先週は結局75銭レンジ、動意復活するか注目
〇ドル円、週間を通して値幅はわずか75銭、おおむね時間調整の様相
〇ユーロ/円やポンド/円、豪ドル/円なども年初来高値を一時更新
〇日米豪印首脳によるテレビ会談で菅首相の中国に対する訴えが支持を得る
〇パウエルFRB議長の22日国際決済銀行での講演、23-24日の米議会での証言に注目
〇25日の就任後初めてのバイデン米大統領の本格的な記者会見にも注意
〇今週のドル/円予想レンジ107.50-110.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小幅安。ザラ場ベースでは一時戻り高値を更新したものの続かず、週末にかけては逆に下値を試す展開をたどっている。
前週末に暗号資産(仮想通貨)ビットコインが初の6万ドル台乗せ。また、その後も続伸し、一時61800ドルレベルへと達する局面も。一方、それとは別にG7の外相が中国による香港選挙制度見直しに「重大懸念」を表明するなど、対中包囲網に関する話題もいくつか観測されていた。
そうした状況下、週明けのドル/円は108.95-00円で寄り付いたのち、ドルが続伸すると週間高値である109.36円を示現。しかし、ドル買いは続かずに軟落すると、週末には108.61円を付ける局面も。日米英の中銀による政策金利の発表など注目材料は決して少なくないなか、週間を通していえば、ドル/円の値幅はわずかに75銭にとどまり、おおむね時間調整の様相。週末NYは108.85-90円で取引を終えて越週している。
なお、円は対ドル以外でも冴えず、実際ユーロ/円やポンド/円、豪ドル/円なども年初来高値を一時更新。ただ、週末にかけてはやはり調整の動きからか、多くが小反落する展開をたどっていた。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「米露の対立深化」について。
前者は、前述したG7以外のものとして、初めて実施された日米豪印首脳によるテレビ会談において、菅首相が海洋進出などを強める中国の動きに強く反対することを訴え支持を得たことを明らかにしている。また、その後の日米2プラス2でも、中国を名指ししたうえで、海警法の施行に「深刻な懸念」を表明するなど、日米を中心に対中包囲網を強めるなか、当の中国からは「日本は米国の顔色をうかがい、戦略的属国になっている」とした非難コメントが発せられていた。なお、この週末にかけて実施された米中外交トップによる会談は、非難の応酬で終わったとされ、実際会談についてのブリーフィングなどは行われず。確かに大きな進展はなかったようだ。
対して後者は、17日にバイデン氏が米大統領選に絡めたものとして、「プーチン大統領は殺人者」と発言したことが波紋を広げている。そののち、ロシア側が「対米関係の協議のため自国の駐米大使を本国に召還した」と発表するなど、関係悪化を予感させる行動も。その後、プーチン氏は国営テレビで「バイデン米大統領と19日、もしくは22日に公開オンライン会談を実施することを提案」したことを明らかにしたが、米国サイドはこれを拒否。かつてのような米露冷戦へ逆戻りする懸念も取り沙汰されていた。
<< 今週の見通し >>
先週は材料的に見た場合、材料目白押しだったが、前述したように終わってみればドル/円の週間変動はわずか75ポイント(108.61-109.36円)。これは今年の週間最小変動を記録した1月18-22日週とのタイ記録になる。ともかく、そんな小動きが今週も続くのか、それとも相場が再び動意づくのか、まずはその見極めに注目だ。仮に先週のレンジを上抜ければ110円台乗せを否定できない反面、108円台を割り込んでしまうと思いのほか深い押しが入る可能性も否定できない。
一方、材料的には、引き続き米株や金利情勢への関心が高いなか、今週はパウエルFRB議長の発言に注目だ。22日に国際決済銀行(BIS)で開催されるデジタル時代のイノベーションに関する会合で講演するほか、23-24日は米議会で証言を行う予定となっている。先週のFOMC後の会見では、「一時的な物価上昇は政策金利見通しに影響を与えない」などと弱気発言を連発、緩和政策の長期化を示唆していたが、果たして変化はあるのだろうか。
テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なリスクは依然として上向きだが、短期的な基調転換もうかがえるところがやや気掛かり。たとえば、週足で見た場合、先週の足形は5週間ぶりの陰線引け。それも、実体部の小さい寄り引き同時線に近い格好だった。
そもそも、以前から何度か報じているように、起点を年初と考えても、大きな調整らしい調整がないまま、ここまで2ヵ月半もドル高が進行している。本格的な調整局面入りしても決して不思議はなさそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「米露が冷戦への逆行懸念」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、3月のリッチモンド連銀製造業指数や10-12月期のGDP統計確定値といった米経済指標が発表される見込みとなっているほか、前述したように週初から3日連続で実施されるFRB議長の講演や議会証言には要注意。また、25日に予定されている就任後初めて実施されるバイデン米大統領の本格的な記者会見を警戒する声も聞かれていた。
そんな今週のドル/円予想レンジは、107.50-110.00円。ドル高・円安については、先週高値109.36円が最初の抵抗として意識されている。超えれば109.85円あるいは110円が視界内に。
対するドル安・円高方向は、108.60円レベル、108.30円前後などサポートは多く底堅そうだが、108円を「しっかり」下回ると下値波乱含みも。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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