クリスマス前でもみあいを継続
〇先週のドル円、FOMCでのテーパリング加速と3回利上げで高値114.28レベルまで値を上げる
〇週後半は米国の対中制裁とオミクロン株警戒感によるリスクオフで113.15レベルまで下押し
〇当面のドル円材料は為替市場での金利上昇=ドル高か、株式市場での金利上昇=株安→円高か
〇ドル円はやや上値が重いもみあいという流れのままで一年を終わる可能性が高い
〇今週は113.10レベルをサポートに114.10レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通し
先週のドル円は、金融政策が集中する中、最も注目度の高いFOMCに向けて短期筋のポジション調整も入った様子でじり高の動きでFOMCを迎えました。FOMCではテーパリング加速は予想通り、金利見通しで示された2022年中に3回の利上げはタカ派的ではあったものの、市場の見通しに寄せてきたというイメージで高値は114.28レベルまで。週後半の金融政策イベントはドル円の動きには特に影響は見られず、木曜の米国による対中制裁のヘッドラインと金曜のオミクロン株の感染拡大に対して改めて警戒感が広がったことによるリスクオフの動きから113.15レベルまで下押し後にやや戻しての週末クローズとなりました。
上記の通り、先週はFOMCとオミクロン株への警戒感の2つが主要な材料となり、それに米国の対中制裁発言がリスクオフ要因となったことで、トータルで考えるとややドル円は上値が重たくなってきた一週間だったと思います。
FOMCではFRBもインフレに対する警戒感を高め、前回9月FOMC時点での2022年金利見通し0.5回(現状維持と利上げが同数)から3回利上げへと一気に引き締め姿勢へと舵を切ってきたと言えます。この2022年3回利上げは既にFOMC前のFF先物で取引されていた水準と一致していることもあり、それほどのサプライズでは無かったものの、FRBとしては比較的思い切ったタカ派見通しを示してきたと言えます。
先週のFOMCに至るまで、パウエルFRB議長は着実にタカ派寄りへと発言をシフトさせてきたことから市場との対話は取れていましたし、またこれで3月にテーパリング終了、その後の3回利上げというコースが見えてきたことで、当面は米国の金融政策は今回のFOMC結果を前提に進められていくという見方がされます。そうなると、為替市場は金利上昇=ドル高という見方となるのか、あるいは株式市場で金利上昇=株安→円高という動きになるのか、その時々でドル円が見る材料は変化していくというところでしょうか。
いまのところ米国株式市場は金利要因ではなく、対中制裁といった地政学的なリスクとオミクロン株に対しての警戒感が上値を抑える材料となっていますが、米国の主要株価指数は先週の上げでも前月につけた史上最高値をトライしきれなかった動きから、年末に向けては上値が重くなりやすいのではないかと考えています。
そうなると、ドル円はやや上値が重いもみあいというこれまでに見てきたような流れのままで一年を終わる可能性が高そうです。特に今週は24日がクリスマスで東京を除いた主要市場が休場となる関係で基本的に週後半は動きが出にくくなりますし、週明けも東京勢は年末に向けてと、方向感は出にくい時期になってきました。
テクニカルにはいつもの日足チャートを見てみましょう。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
チャートの形状としては既に11月高値が年内高値で確定し、短期的には12月初めの安値からの上昇チャンネル(ピンク)内での動きとなっています。高値をつけた後の下げから上昇チャンネルとなるとコンティニュエイションパターンのフラッグと見ることも出来、そうであるとすると、フラッグを下抜けて下げる動きが再開しやすいと考えることとなります。
ただ年初来高値からのレジスタンスライン(青)と組み合わせた場合には三角もちあいの形成中とも見ることが出来ます。今週はそれぞれのラインの水準が113円台前半と114円台前半に位置し、先週のレンジよりも若干低い水準にありますので、基本はこのレンジ内での動きとなり、どちらかに抜けた場合にはその方向に動きやすくなるというイメージです。
クリスマスによる海外市場の休場もありますので、今週は113.10レベルをサポートに114.10レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月20日(月)
24:00 米国11月景気先行指数
12月21日(火)
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値 ☆
12月22日(水)
08:50 日銀会合議事要旨公表
16:00 英国7〜9月期GDP改定値 ☆
16:45 フランス11月PPI
22:30 米国7〜9月期GDP確報値 ☆
24:00 米国12月消費者信頼感 ☆
24:00 米国11月中古住宅販売
24:30 週間原油在庫統計
12月23日(木)
**:** 黒田日銀総裁講演
16:00 ドイツ11月輸入物価
22:30 米国11月個人所得・消費支出 ☆
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国11月耐久財受注
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感
24:00 米国11月新築住宅販売
**:** 米国取引所短縮取引
12月24日(金)
**:** 東京を除く主要市場は休場 ☆
08:30 本邦11月CPI
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月13日(月)
ドル円は週明けも方向感に欠け前週末下げた動きに対しての買い戻しが先行し、欧州市場では一時113.73レベルの日中高値をつけていました。しかしNY市場では英国でオミクロン株による死者が確認されジョンソン首相も警戒感を強める発言を行ったことで、株安によるリスクオフの円買いから東京朝方の水準に押し、引けにかけてはやや戻す流れでした。
12月14日(火)
ドル円は東京市場では前日海外市場の下げに対する調整で買いが先行、欧州市場序盤には前日高値を超え113.75レベルをつけました。欧州市場ではユーロドルの買いに引っ張られてNY朝方には113.43レベルと日中安値をつけましたが引けにかけてはユーロドルとともにドル買いの動きとなって113.76レベルとわずかに日中高値を更新して引けました。
12月15日(水)
ドル円はFOMCを前に思いのほか短期筋のドル売りポジションが残っていた様子でポジション調整と思われるドル買いが続きました。日経平均・先物が底堅い動きとなっていたこともドル円、クロス円での円売り要因となりました。注目のFOMCは予想通りテーパリングを加速させ来年6月末から3月末で終了、また金利見通しは2022年中に3回の利上げと予想よりも1回多い利上げという結果になりました。このことから為替市場ではドル買いで反応、その後米国株が上昇したことから引けにかけてはドル円、クロス円で円売りが加速することとなりました。
12月16日(木)
中銀会合ラッシュの一日でしたが時系列ではトルコ中銀が予想通り1%の利下げ、英中銀は想定外の利上げ、ECBはPEPPは3月末で終了し、APPを第二四半期から増額という一時的な緩和拡大で予想通りとなりました。ドル円はNY市場前場まで蚊帳の外状態で114.10レベルをもみあいの中心として徐々にレンジを狭める動きとなっていましたが、米国が中国の研究施設に対して制裁を科すとのニュースをきっかけに、それまで上昇していた株式市場が下落に転じ、それとともにリスクオフの円買いから113.56レベルまで下押しし安値圏でもみあいの引けとなりました。
12月17日(金)
金曜のドル円は売りが先行した日経平均株価とともに上値が重たい流れが続き、NY市場前場には一時113.16レベルの週間安値をつけました。後場にはユーロドルの下げによるドル買いの動きから週末前のポジション調整も入り東京朝方の水準へと行って来いの動きで引けました。日銀会合は注目度も低かったですが、特に反応は見られませんでした。
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オーダー/ポジション状況
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