ユーロドルは下抜けで一段安となりやすい
〇先週のユーロドル、水曜に1.1529レベルで2020年7月以来の安値に
〇ユーロドルの水準はまだかなり高い位置にあり、ドル円に比べるとドル安地合い
〇エネルギー価格高騰による米国の利上げ思惑前倒しでドル買い・ユーロ売りの流れが定着
〇2020年安値と2021年高値の半値押しとなる1.1492が当面のターゲットに
〇今週は1.1500レベルをサポート、1.1625レベルをレジスタンスと、ユーロの下げが継続しやすい週
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、週初こそ9月下旬以降の下げに対して調整の買い戻しが先行したものの、その後は欧州株の下げによるユーロ売りと米金利上昇によるドル買いが重なったことで、水曜には一時1.1529レベルと2020年7月以来の安値を見ることとなりました。
ドル円は金曜には2020年高値を上抜けたことを考えるとユーロドルの水準はまだかなり高い位置にあり、ドル円に比べるとドル安地合いにあることがわかります。これは昨年後半はドル安であると同時に円安でもあり、ユーロ円の上昇もユーロドル下支えの要因となっていたこともあります。今年に入ってからはドル円が米金利の上下に素直に反応しやすかった(日銀のテーパリングはしばらくは無い)いっぽうで、ユーロドルはECBのテーパリング思惑なども絡み合った動きだったと言えます。
そして、9月に入ってからは9月FOMCで米国の利上げ前倒し思惑が急速に膨らみ、ドル買い・ユーロ売りの流れが定着、テクニカルにもユーロ売りが出やすくなったと言えます。米国の利上げ思惑前倒しの最大の要因はエネルギー価格の高騰だと思いますので、これは別途上げたコラムをご覧ください。ユーロドルのテクニカルですが、長期のリバーサルパターンを形成してきています。今週も週足チャートからご覧ください。
ピンクの水平線で示した昨年9月〜11月の安値圏がネックラインとなり頭が2つあるヘッド&ショルダー型のリバーサル(反転)パターンを形成し、下に抜けつつある段階です。赤の水平線で示した2020年安値と2021年高値の半値押しとなる1.1492が当面のターゲットになってくると見てよいでしょう。
次に日足チャートです。
ピンクの水平線が先ほどの週足で示したネックラインですが、青のラインで示した拡散型のもみあいと仮定することも依然として可能な状況にあり、そうだとすると過去に見てきた新値更新後に思いのほか戻し、そこからさらに下げるというパターンを繰り返す可能性は否定できません。しかし直近のドル高の動きを考えるとユーロドルも今回は素直にユーロ売りが継続しやすいものと見ています。上値については8月安値の1.1663レベルまでは先週も戻せませんでしたので、引き続き1.16台前半がレジスタンスとなりやすいでしょう。
今週は大台1.1500レベルをサポートに、1.1625レベルをレジスタンスと、ユーロの下げが継続しやすい週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見てみましょう。
ユーロドルでもドル高の動きとはなっているもののドル円での動きが早く、ユーロ円もここ数日で大きく上昇してきました。
以前引いた7月の戻り高値と9月高値を結んだレジスタンスライン(ピンク)を残してありますが、9月末に続いて今回も反落するのか上抜けるのか微妙な水準に上げてきていることがわかります。
テクニカルにはこのレジスタンスを明確に抜けないとユーロ円の一段高は見込みにくいのですが、仮に抜けても6月高値と8月安値の半値戻した131.02と7月の戻り高値と重なっているため、大きく上に抜けていくといった動きにはなりにくいと見ています。まずはレジスタンスラインを抜けられるかどうかが今週の注目点です。
10月12日(火)
08:01 英国9月小売売上高
15:00 英国9月失業率
18:00 ドイツ10月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏10月ZEW景況感
10月13日(水)
15:00 ドイツ9月CPI
15:00 英国8月鉱工業生産、貿易収支
18:00 ユーロ8月鉱工業生産
27:00 FOMC議事録公表 ☆
10月14日(木)
08:01 英国9月住宅価格
10月15日(金)
15:45 フランス9月CPI
18:00 ユーロ圏8月貿易収支
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月4日(月)
ユーロドルは東京市場ではドル買いの動きからユーロ売りが先行しましたが、ドル円とともにユーロ円の買いも強まったことから上昇、NY市場朝方には1.1640レベルの高値をつけました。その後はダウの下げによりユーロ円が水準を下げ、ユーロドルもやや押して1日を終えました。
10月5日(火)
ユーロドルは東京市場ではドル買いの動きに沿ったユーロ売りとなっていましたが、その後は横ばい、NY市場ではダウが大きく反発し前日高値を超える動きになるとドル円とともにユーロ円にも買いが目立ち、ユーロドルも底堅い動きとなりました。
10月6日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル高の流れの中でやや売りが先行していましたが、欧州市場に入り欧州株式市場の下げとともにユーロは対ドル、対円で下落、欧州市場昼前には1.1529レベルと安値を広げました。その後は株式市場に買い戻しが出たことからやや買い戻されての引けとなりました。
10月7日(木)
ユーロドルは終日動きが鈍く1.15台半ばを中心とした狭い値幅でのもみあいが続きました。1日の値幅も25pipsに留まりました。
10月8日(金)
ユーロドルは東京市場では若干上値が重い程度で目立った動きはありませんでしたが、欧州市場に入ってからのドル売りの動きでユーロ買いに動き、NY市場では雇用統計直後はドル売りによるユーロ買い、その後はユーロ円でのユーロ買いも重なって底堅い地合いで引けたものの、値動きは鈍いままでした。
ディスクレーマー
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