ドル円 要人発言に注意、トルコリラは波乱含みか(3/22夕)

週明け22日の東京市場は乱高下。レンジそのものは決して広くなかったが、そのなかでやや荒っぽい変動をたどっていた。

ドル円 要人発言に注意、トルコリラは波乱含みか(3/22夕)

要人発言に注意、トルコリラは波乱含みか

〇ドル円、109円近くまで値を上げたが売りが先行し一時108.70割れ、16時現在108.75前後で推移
〇トルコリラはアーバル中銀総裁更迭を受け一時急落したが夕方にリラ急伸など終日を通し激しい上下動に
〇パウエルFRB議長や欧米中銀関係者らの発言内容に要注意
〇本日は2月シカゴ連銀全米活動指数、同中古住宅販売件数などを注視
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ108.30-109.10

<< 東京市場の動き >>

週明け22日の東京市場は乱高下。レンジそのものは決して広くなかったが、そのなかでやや荒っぽい変動をたどっていた。

先週末は、実施されたバイデン政権発足後初の対面形式の米中高官協議について、メディアからは「対立の深刻さが浮き彫りとなった」などといった失望を指摘する論調が相次ぐ。一方、東京五輪・パラリンピックの5者協議が実施され、「海外からの観客見送り」が正式決定されていた。
そうした状況下、ドル/円は108.60円前後と先週末のNYクローズと比べ、ドル安・円高レベルで取引開始。その後もしばらくは底練りをたどるも、一転して上値を探る展開となり、109円近くまで値を上げた。ただ、高値示現後は再び売りが先行すると、一時108.70円割れと慌ただしい値動き。16時現在では、108.75円前後で推移し、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「トルコ情勢」と「米露冷戦逆戻り懸念」について。
前者は、週末にトルコのエルドアン大統領が、アーバル中銀総裁を更迭したことが明らかに。ちなみに中銀総裁の更迭は過去2年弱で3度目になる。タカ派の金融政策に不満を抱いていたとみられるが、ともかく中銀総裁の更迭が嫌気され、トルコリラは週明けのオセアニア・東京時間に一時急落した。下げ幅は対ドルで最大15%以上、対円でも10%を超えている。しかし、目先のボトムを示現後、夕方には逆にリラ急伸の値動きも観測されるなど、終日を通してなかなか激しい上下動だった。

対して後者は、バイデン氏の「プーチン露大統領は人殺し」発言を受け、ロシアのアントノフ駐米大使が一時帰国したことが明らかとなった。発言への抗議、対抗措置だという。そうしたなか、ロシアのペスコフ報道官が「プーチン氏、バイデン氏との公開会談をなお望んでいる」と秋波を送る反面、米ホワイトハウスのジャンピエール副報道官は「大統領が適切な時期にロシア側と会談する」と述べたとされており、関係改善に向けた一縷の望みを抱く声も。

<< 欧米市場の見通し >>

先週のドル/円は材料豊富だったにもかかわらず、週間レンジはわずか75銭。これは今年の週間最小変動幅になる。そんな小動きが今週も続くのか、それとも再び動意づくのかにまずは注目。ちなみに、本日未明などの一部取引データでは先週安値108.61円を下回り、底割れした感もあったが、結果としてここまで定着していない。ドルの下放れが失敗したのか否か、このあとの動静が注視されている。
材料的に見た場合、米国ファクターとしてはBISイノベーションサミットに参加するパウエルFRB議長の発言に要注意。また、それ以外でも欧米中銀関係者らによる発言機会が本日は相次ぎ観測されていることで、要人コメントが波乱要因となりかねないとの見方も多いようだ。そのほか、前述したように荒れ模様の推移をたどるトルコリラの動きなども、しっかりと注意しておきたい。

テクニカルに見た場合、先週来のドル/円は上値を少しずつ切り下げている反面、下値は逆に拡大させている。大きな流れはドル高方向で変化はないものの、短期的にはむしろ逆。ドル安方向のリスクが高まっている感も否めない。先週のドル安値、かつ本日東京でもしっかりと下回ることのできなかった108.50-60円の攻防にまずは注目。割り込めば、次のターゲットは108.34円に。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「米露が冷戦への逆行懸念」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、2月のシカゴ連銀全米活動指数や同中古住宅販売件数といった米経済指標が発表され、その内容にももちろん要注意。ただ、本日は前述したFRB議長を中心とした要人による発言機会が多く、むしろそちらに注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.30-109.10円。上方向は、本日東京で一度も到達できていない109円レベルの攻防にまずは注目。上抜ければ、先週末高値の109.14円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値も含めた108.50-60円が引き続きサポートとして寄与している感。ただ、下回ると108.34円そして108円前後などがターゲットに。

要人発言に注意、トルコリラは波乱含みか

ドル円日足

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