ユーロ 英中銀現状維持でユーロも安値更新か(週報11月第1週)

先週のユーロは、久しぶりに振れが大きい一週間となりました。

ユーロ 英中銀現状維持でユーロも安値更新か(週報11月第1週)

英中銀現状維持でユーロも安値更新か

〇先週のユーロドル、ラガルドECB総裁のタカ派発言で週間高値1.1692レベルへ上昇
〇翌日のロンドン・フィキシングで急反落、1.1535レベルまで急速に水準切り下げる
〇4日の英中銀MPC、コンセンサスは政策金利引き上げだが現状維持の可能性が高いとみる
〇イベントが無ければ防戦買いもあるが、イベントによる下げなら一気に大台1.15を抜けていくイメージ
〇今週は1.1470レベルをサポートに、1.1590レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、久しぶりに振れが大きい一週間となりました。週初に弱い10〜12月期の見通しを示したドイツ連銀月報に反応したユーロ売りの後はECB理事会まで安値圏でのもみあいが続きました。ECB理事会自体では動かなかったものの、ラガルドECB総裁が景気に対して楽観的だったことやインフレの高止まりが長期化するとの発言をしたことがタカ派的と取られユーロドルは1.16水準から週間高値となった1.1692レベルへと上昇しました。

しかし翌日の月末ロンドン・フィキシングでは実需による大口のユーロドル売りが出たことからユーロドルは高値圏のもみあいから急反落し、今度は週間安値1.1535レベルまで急速に水準を切り下げました。年初来安値が10月12日につけた1.1525レベルですから、残り10pipsまで迫り改めてユーロ売りを伺う展開での月末クローズとなりました。

今週は3日のFOMCでテーパリングが決定され、4日の英中銀MPCで利上げが行われるというのが現在のコンセンサスです。英中銀の利上げ思惑は10月下旬から急速に強まり、現在史上最低の0.1%の政策金利をまずは0.25%へと引き上げるというコンセンサスですが、前回会合まで利上げを支持するMPC委員がいなかったのに、そこまで急速に変わるものかという点は個人的にはやや疑問です。利上げ予想派は英国におけるインフレターゲットの上限を超えている点を気にしているとも思えますが、エネルギー価格をはじめインフレ率の上昇は全ての国にとって同様で英国だけが特別というわけではありません。

コンセンサスと言っても、利上げと現状維持がほぼ五分五分といったところですから、個人的には今週のMPCではそこまで急な展開は無く現状維持の可能性の方が高いのではないかという気がします。仮に利上げまで行けばポンド買い、現状維持ならばポンド売りで反応しそうですが、いずれにしても9人の委員のうち4:5で利上げか現状維持が決まるというところでしょうから、急騰や急落といった事態にはならないかもしれません。

逆に3:6とか2:8でどちらかに決まる場合には、思いの外ポンドが大きく動く可能性があります。またポンドの動きがドルの動きとしてユーロドルに影響するのか、あるいはユーロポンドのクロスとしてユーロはポンドと逆の動きになるのかは悩ましいですが、大きく動く場合には追随、動きが鈍い場合にはクロスでの動きという流れになると考えています。そして、ユーロドルにとって一番動きが大きくなるのは現状維持が思いのほか多数でポンドが売られ、ユーロドルが追随売りの流れの中で年初来安値を割り込むという展開です。その場合にはユーロドルは1.15の大台を割り込んで1.14台後半を目指す展開になりそうです。

テクニカルには、まず週足チャートをご覧ください。

英中銀現状維持でユーロも安値更新か

昨年安値と今年高値の半値押しを示してありますが1.1492といかにもトライしそうな水準にあることがわかります。大台1.15手前で買いが出るということも考えられますが、イベントが無ければ防戦買いも出そうではあるものの、イベントによる下げとなると一気に大台を抜けていくというイメージです。

日足チャートは以下です。

英中銀現状維持でユーロも安値更新か 2枚目の画像

9月高値と10月高値を結ぶレジスタンスラインが新たに引けるようになりましたので、同ラインと下側は7月以降の安値のラインとで緩やかな下降ウェッジの中での動きが想定しやすくなりました。太いピンクの水平線が週足で見た半値のラインです。

