Xマス週で動意乏しい、基本はレンジか(週報12月第3週)

先週のドル/円相場でドルは小幅に続伸。12月に入りはじめて114円台をつける局面も観測されていた。

Xマス週で動意乏しい、基本はレンジか(週報12月第3週)

Xマス週で動意乏しい、基本はレンジか

〇先週のドル円、週半ばに114円台をつけるもその後大きく値を崩し113.70前後で越週
〇FOMCでは「テーパリング加速」決定と「22年中3回の金利引き上げ見込み」発表
〇英中銀は「8対1で金利の引き上げ決定」と発表、ポンドが対円などで一時急騰
〇今週は、7-9月期GDP確報値や11月PCEデフレーターなどの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、112.50-114.70

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場でドルは小幅に続伸。12月に入りはじめて114円台をつける局面も観測されていた。

前週末、G7外相会合が開催され、そのなかで「中国の威圧的な経済政策への懸念で一致」したことが明らかにされたうえ、南アフリカの大統領によるコロナ感染が発表されるなど、新型コロナへの警戒感が改めて取り沙汰されていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は113.30円前後で寄り付いたのち、緩やかな右肩上がり。週の半ばにかけて1円程度上昇し、週間高値である114.27円を示現している。しかし、そののち113円前半まで大きく値を崩すなど、完全なる「行って来い」。ただ、最終盤に掛けてはやや切り返し、週末NYは結局113.70円前後で取引を終え越週している。
なお、トルコリラは先週も引き続き弱含み。対円では再び史上最安値を更新しただけでなく、初めての7円割れ。一時6.50円近くと、大きく値を下げていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米欧英の金融政策」と「新型コロナ」について。
前者は、注目の米FOMCで、米国債などの資産を購入する「量的緩和縮小の加速」が決定されたうえ、「22年中に計3回の政策金利の引き上げを見込む」といった内容も伝えられるなど予想以上の「タカ派」に。それに対し、ECBは「コロナ対応策を3月いっぱいで終了」するなど金利の正常化に動くとともに、「景気支援策は継続する」旨を明らかにしている。こちらは、ほぼ予想通りの内容だった。一方、英中銀は「8対1で金利の引き上げを決定」と発表したことがポジティブ・サプライズ。ポンドが対円などで一時急騰する要因になっていたことは間違いない。

対して後者は、前述したような南ア大統領が感染したことに続き、ECBから「デギンドス副総裁もコロナに罹患した」と発表されるなど、欧州地域を中心にオミクロン株の感染拡大が依然として続く。そのためイタリアが非常事態宣言を3月末まで延長する方針を示したほか、オランダも行動制限措置をクリスマス期間も継続すると発表していた。また、当初は「感染力は強いが弱毒性」−−などといったある種の楽観論が市場を席巻していた面を否めないが、「英国でオミクロン株感染による初の死者を確認」と伝えられると論調が一変。再び警戒感が急速に高まってきた感もある。依然として予断を許さないようだ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、予想以上の「タカ派的な内容」となった米FOMCを好感して一時ドル高が進行するも、続かなかった。若干微妙ではあるがドルは上値トライ、レンジの上抜けを試すも失敗に終わった感を否めない。今週は先週までに大きなイベントを消化したうえ、週末にクリスマスを控えていることで、基本的にはレンジ取引か。先週改めて形成した113.15-114.27円という1円強のレンジのなかでの一進一退をたどる可能性が高そうだ。
一方、先週の米FOMCは強気な内容。いわゆる金利差が相場決定要因のすべてではないものの、それでも日米などの金利差に着目した場合、やはり円を積極的には買いにくい。そうしたなか、今週注視されているのが依然として予断を許さないオミクロン株の情勢と、クリスマスあるいは年末年始を控えての広義需給要因。いずれにしても、参加者が少なくなっていることもあり、基本はレンジだが、場合によっては「薄商い=乱高下」をたどる展開にも注意しておきたい。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は過去2週間程度推移していた112.54-113.95円の1.5円レンジを一時上抜けたが、結局回帰。レンジをわずかに拡大させただけにとどまった。ちなみに、大きなレンジは112.54-114.27円だが、下値を切り上げた短期的には113.15-114.27円という小さいレンジを形成しつつある。まずは後者の1円強という小さいレンジをめぐる攻防に注目だ。抜けるとすれば上方向という気がしているものの、調整色を強めれば、ドルは底割れする展開も。

材料的に見た場合、中長期的には、対立が単なる「米vs中」ではなく「日米欧vs中露」といった様相を呈しつつある「中国情勢」、クリスマスに向けた感染のさらなる拡大も警戒される「新型コロナ・オミクロン株問題」、「原油供給問題」−−が注視されている。
そうしたなか今週は、7-9月期GDP確報値や11月のPCEデフレーターといった米経済指標が発表されるものの、総じていえば週間を通し材料は少なめ。また週末にかけては海外が休場となり、クリスマスのロングウィークエンドを迎えることもあり、どこまで参加者が動意を見せるのか未知数だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.50-114.70円。ドル高・円安については、まず先週高値の114.27円が最初の抵抗。上抜けた場合にはフィボナッチを参考にした114.40円や114.80-85円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末に記録した安値113.15円の攻防に注目。割り込めば112円台突入を否定できないが、それでも112円半ばでは下げ止まりそう。

Xマス週で動意乏しい、基本はレンジか

ドル円日足

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