ドル高継続も110円にはとどかず強保ち合い
〇ドル円、一時109.80レベルと先週高値に接近するも越えられず、米長期金利低下に値を崩す展開
〇しばらくはドルの再上昇に向け、109円台などで底堅めをする展開か
〇中朝、現在ほぼ全面的に停止されている貿易を4月中にも再開する方向
〇中国外務省が「ウイグル問題」で米加への報復措置を発表
〇日米韓3ヵ国、4月に外相会合を開催し中国への対応で連携を図る見通し
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ109.00-109.90
〇109円前後は思いのほか底堅そうで、大崩れは予想しにくい
<< 東京市場の動き >>
週明け29日の東京市場は、ドルが弱含み。一時109.80円レベルと先週高値に接近するも越えられず、その後は値を崩す展開に。
週末には、中国外務省が「ウイグル問題」で米加への報復措置を発表するなど、引き続き関係悪化が取り沙汰されるなか、25日に発射したミサイルについて、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会が「安保理の決議に違反する」などと指摘していた。
そうした状況下、ドル/円は109.70円で寄り付いたのち、当初はドル買い先行。日中高値である109.80円レベルへと値を上げている。しかし買いは続かず、高値示現後は一転してドル売り優勢に。米金利の低下などを嫌気し、109.35-40円へと下落した。16時現在では再び小戻した109.55-60円で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と「中国情勢」について。
前者は、25日のミサイル発射について前述したような非難の声がアチコチで高まるなか、当の北朝鮮は李朝鮮労働党書記が「わが国家の自衛権に対する露骨な侵害であり挑戦」と強く反発。またチョ国際機構局長も「国連には北朝鮮の自衛権を否定する目的があった」と批判したうえで「対抗措置」を講じる旨を明らかにしている。なお、そうしたなか日経新聞は「中朝、現在ほぼ全面的に停止されている貿易を4月中にも再開する方向で調整に入った」と報じ、話題を呼んでいたようだ。
対して後者は、中国外務省が「ウイグル問題」で米加への報復措置を発表したほか、台湾国防部によると「中国軍機、一日のあいだに20機もの大群で防空識別圏に侵入」するという事態が発生したという。対外的な強硬姿勢を崩さないなか、米英首脳が電話会談を行い「対中政策を協議した」ことを明らかにしている。また、共同通信の報道では「日米韓3ヵ国、4月に外相会合を開催し中国への対応で連携を図る」見通しだという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は先週末にかけレンジを上抜け。一時109.84円まで上昇したほか、本日東京でも近いレベルへと到達したが、買いも続かなかった。リスクという意味では、引き続き上方向にバイアスがかかるものの、110円というフシ目を前にやや上げ渋り。再び時間的な調整局面入りする可能性を見込む声も聞かれていた。しばらくはドルの再上昇に向け、109円台などで底堅めをする展開か。
今週は週末の米雇用統計を中心に、週間を通して重要とされる米経済指標の発表が相次ぐなど材料面でも予断を許さないが、複数の市場筋にヒアリングした感じでは、それよりむしろ月替わりやイースター休暇などを踏まえたカレンダー要因を警戒する声が多い。本日東京でみられたドル高への調整ともいえる動きの継続を懸念する向きが少なくなく、株価や金利の動きをにらみつつも、さらなる下押しを否定できないようだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末109.84円まで上昇し、昨年6月高値に面合わせするも超えられず。週明けの東京でもやや上げ渋りの感がうかがえるところは、やや気掛かりだ。超えれば当然110円台乗せが現実味を帯びてくることになるものの、前段でも指摘したように上値トライはいったん仕切り直し、短期的には調整の継続を見込む声も少なくない。いずれにしても、しばらくは情勢に要注意で、その動きをしっかりと見極めたい。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「米露が冷戦への逆行懸念」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、3月のダラス連銀製造業活動指数が発表されるほか、ウォラーFRB理事の講演イベントが予定されているものの、全体的に手掛かり要因は少なめか。むしろ、需給要因や突発的なニュースなどに要注意かもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.00-109.90円。上方向は、先週末に示現したドル高値109.84円が最初の抵抗。上抜ければ110円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京でつけた安値109.35-40円をめぐる攻防にまずは注目。ただ、下回っても109円前後は思いのほか底堅そうで、大崩れは予想しにくい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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