今週はウェッジの中で下降トレンドを継続しながら1.1492をトライし、さらに下抜けていく流れを考え、1.1470レベルをサポートに、1.1590レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。ただ、英中銀の利上げが多数の賛成で決まる場合には、このシナリオは崩れそうですから、その点にだけは注意してください。

今週のコラム

今週もポンドの日足を見ておきます。

英中銀現状維持でユーロも安値更新か 3枚目の画像

月末のユーロドルの下げ同様にポンドドルでも水準を下げ、9月安値と10月高値の38.2%押しの水準へと下げています。半値押しも1.3624と決して遠くありませんので、MPC後にポンドが下げるようであれば、61.8%押しの1.3574を視野に入れる可能性があります。

また先週は英中銀の利上げ思惑が高まったものの、北アイルランドとアイルランド間の物流の国境問題は引き続き欧州との争点となっていますし、利上げ思惑以外には積極的なポンド買い材料は無いということが現実に近いと思うのですが、どうなるでしょうか。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月1日(月)
**:** 欧州市場冬時間移行 ☆
16:00 ドイツ9月小売売上高
18:30 英国10月製造業PMI

11月2日(火)
17:50 フランス10月製造業PMI
17:55 ドイツ10月製造業PMI
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI

11月3日(水)
16:00 英国10月住宅価格
18:30 英国10月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏9月失業率
27:00 FOMC結果公表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆
**:** 英中銀MPC(〜4日)

11月4日(木)
16:00 ドイツ9月製造業新規受注
17:50 フランス10月サービス業PMI
17:55 ドイツ10月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏10月サービス業PMI
18:30 英国10月建設業PMI
19:00 ユーロ圏9月PPI
21:00 英中銀MPC結果発表、議事要旨公表 ☆

11月5日(金)
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
16:45 フランス9月鉱工業生産
17:30 オーストリア中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏9月小売売上高
21:30 米国10月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月25日(月)
ユーロドルは東京前場はユーロ円の買いと金価格上昇などを材料に買いが先行しましたが1.1665レベルまでと前からの高値圏は抜けられず自立反転。欧州市場では弱いドイツの経済指標や弱い見通しを示したドイツ連銀月報に反応したユーロ売りが続き1.1591レベルまで水準を下げた後にやや戻して引けました。

10月26日(火)
ユーロドルは東京市場ではドル買いの動きがユーロの上値を抑えていましたが、リスクオンの動きがユーロ円の買いとなっていたことから動きは鈍いものでした。欧州市場に入り英中銀が利上げに踏み切るとの思惑が広がり、ポンド買いとともにユーロドルにも買いが入りましたが、NY市場ではポンド、ユーロともドル買いに押され日中安値を更新、ユーロドルは1.1585レベルまで下押し後にやや戻して引けました。

10月27日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤にユーロ円の下げとともに売りが先行したものの下げきれず。その後NY市場ではドル売りの流れとともに買い戻しが入ったものの上げきれずと、1.16を挟んで安値圏でもみあいのまま1日を終わりました。

10月28日(木)
ユーロドルはECB理事会直後までは週初からの安値圏でもみあいを続けていましたが、ラガルドECB総裁が高止まりするインフレが予想より長く続くと発言したことをきっかけにユーロ買いで反応。金融政策に関する発言は言われているほどタカ派ではありませんが、もみあいを上抜けたことでテクニカルな買いも出た様子でした。NY昼前に1.1692レベルの高値を見て若干押しての引けとなりました。

10月29日(金)
ユーロドルはドル買いの動きとともにじり安の展開が続いていましたが、ロンドン・フィキシングで大口の売りがストップオーダーも巻き込んで、1.1535レベルと年初来安値に迫る水準にまで売りが強まりました。引けにかけてはやや戻したものの、ECB理事会後の上げ幅を全て失い、改めて売り目線となった月末でした。

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