ドル円 長期トレンドの節目を前に調整先行(週報3月第5週)

先週のドル円は木曜に改めて109円台に乗せ、金曜には米金利上昇とともに年初来高値を更新し、110円の大台を伺う展開の一週間となりました。

ドル円 長期トレンドの節目を前に調整先行(週報3月第5週)

長期トレンドの節目を前に調整先行

〇先週のドル円、年初来高値を更新し110円の大台を伺う展開の一週間
〇今週は四半期末、そして週末にはイースターで参加者が大きく減少
〇110円の大台を前に調整で109円台前半へと押す可能性が高いと見る
〇米国雇用統計は失業率6.2%から6.0%へ、NFP+37.9万から+61.9万へ大幅改善予想
〇今週は108.50レベルをサポートに、109.85レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は一連の金融政策イベントが終わり、また四半期末を控えていることもあって週前半は108円台半ばから後半の狭いレンジの中で動意薄のまま推移しました。しかし木曜に改めて109円台に乗せ、金曜には米金利上昇とともに年初来高値を更新し、110円の大台を伺う展開の一週間となりました。

材料的には株価や米金利など周辺市場の動きによる円安の流れとなっていましたが、今週は四半期末、そして週末にはイースターで参加者が大きく減少する中での米国雇用統計発表と荒れる要因もあり、おそらくは110円の大台を一気に超えるよりは、調整で109円台前半へと押す可能性の方が高いと見ています。

あまり雇用統計が材料になるとも思えませんが、欧州関係の経済指標も多いことから今週はユーロを中心とした動きになってくるイメージが強そうです、なお米国雇用統計は失業率が前回の6.2%から6.0%へ、NFPも+37.9万から+61.9万へとどちらも大幅に改善するという予想となっています。ある程度良い数字がコンセンサスとなっていることから、もし弱めの数字が出た時の方がインパクトは大きいと見られます。

他には米ドルや円に影響が大きそうな数字はありませんのでテクニカルに移りますが、以前も示した月足チャートの重要なレジスタンスに近づいていますので改めて確認しておきましょう。

長期トレンドの節目を前に調整先行

2015年の125円台からのレジスタンスライン(ピンク)は109円台前半にあって既に上抜けていますが、2017年高値からのレジスタンスライン(青)がより高値に接していて効いている印象です。今月時点で110円の大台のわずかに下に位置していて先週の高値は今のところこのレジスタンスで止められています。また昨年6月高値と先週高値も同じ水準であることも、110円の大台手前での上値の重たさを感じさせます。

今週も期末の特殊要因、あるいは参加者が少ない中での米国雇用統計が予想をはるかに上回るといった数字にならない限りは簡単に抜けるとは思えず、いったん110円の大台を前に調整となりやすいという判断がテクニカルには出来るでしょう。
日足チャートもご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

年初来安値と先週高値とのもっとも小さな押しを考えると23.6%押しの108.12ですが、それでも現行水準から見ると遠い印象です。年初からの上昇チャンネルの上側のライン(ピンク)だけ残してありますが、同ラインが今週は先週の安値圏の水準へと上がってきます。こちらでも108.40レベルですからまだ距離が遠いのですが、3月の上昇幅を考えると108円台半ばまでの調整であればありそうな水準です。

今週は大台前の調整を考え、108.50レベルをサポートに、109.85レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

3月29日(月)
**:** 欧州・英国夏時間移行
08:50 日銀会合主な意見公表
24:00 ウォーラーFRB理事講演

3月30日(火)
06:45 NZ2月住宅建設許可
08:30 本邦2月失業率・有効求人倍率
15:00 ドイツ2月輸入物価指数
15:45 フランス3月消費者信頼感
18:00 ユーロ圏3月消費者信頼感
21:00 ドイツ3月CPI速報値
22:00 米国1月住宅価格
22:00 米国1月ケースシラー住宅価格
23:00 米国3月消費者信頼感
27:30 NY連銀総裁講演

3月31日(水)
09:30 豪州2月住宅建設許可
10:00 中国3月製造業PMI
15:00 英国10〜12月期GDP改定値
15:00 英国3月住宅価格
15:45 フランス3月CPI速報値
15:45 フランス2月PPI
16:00 トルコ2月貿易収支

16:55 ドイツ3月失業率
18:00 ユーロ圏3月CPI速報値
21:00 南ア2月貿易収支
21:15 米国3月ADP全国雇用者数
22:45 米国3月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 米国2月住宅販売保留
23:30 週間原油在庫統計

4月1日(木)
08:50 日銀短観(3月調査)
09:30 豪州2月貿易収支
10:45 中国3月MarkIt製造業PMI
15:00 ドイツ2月小売売上高
16:00 トルコ3月製造業PMI
16:50 フランス3月製造業PMI
16:55 ドイツ3月製造業PMI

17:00 ユーロ圏3月製造業PMI
17:30 英国3月製造業PMI
20:30 米国3月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国3月製造業PMI
23:00 米国3月ISM製造業景況指数
23:00 米国2月建設支出
26:00 (フィラデルフィア連銀総裁講演)

4月2日(金)
**:** グッドフライデーで欧州市場は休場
21:30 米国3月雇用統計

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月22日(月)
週明けのドル円はトルコ中銀解任報道によるトルコリラ円の売りの影響を受けギャップダウンして始まりましたが、すぐに金曜引けの水準へと戻しました。その後は株安の動きとともにじりじりと朝方の安値圏に近づく動きとなりましたが、前週から108.60/65レベルの買いがしつこいこともあって反発。海外市場では上下しながらも株高の動きとともに底堅い値動きとなっていましたが、値幅は伴わないままでした。

3月23日(火)
ドル円は米金利の低下もあって東京市場から上値の重たい展開となっていました。欧州市場に入り月曜早朝の安値を下抜けるとストップオーダーも加わって一時108.41レベルの安値をつけましたが、下値も固くユーロドルの下げに引っ張られて東京後場の水準に戻し、引けにかけてはユーロ円の売りに押され若干下げて引けました。

3月24日(水)
東京市場のドル円は日経平均の下げとともに上値の重たい動きとはなっていたものの値幅は狭く108円台半ばでのもみあいに終始しました。欧州市場序盤以降は米金利が上昇する動きとともに反転上昇、NY市場前場には前日高値を上抜けたことや前週からのレジスタンスを上抜けた動きも重なって一時的にドル買いが強まり108.96レベルまで上昇。ただ仕掛けっぽいドル買いだった様子で、引けにかけてはNY朝方の水準に押して引けました。

3月25日(木)
ドル円は終日ドル買いが続きました。東京市場から欧州市場前場にかけては日経平均と先物の上昇がきっかけとなっての円売り、欧州市場後場以降はユーロドルの下げによるドル買いと、テーマを変えながらも109.24レベルまで水準を切り上げ高値圏での引けとなりました。

3月26日(金)
ドル円は東京市場では底堅かったものの15日高値を意識して109円台前半での小動きに留まりました。欧州市場に移り米金利上昇をきっかけに15日高値を上抜けると全般的に円売りが強まり、NY市場朝方には109.85レベルの高値をつけました。NY市場では高値圏でのもみあいのまま一週間を終えました。

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