの買い戻しと米国3連休週末前のポジション調整から東京早朝の水準へと戻して引けました。

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