ドル続伸に注意、1年ぶり110円台も
〇ドル円、週末にかけドル買い優勢になり一時109.84まで値を上げる
〇対円以外でも堅調でドル全面高の様相、ユーロドルは週末にかけ連日ユーロの年初安値を更新
〇北朝鮮のミサイル発射を巡る動静に要注意
〇今週発表の米3月雇用統計に注意、週半ばでの月切り替わりやグッドフライデーなども影響が出るか
〇今週のドル/円予想レンジ108.30-110.60
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが続伸。週末には一時109.84円まで値を上げ、110円台乗せも現実のものとして視界内に捉えられている。
前週末は、実施されたバイデン政権発足後初の対面形式の米中高官協議について、メディアからは「対立の深刻さが浮き彫りとなった」などといった失望を指摘する論調が相次ぐ。一方、東京五輪・パラリンピックの5者協議が実施され、「海外からの観客見送り」が正式決定されていた。
そうした状況下、ドル/円は108.60円前後と先週末のNYクローズと比べ、ドル安・円高レベルで取引開始。その後もしばらくは底練りをたどる展開となり、一連の過程で週間安値の108.41円を示現している。しかし、安値を付けたのち、週末にかけては一転してドル買いが優勢に。109円前後ではやや上げ渋るも、上抜けると、そのまま109.84円まで一気に到達した。週末NYは、やや小緩んだ109.65-70円で取引を終えて越週している。
なお、ドルは対円以外でも堅調で、ほぼ全面高の様相。実際、対ユーロや豪ドルなどでも買い進められると、ユーロ/ドルは週末にかけて連日のユーロの年初安値更新(ドルの同高値更新)をたどっていた。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「トルコリラ」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、前週末にトルコのエルドアン大統領が、アーバル中銀総裁を更迭したことが明らかになり、それが嫌気された格好でトルコリラは週明けから暴落スタート。下げ幅は対ドルで最大15%以上、対円でも10%を超えていた。トルコ/円は前週末の終値である15.10円台から12.70円台まで値を下げたのち値を戻したものの、すでに上値は重く14円台にしっかりと乗せることは出来なかった。13円半ばを中心とした一進一退をたどるなど、週明けに空けた上方向のギャップは依然として埋め切れていない。
対して後者は、23日に米紙が「北朝鮮、先週末に複数の短距離ミサイル発射」と報じ話題を集めるなか、25日早朝に北朝鮮が実際に「2発のミサイルを発射した」として物議を醸す。なお、北朝鮮のミサイル発射について、国連事務総長が懸念を表明するとともに、バイデン米大統領は初の記者会見で「さらなる挑発に出れば対抗措置」と明言。また、菅首相も4月上旬に実施される「日米首脳会談の主要議題として北朝鮮問題を取り上げる」考えを示していた。今後の動静に要注意だ。
<< 今週の見通し >>
前述したように、先週の相場はドル全面高。そうしたなかドル/円は109.84円を示現し、昨年6月高値109.85円に面合わせ、110円も現実的な上値メドとして意識されている感を否めない。再三再四指摘しているように、スタートを年明け早々のドル安値102.60円からと考えても現在に至るまで価格的な下押し、明確な調整と思しき動きは観測されていないことは気掛かり。しかし、基本的なリスクはドル高方向にバイアスがかかり、さらなる上値トライも否定できないようだ。
一方、材料的に今週は注意すべき要因が目白押し。先週発表された米経済指標は総じて良好で、それを材料に米長期金利が上昇している面もあることから、今週もまずは発表される米経済指標には要注意だ。とくに、週末に発表される3月の雇用統計には注意を払いたい。また、週の半ばに3月から4月へと切り替わることでの需給の変化や、週末「グッドフライデー」で主要マーケットが休場になるというカレンダー要因などの影響も気に掛かる。
テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なリスクは依然として上方向で間違いない。昨年6月高値に面合わせした格好の先週高値である109.84円を超えれば、いよいよ110円台回復がみえてくる。ちなみに、110円台には110.40-50円ぐらいしか強い抵抗がない為、場合によっては、一気に111円台乗せといった展開も否定できないだろう。
ただ、何度が報じているように、大きな調整らしい調整がないままドル高が進行しているだけに、調整が入ったらかなりの深押しが進行する危険性を孕んでいるのかもしれない。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「米露が冷戦への逆行懸念」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、3月の消費者信頼感指数や同ISM製造業景況指数、同雇用統計といった重要な米経済指標が連日のように発表される見込みとなっている。米経済指標の好数字は今週も続くことになるのだろうか。続くようなら、米株やドルなどの下支えとして寄与する公算も大きいだろう。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.30-110.60円。ドル高・円安については、先週高値にあたる109.84円が最初の抵抗として意識されている。超えればいよいよ110円台乗せトライ、抵抗としては110.40-50円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期ベースでは109円半ば、109円など50ポイント刻みで弱いサポートがある。また、それらを下回っても底堅そうで、108.30-40円はかなり強いサポートか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:山中 康司
2021.03.29
ドル円 長期トレンドの節目を前に調整先行(週報3月第5週)
先週のドル円は木曜に改めて109円台に乗せ、金曜には米金利上昇とともに年初来高値を更新し、110円の大台を伺う展開の一週間となりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2021.03.29
ドル円見通し 2015年6月天井以降の巨大三角持ち合いからの脱却を試し中(週報3月第5週)
3月25日深夜からは米長期債利回りが再び上昇傾向に入ったことでドル円は109円台を回復して上昇再開から一段高となった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。