今週はユーロも横方向へのもみあい
〇先週のユーロ、週初が安値となり木曜に高値をつけやや押しての週末クローズ
〇コロナ感染者数は主要国で増加するも、ワクチンで感染者減と楽観的な見通しか
〇今週も米金利動向を見ながらドルの動きがユーロドルにも影響するという見方
〇材料的にはユーロ高を見込むものなく、米金利同様当面は横方向の動きとなるか
〇今週は1.1825レベルをサポートに、1.1950レベルをレジスタンスとする動き
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、前週安値からの買い戻しの動きが中心となりましたが、ドル円同様に米金利の動きを見てのドルの動きになっていたと言えます。一週間としては前週からの流れを受け、週初が安値となり木曜に高値をつけた後にやや押しての週末クローズという動きです。
ドル円週報にも書いた通りですが、ユーロドルも米金利が低下する中でのユーロ買い(ドル売り)でしたが、それに加えてドル円はポジションの偏り、ユーロは4月に入ってからの緊急プログラムによる債券購入を過大評価した短期筋の売りポジション巻き返しが重なったという見方が出来るでしょう。材料的にはユーロ安材料ではあるものの先週時点で織り込み済み、また新型コロナ感染者もロックダウンが続く中でもドイツや、フランスなど主要国で増えていますが、今後はワクチン接種の拡がりで感染者は減っていくという、先行する英国のイメージを重ねて楽観的な見通しが支配的な様子です。
材料的には先週も今週もそれほど大きなものが出て来ない指標予定の狭間の一週間となりますので、今週も基本的には米金利動向を見ながらドルの動きがユーロドルにも影響するという見方でよさそうです。その米金利ですがここに来てそれまでの上昇から横方向への動きとなっています。米国10年債利回りの日足チャートをご覧ください。
3月後半には2度ほど金利上昇の波がありましたが、上がりきらずに先週は金利低下の流れとなっていることがわかります。このまま低下し続けると見るよりは、ピンクの水平線で示したレンジ(1.584%〜1.765%)の中で横方向に動きやすい流れです。米国経済指標、特にCPIに反応する動きもありそうですが、それでもこのレンジを抜けてくるとも思えません。
そうなると、ユーロドルも基本的に横方向に動きやすいと見ることが自然です。ユーロドルの日足チャートをご覧ください。
先々週に安値をつけてからのユーロ上昇は明確ですが、それでも年初からの上下しながらの下降トレンドが反転したというほどの上昇ではありません。上昇に転じたというには少なくとも3月中旬に2度トライして上がりきらなかった1.20の大台乗せが必要ですが、材料的にはそこまでのユーロ高を見込むものはありません。
しかし短期的な安値も既に見た可能性は高く、米金利同様に当面は横方向の動きとなりやすいと見てよいでしょう。既に3月中旬にもみあった水準に戻してきたことを考えると、当時のレンジの中でのもみあいを考えられそうです。米金利とテクニカルな観点から今週は1.1825レベルをサポートに、1.1950レベルをレジスタンスとする動きを見ておきます。
今週のコラム
今週はDAX(ドイツ株価指数)のチャートを見てみます。
NYダウは先週金曜に史上最高値更新となりましたが、DAXは4月初めに高値をつけて以降は高値をやや切り下げる動きとなっています。ユーロドルの動きとの相関は無いもののドイツの景気回復状況を考える上では参考になります。
為替市場では感染者数増加を無視しているに等しいですが、株式市場では若干の懸念を持っている動きとなっています。為替市場との相関は低いものの、今後のドイツ景気の回復を考えていく上で時々見ておくことをお勧めします。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
4月12日(月)
18:00 ユーロ圏2月小売売上高
4月13日(火)
08:01 英国3月小売売上高
15:00 英国2月鉱工業生産、貿易収支
18:00 ドイツ4月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏4月ZEW景況感
4月14日(水)
16:00 デギンドスECB副総裁講演
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
26:00 シュナーベルECB理事講演
4月15日(木)
15:00 ドイツ3月CPI
15:45 フランス3月CPI
4月16日(金)
18:00 ユーロ圏3月CPI
18:00 ユーロ圏2月貿易収支
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月5日(月)
週明け月曜はイースターマンデーで欧州市場が連休となっていたため、ユーロドルは欧州市場序盤に参加者が少ない中でポンド買いの動きがユーロポンドでも出ていたためユーロは売りが先行しました。しかしNY市場に入ってからは欧州通貨全面高の動きとなり、テクニカルにも金曜高値を上抜けた動きも重なって1.1820レベルまで上伸後、高値圏での引けとなりました。
4月6日(火)
ユーロドルは東京市場から欧州市場昼頃まで1.1810を中心としてかなり狭い値幅でまったく動意のない展開が続きました。その後はドル円同様に米金利低下を材料としたドル売り・ユーロ買いの流れが続き1.1878レベルまで上昇し高値引けとなりました。
4月7日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入り強い経済指標をきっかけにじり高、NY市場前場には1.1915レベルの高値をつけました。しかしNY後場以降は米金利上昇とともにユーロ売りとなり1.1861レベルまで押して安値引けとなりました。
4月8日(木)
ユーロドルは東京市場では底堅いものの小動き、欧州市場に入りドル円の売りがユーロ円にも波及して下押しする場面もありましたが東京時間の安値は抜けられず。その後はドル安の動きとなったことから、ユーロドルもNY市場で1.1928レベルの高値をつけた後、若干押して引けました。
4月9日(金)
ユーロドルも基本的にドルの動きとしてドル円と歩調を揃えていました。東京市場からNY朝方まではじり安、1.1867レベルの安値をつけた後はやや戻して引けました。ユーロに比べドル円の上昇ペースが速かったこともあってユーロ円は週の高値圏に近づいて引けました。
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