ドル円 円買い戻しに動きやすい展開(週報3月第4週)

先週はFOMC、日銀会合と日米の金融政策決定会合が注目される一週間となりました。

ドル円 円買い戻しに動きやすい展開(週報3月第4週)

円買い戻しに動きやすい展開

〇先週のドル円は109円台前半での上値重く、円買い戻しの動きが出やすい
〇FOMCの超緩和状態維持見通しきっかけに、株式市場は株高、為替市場はドル安に
〇日銀会合の発表には株式市場は株安、為替市場は円高という反応
〇トルコ中銀総裁更迭で第2次トルコリラショック発生、これも円買いの材料に
〇材料面だけでなくテクニカルにもいったん調整の下押しが入りやすい流れ
〇今週は107.90レベルをサポートに、109.30レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通し

先週はFOMC、日銀会合と日米の金融政策決定会合が注目される一週間となりました。水曜のFOMCではこれまでのスタンスに目立った変化は無く、長期金利上昇についてもFRBのインフレターゲットには遠いことを理由に静観する姿勢でしたが、将来の金利見通しもこれまでの見通しから大きな変化は無く、利上げ時期が前倒しされるのではとの思惑もあっただけに、2023年末まで現在の超緩和状態が維持されるとの見通しをきっかけに株式市場は株高、為替市場はドル安という反応を見せました。

日銀会合は今回はこれまでの金融政策に対する点検ということから、金利上昇にどう対応するのか、株高の中でETF購入をどうするのかといったことが議論されるであろうことはわかっていましたが、1日目の木曜昼には日経新聞を使い、長期金利の変動幅を±0.25%とすること、ETF購入の原則枠を撤廃し通常の市場での株式市場下支えが無くなることが公式リークとして出ました。

金曜の結果発表ではその通りに発表され、それに加えて新たに貸出促進付利が発表されましたが、これは銀行の貸出規模に応じて日銀に預ける際の付利が変更される仕組みで、今後マイナス金利を深掘りする場合でも、積極的に貸し出しをおこなっている銀行には影響を少なくすることを考えた結果と言えるでしょう。全体として株式市場は株安、為替市場は円高という反応となりました。

日米の金融政策においては、為替に与える影響はドル安+円高ということから、先週の109円台前半での上値の重さが更に意識され、円買い戻しの動きが出やすくなったと見られますが、週末にもうひとつ事件があり、こちらはトルコリラの週報に詳細を書きますが、トルコ中銀総裁が更迭されたことから、第2次トルコリラショックが発生、その余波で新興国通貨が売られる動きとなり、これも円買いの材料とされると言えそうです。

一連の金融政策イベントが終わったことで、ここからは3月期末に向けての動向も気になるところですが、先週示した月足ベースのレジスタンスが109円台前半と後半にあり、現時点では109円台前半のレジスタンスで上値を抑えられているという点は気になるところです。3月に入ってからのドル円はこの長期レジスタンスを意識していることも大きいと思いますが、109円台前半でダブルトップっぽい形状を示し、材料面だけでなくテクニカルにもいったん調整の下押しが入りやすい流れにあると見てよいでしょう。

日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

3月の動きが短期的な反転パターンとなるならば、そのターゲットとしては2月下旬の安値と3月高値とのフィボナッチ・リトレースメントを考えることとなりますが、23.6%押しは108.31とあまりに近く、38.2%押しは107.66とやや遠い印象です(それぞれ青のターゲット)。そこでもうひとつのターゲットは年初から続いていた上昇チャンネル(ピンク)を上抜けていることから、抜けたレジスタンスはサポートとなるという見方です。

このピンクのライン(上昇チャンネルの上側)は今週107円台後半から108円台前半へと上がっています。108円を割れる動きはあっても同ラインによって下げ止まるというイメージでいます。また上値については引き続き109.30レベルが強いレジスタンスとして効いています。今週は107.90レベルをサポートに、109.30レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

3月22日(月)
16:00 トルコ2月失業率
21:00 オランダ中銀総裁会見
22:00 パウエルFRB議長講演
22:00 ドイツ連銀総裁講演
23:00 リッチモンド連銀総裁講演
23:00 米国2月中古住宅販売
24:15 シュナーベルECB理事講演
24:30 スペイン中銀総裁講演
26:00 サンフランシスコ連銀総裁講演
26:30 クオールズFRB副議長講演

