安値追いを継続しやすい展開
〇先週のユーロ、買いが先行後に反転、木曜に一時1.1762レベルをつけ昨年11月以来の安値に
〇ECB関係者の債券購入加速発言、欧州のロックダウンの影響への懸念がユーロの重しに
〇今週はグッドフライデー、イースターマンデーに伴い欧州で市場参加者が激減、流動性低下の見込み
〇その中で米雇用統計の発表がある為、数字次第では荒れる可能性も
〇欧州に悪材料目立ち、戻り売り出やすいか
〇今週は1.1735レベルをサポートに、1.1835レベルをレジスタンスとする流れを予想
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、週初こそオランダ中銀総裁の欧州長期金利上昇に対してタカ派的な発言が出たことからユーロ買いが先行しましたが、その後はレーンECB理事が4月からの緊急債券購入の加速について改めて言及したことから反転、欧州におけるロックダウンの影響を嫌気する動きも重なって売りが続き木曜には1.1762レベルと昨年11月以来の安値をつけました。
ドル円も円安(ドル高)の動きとなったことから主要通貨として先週はドル高とも言えますが、タイミングは週前半がユーロ売り、週後半は円売りと必ずしも歩調が揃っていたわけではありません。またドルの動きと相関が高い米金利も木曜までは下げていたため、米金利の動きとも言えないでしょう。週前半はECBと欧州ロックダウンによる欧州要因、週後半は日経平均上昇による円売りとテクニカルな動きとそれぞれが別の材料で動いていたと見られます。
そして今週は欧州では連日経済指標がありますが、金曜はグッドフライデー、翌月曜はイースターマンデーとなり、欧州市場ではクリスマスと並んで市場参加者が減少し流動性が低下するため、今週もユーロは欧州要因で動きやすいものの注意が必要です。そして欧州市場が閑散となる中で米国雇用統計が出るため、数字次第では荒れる要因です。
引き続き主な材料は4月からの債券購入加速の動き、欧州主要国におけるロックダウンが欧州材料、そして米金利と雇用統計が米国材料です。ただ、ドル円も110円の大台を前に足踏み状態となっていてユーロ円の影響(特に下げ)も出てきそうですから、これという重要な材料は無いものの、材料的には読みにくい展開となってきそうです。
ただ基本的に欧州にとっての悪材料が目立っていることからユーロは戻り売りが出やすくなるという観点でチャートも見てみましょう。
11月以来の安値ということで11月のサポートとなりやすい水準を見ると11月11日安値の1.1745がありますが、昨年11月安値と今年1月高値との78.6%(61.8%の平方根)押しが1.1761(赤のターゲット)で、こちらは先週の安値と一致、そして1月高値からの逆N波動を考えた場合の127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが1.1738(ピンクのターゲット)となっていて、こちらが目先のターゲットとなりやすい水準です。
また上値に関しては先週の下げで3月9日安値を割り込んだため、現状では1.1835レベルでは戻り売りが出やすいと言えるでしょう。今週はテクニカルな観点から1.1735レベルをサポートに、1.1835レベルをレジスタンスとする流れを見ておきますが、薄い中で動きが出る時には思いのほか走りやすくなるということには注意してください。
今週のコラム
今週はユーロ円のチャートを見てみます。
ユーロ円は昨年10月末を起点とするサポートライン(ピンクの太線)に沿った上昇トレンドが続いていて、先週下げた際にも同ラインを試すことはありませんでした。しかし2月安値を起点としたサポートライン(ピンクの細線)は明確に下抜け、まだ確定できないものの3月高値からのレジスタンスライン(青)も引ける可能性が出ています。
長期的な上昇トレンドにはあるものの、いったん上値が重くなりやすいチャートとも取れますが、ドル円が110円の大台前で調整が入りやすくなっていることもユーロ円の上値を重くしますし、ユーロ自体が持つ悪材料もユーロ円の下げにつながりやすいと見ています。今週はもう一度長期サポートラインを試しに行く展開を考えたいと思います。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
3月29日(月)
**:** 欧州・英国夏時間移行
3月30日(火)
15:00 ドイツ2月輸入物価指数
15:45 フランス3月消費者信頼感
18:00 ユーロ圏3月消費者信頼感
21:00 ドイツ3月CPI速報値
3月31日(水)
15:00 英国10〜12月期GDP改定値
15:00 英国3月住宅価格
15:45 フランス3月CPI速報値
15:45 フランス2月PPI
16:55 ドイツ3月失業率
18:00 ユーロ圏3月CPI速報値
4月1日(木)
15:00 ドイツ2月小売売上高
16:50 フランス3月製造業PMI
16:55 ドイツ3月製造業PMI
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI
17:30 英国3月製造業PMI
4月2日(金)
**:** グッドフライデーで欧州市場は休場
21:30 米国3月雇用統計
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月22日(月)
ユーロドルは早朝のクロス円の下げに押されて安く始まりましたが、1.18台後半で底固めをする流れとなりました。欧州市場以降は株高の動きが欧州株にも見られてユーロ買いとなる中、オランダ中銀総裁が欧州の長期金利上昇を景気回復によるものと容認発言をしたこともユーロ買いの動きを支えました。NY市場では1.1947レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。
3月23日(火)
ユーロドルは東京市場では上値は重たいものの動きが鈍いままでした。欧州市場序盤にレーンECB理事が緊急債券購入プログラムは着実に増加との発言を受けユーロ売りが強まりました。その後もユーロは対ドル対円で下げが続き、NY市場ではユーロドルが1.1842レベル、ユーロ円も128.60レベルの安値をつけ、そのまま安値圏での引けとなりました。
3月24日(水)
ユーロドルは欧州のロックダウンを嫌気してユーロは上値が重たい地合いが続いていましたが動きは限定的で、終日のレンジも43pipsに留まり積極的な取引は手控えられた一日となりました。
3月25日(木)
ユーロドルは東京市場では上値は重たかったものの株高の動きからユーロ円でも円売りが見られたため1.18台前半の狭い値幅の中でもみあいを続けました。1.1800にはオプション絡みのオーダーもあったようで、NY市場に入り1.18を下抜けると1.1762まで安値を伸ばし11月以来の安値圏となりました。
3月26日(金)
ユーロドルはドル円でのドル上昇をよそに終日動きが鈍い状態が続きました。ユーロ円の買いもあって底堅い展開とはなったものの、値幅も40pips強に留まりました。
ディスクレーマー
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