今週はもみあい、ドル高回帰には時間が必要(週報4月第2週)

先週のドル円は前週の110.97レベルを高値に若干上値の重たい地合いでの週明けとなりました。

今週はもみあい、ドル高回帰には時間が必要(週報4月第2週)

今週はもみあい、ドル高回帰には時間が必要

〇先週のドル円、月火とNY市場の開始時間に大きく水準を下げる動きに、木曜には109.00の安値をつけた
〇基本的には米金利に沿う動きだが、時間帯的に投機筋の利食い売りの可能性も
〇今週発表のベージュブックと米国CPIの重要度は高いが方向感を変えるものではないか
〇基本的には米金利の動きを見つつ経済指標や要人の発言に注視
〇今週は109.00レベルをサポートに、110.00レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は前週の110.97レベルを高値に若干上値の重たい地合いでの週明けとなりましたが、月曜、火曜と連日NY市場の始まる時間に大きく水準を切り下げる動きが見られ、短期的な高値を前週に確認した格好となりました。その後も上値が重く木曜には109.00レベルの安値を見た後にやや戻すこととなりました。

動きとしては米金利低下の動きとシンクロしていましたが、月・火・木ともにドル売りが始まったのが東京20時台からNY前場にかけての時間でした。どうも大口で取引していた同じ投機筋による利食い売りではないかというのが個人的な憶測です。週末に発表された火曜時点の通貨先物のポジションも4週間ぶりに円売りポジションがやや減少していたこともそうした動きがあったのではと思わせる理由のひとつです。

先週はイースター明けであまり目立った材料はありませんでしたが、今週もベージュブックと米国CPIが重要度は高いものの、方向感を変えるようなものでもありません。ベージュブックで現状の米国の景況感を確認し、CPIは強い数字が出るでしょうが、前年比で考えるとコロナショックで落ち込んだ時期との比較となるため、どちらかというと極端に強い数字が出ても不思議ではありません。

今週も基本的には米金利の動向を横目で見つつ、経済指標や要人発言をきっかけとした動きが予想されますが、テクニカルにはかなり見通しが不透明な状況となっています。先週月足チャートで見た通り2015年高値の125円台、2017年高値の118円台から引いた2つのレジスタンスラインを上抜けたことで最初のサポートは110円の大台と重なることから、簡単に大台割れは無いと考えていた参加者も多いはずです。

しかし、思いのほかあっさりと下抜けてしまい、次の大きなサポートは109.00水準に位置し、一気にその水準まで下値を拡大することとなりました。この109円で下げ止まるのであれば、再びドル高の流れに回帰する可能性は高いのですが、逆に現在の水準から3月高値の110.97レベルまで戻るほどの材料があるのかと考えると、それも難しいという印象です。

テクニカルに見ていきましょう。日足チャートをご覧ください。

3月5日安値からのサポートラインと3月高値とここまでの4月安値とのフィボナッチ・リトレースメントを表示してあります。

先ほど109円は月足レベルでのレジスタンスがサポートとなっていることは書きましたが、この109円は短期的なサポートでもあったことから、現状は109円がサポートとなってくるという見方で良さそうです。いっぽうで割値はフィボナッチ・リトレースメントの50%戻しが109.97で金曜の戻り高値とほぼ一致しています。大台110.00と考えてもよいでしょう。

今週は上記の通りもみあいを継続しやすく、テクニカルには109円と110円という大台がターゲットと重なります。引き続きもみあいの週を考え、109.00レベルをサポートに、大台110.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定

(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月12日(月)
16:00 トルコ2月失業率、経常収支
18:00 ユーロ圏2月小売売上高

4月13日(火)
08:01 英国3月小売売上高
10:30 豪州3月企業景況感
**:** 中国3月貿易収支
15:00 英国2月鉱工業生産、貿易収支
16:00 トルコ2月鉱工業生産
18:00 ドイツ4月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏4月ZEW景況感
21:30 米国3月CPI
25:00 サンフランシスコ連銀総裁講演、(フィラデルフィア連銀総裁講演)
29:00 アトランタ連銀総裁講演、(ボストン連銀総裁講演、クリーブランド連銀総裁講演)

4月14日(水)
09:30 豪州4月消費者信頼感
11:00 NZ政策金利発表
15:15 黒田日銀総裁講演
16:00 デギンドスECB副総裁講演
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
21:30 米国3月輸入物価
23:30 週間原油在庫統計
25:00 パウエルFRB議長講演
26:00 シュナーベルECB理事講演
27:00 ベージュブック
28:00 クラリダFRB副議長講演
29:00 アトランタ連銀総裁講演

4月15日(木)
**:** 黒田日銀総裁講演
10:30 豪州3月失業率
15:00 ドイツ3月CPI
15:45 フランス3月CPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国4月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21:30 米国3月小売売上高
22:15 米国3月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国4月NAHB住宅市場指数
23:00 米国2月企業在庫
27:00 サンフランシスコ連銀総裁講演
29:00 (クリーブランド連銀総裁講演)

4月16日(金)
11:00 中国1〜3月期GDP
11:00 中国3月鉱工業生産、小売売上高
18:00 ユーロ圏3月CPI
18:00 ユーロ圏2月貿易収支
21:30 米国3月住宅着工・建設許可
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感速報値

前週の主要レート

前週の主要レート

(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月5日(月)
週明けのドル円はイースターマンデーで欧州市場が連休となっていることもあってNY市場までは上値は重たい地合いながらも動意薄の展開が続きました。欧州時間にポンド買いが先行し、NY時間に入るとユーロドルが追随、ドル円でもドル売りとなり、一時109.96レベルと大台を割り込みましたが、引けにかけては大台を回復しました。

4月6日(火)
ドル円は前日110円割れの滞空時間短かったこともあって東京前場からじり高の展開が続き、欧州市場の昼頃には110.55レベルまで水準を上げました。しかし、110円台半ばから後半にかけてはドル売りオーダーも見える中で米金利が急速に下げる動きとともに一転ドル売りとなり、前日安値を下回ると109.67レベルまで水準を切り下げ安値圏での引けとなりました。

4月7日(水)
ドル円は109円台後半でもみあいの一日となりました、目立った材料が無い中で109円台半ば以下の買いと110円台の売りに挟まれ方向感も無いまま横方向の動きに終始しました。

4月8日(木)
ドル円は東京市場では上値は重たいものの狭い値幅での取引が続いていましたが、欧州市場に入り米金利低下とともに前日安値を下回りました。その後もNY市場朝方までドル売りが強まり一時109.00レベルの安値をつけ、引けにかけてはやや戻しました。

4月9日(金)
ドル円は東京朝方からじり高の展開を辿りましたが、それまでのドル売りが一巡したこと、また米金利上昇に伴いNY市場朝方には109.96レベルの高値をつけました。しかし110円の大台超えは上値が重く、米金利も下降に転じたことから109円台半ばに押しての週末クローズとなりました。

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