ドル円、108円台後半で方向感に欠ける展開。トルコリラは一時▲15%の大暴落
〇昨日のドル円、トルコ中銀総裁更迭による総長のトルコ円大暴落につれ、窓を開けて108.57まで下落
〇その後は108円台後半で方向感に欠ける動き
〇ユーロドル1.1871まで下落後に米長期金利低下と米主要株価指数の反発で1.1947(訂正)まで上昇
〇トルコは今後政策金利引き下げに転じる可能性高く、中銀の独立性も期待できず、資金流出強まるか
〇ドル円108円台後半で方向感無くしているがテクニカルの地合いは強い
〇ファンダメンタルズも米インフラ投資計画報道、米中露対立激化懸念等ドルの支援材料多い
〇本日の予想レンジ:108.40ー109.20
海外時間のレビュー
週明け22日(月)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開。@週末20日にエルドアン・トルコ大統領が金融引き締め政策(政策金利の引き上げ)を進めるアーバン・トルコ中銀総裁を更迭したことを背景に、トルコリラ円相場が大暴落で寄り付く中(前週末比▲15%)、ドル円も窓を開ける形で、安値108.57まで下落しました。しかし、売り一巡後に持ち直すと、トルコリラ円相場の自律反発も支援材料となり、公表相場決定後に高値108.96まで反発しました。その後は、新規材料に乏しい中、108円台後半での方向感に欠ける値動きが継続し、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、108.80近辺で推移しております。尚、昨日発表された米2月中古住宅販売件数(結果622万件、予想650万件、前回666万件)は市場予想を下回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
週明け22日(月)の外国為替市場でユーロドルは上昇。@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(ドイツはロックダウンを4/18まで延長する見通し)や、AECBによる追加緩和観測、B米長期金利の高止まりを背景に、アジア時間早朝にかけて、安値1.1871まで下落しました。しかし、売り一巡後に持ち直すと、C米長期金利低下を背景としたドル売り圧力や、D米主要株価指数の上昇を背景としたリスク選好のドル売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1947まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1937近辺で推移しております。
尚、トルコリラは上述の通り、エルドアン大統領によるアーバン総裁のサプライズ解任を受けて暴落する展開となりました。背景には、中銀の独立性が失われたことに対する失望感や、アーバン総裁が昨年後半以降引き上げてきた政策金利の巻き戻しが警戒されているからです。事実、米格付大手ムーディーズは昨日、「トルコ中銀が政策金利を再びインフレ率を下回る水準まで引き下げる可能性あり」と述べております(次回4/15の会合に向けて利下げ観測が高まる恐れ)。昨年11/6に記録した史上最安値12.04円をボトムに底堅さを取り戻してきたトルコリラ円相場ですが、今回の騒動を経て、再びトルコリラ売りが強まる展開が予想されます(トルコからの資本流出圧力が強まる公算大)。
本日の見通し
ドル円は108円台後半で方向感に欠ける値動きが続いております(ECB→FOMC→BOJといった金融政策イベントを全て終えたことでボラティリティが低下)。昨日は一目均衡表転換線を挟んで上下を続け、108円台半ばでは押し目買い、109円手前では戻り売りが出てくる展開となりました。但し、全体としてみれば、強い買いシグナルを示唆する三役好転や、ダウ理論の上昇トレンドが継続しており、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米長期金利の高止まり(バイデン政権は新たに3兆ドル規模のインフラ投資計画を検討していると報道)や、A米中露対立激化リスク(リスク回避のドル買い要因)、B欧米によるウイグル弾圧に関する対中制裁リスク(リスク回避のドル買い要因)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が残っております。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(本日は米2月新築住宅販売件数や米3月リッチモンド連銀製造業指数、パウエルFRB議長発言に注目)。節目109.00を突破出来れば、3/15に記録した直近高値109.37トライが射程圏内に入るため、本日はアップサイドリスクに注意が必要でしょう(ポジション調整一巡後のドル高再開に警戒)。
本日の予想レンジ:108.40ー109.20
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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