3月23日(火)
16:00 英国2月失業率
19:00 フランス中銀総裁講演
20:50 英中銀総裁講演
21:30 米国10〜12月期経常収支
22:00 (セントルイス連銀総裁講演)
23:00 米国3月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国2月新築住宅販売
25:00 パウエルFRB議長・イエレン財務長官議会証言(下院)
27:45 NY連銀総裁講演

3月24日(水)
06:45 NZ2月貿易収支
08:50 日銀会合議事要旨公表
16:00 英国2月CPI
17:00 南ア2月CPI
17:15 フランス3月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ3月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏3月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国3月製造業・サービス業PMI速報値

21:30 米国2月耐久財受注
22:45 米国3月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 パウエルFRB議長・イエレン財務長官議会証言(上院)
23:30 週間原油在庫統計
24:00 ユーロ圏3月消費者信頼感速報値
26:35 NY連銀総裁講演
28:00 サンフランシスコ連銀総裁講演

3月25日(木)
08:00 シカゴ連銀総裁講演
16:00 ドイツ4月GFK消費者信頼感
16:45 フランス3月企業景況感
17:30 スイス中銀政策金利発表
18:30 英中銀総裁講演
18:30 南ア2月PPI
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:30 米国10〜12月期GDP確報値
21:30 米国新規失業保険申請数
23:30 NY連銀総裁講演
26:00 デギンドスECB副総裁講演
**:** EUサミット(〜26日)

3月26日(金)
08:30 本邦3月東京区部CPI
16:00 英国2月小売売上高
18:00 ドイツ3月ifo企業景況感
21:30 米国2月個人所得・消費支出
23:00 米国3月ミシガン大消費者信頼感

3月28日(日)
 **:** 欧州・英国夏時間移行

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月15日(月)
週明けのドル円は金曜海外市場の流れを受け高値圏でのもみあいから始まりましたが、東京昼前に金曜高値を上抜けるとドル買いに勢いがつき後場には109.37レベルと前週高値を更新しました。しかし109円台前半から半ばにかけてはテクニカルなレジスタンスでもあり欧州市場序盤には反落、その後は狭いレンジでもみあいのまま引けました。

3月16日(火)
東京市場のドル円は米金利上昇の動きとともに底堅い動きとなっていましたが、109円台前半の上値の重さも同様に続いていました。欧州市場序盤には109.29レベルの水準でしたが、その後は欧州通貨が底堅い動きとなっていたことや朝方安値を下回る動きの中で米国の弱い経済指標に反応し、108.77レベルの安値をつけました。NY市場では引けまでじり高とはなりましたが109円台では売りも見られ、金融政策イベントを控えて動きにくい流れになりました。

3月17日(水)
ドル円はユーロ円とともに前日の下げに対する買い戻しがFOMCまで続き、FOMC直前には109.33レベルの高値をつけたものの、月曜の高値は試せずという状況でした。注目のFOMCでは景気回復は上向きとしながらもインフレ目標は下回っているというこれまで同様の内容でしたが、金利見通しでは依然として2023年末まで現状のゼロ金利が継続されるという見通し。この結果から米金利は低下、為替市場はドル安で反応し、ドル円は108.74レベルまで下げた後に若干戻して引けました。

3月18日(木)
東京市場のドル円は、朝方はFOMC後の株高から日経平均も大幅高となりドル円は円安に動いていました。しかし昼過ぎに日銀会合の点検において長期金利の変動幅拡大とETF購入枠撤廃を検討とのオフィシャルリークが出たことから反落、109円台から一時108.62レベルの安値をつけました。その後海外市場に移ると米金利が大きく上昇する動きとともに109.30レベルの高値をつけましたが前日高値は抜けられず。NY市場では株安と原油安も円買い材料となり、引けにかけては上下しながらも108円台後半へと押して引けました。

3月19日(金)
金曜のドル円は仲値で実需のドル買いが出たことから買いが先行したものの日銀会合の結果発表を前に109円台では売りも出ていました。日銀会合の結果は前日にリークされた通り。欧州市場序盤に108.61レベルと週間安値を更新しましたが海外市場ではユーロドルに売りが入ったことをきっかけに反転、NY市場朝方には109円台に戻したものの上がりきらず108円台後半でもみあいのまま週末クローズとなりました。

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