短期的なユーロ安値を見てもみあい入り(週報3月第3週)

先週のユーロは、基本的にドルの動きが中心となりましたが、背景は週初の米金利の上昇後にいったん金利低下を挟んで週末は再び米金利上昇という動きです。

短期的なユーロ安値を見てもみあい入り(週報3月第3週)

短期的なユーロ安値を見てもみあい入り

〇先週のユーロ、週初の米金利の上昇から低下を挟み週末は再び上昇とドルの動きが中心に
〇ドル円の円安の動きがユーロ円にも波及し2年半ぶりの高値に、週末に向けユーロの方向感はっきりせず
〇今週のFOMCと日銀会合を見るまでは動きにくい状況か
〇今週は1.1870レベルをサポートに1.2030レベルをレジスタンスと1.1950レベルをもみあいとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、基本的にドルの動きが中心となりましたが、背景は週初の米金利の上昇後にいったん金利低下を挟んで週末は再び米金利上昇という動きです。その間、木曜にはECB理事会があり、最近の米金利高につられて上昇している欧州の金利上昇に対して、債券緊急購入プログラムの購入ペースを加速させるとの決定に一時ユーロ売りも見られましたが、既に発表前にユーロ高に動いていたこともあって、影響は少なかったと言えます。

週末に向けては米金利上昇がユーロ安の動きとなるいっぽうで、ドル円の円安の動きがユーロ円にも波及しユーロ円が2年半ぶりの高値となったこともあり、週末に向けてのユーロの方向感ははっきりしないままでしたが、ECB理事会前後の水準で引けてきていることから、今週のFOMCと日銀会合を見るまでは動きにくいという状況なのでしょう。ドル円の週報に書いた通りですが、FOMCでは金利上昇容認、日銀会合では意見が分かれそうなものの黒田総裁の金利変動幅拡大はしないという円金利低下方向の動きがコンセンサスと考えられます。

仮にどちらもその通りであるとするとドル買いの動きは継続しやすく、ユーロの上値を抑えやすいいっぽうで日銀会合の結果で円金利低下となると円売りでユーロ円は上昇という展開がもっともありそうなところです。しかしECBも金利低下方向で動いて来ますし、ユーロ円が大台130円に乗せてきていることから、更なる上昇には時間がかかりそうな印象です。

他にも今週は英中銀MPCがあります。金融政策自体は現状維持ではあるものの、ワクチン接種が進んでいることによる景気回復期待から、マイナス金利導入は否定するというところまでは想定内ですが、それ以上の発言が出るかどうか、発言次第ではポンド買いにつながり、それがユーロにもユーロ買いとして影響する可能性はあるかもしれません。今週は後半の3日間にFOMC、MPC、日銀会合が続きますので、これらの結果を見るまでは動きにくいというのが多くの参加者に共通する意見でしょう。

テクニカルにも見ていきます。ユーロドルの日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

1月高値からの下げ、2月にフラッグ(ピンクの平行ライン)の調整を挟み、そこからの売りでターゲットとしていた100%エクスパンション1.1846を達成していますので、テクニカルの意は1月高値からの下げはいったん終了と見てよいでしょう。すると2月高値と先週3月安値との戻しを考えることとなりますが、材料的に動きにくいということであれば半値戻しの1.2038がターゲットです。

下値は1.18台半ばから後半で下げ止まりやすいと考えると、今週は1.1870レベルをサポートに1.2030レベルをレジスタンスと、1.1950レベルをもみあいの中心とする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円のチャートを見てみます。

先週は日足チャートを見て、ペナントをどちらに抜けるかでどちらにも動きやすい状態を示しましたが、上抜けしたことで130円の大台乗せ方向の動きとなりました。先週の高値は今週は2018年10月以来の高値となりましたので、今週は週足チャートを確認しておきましょう。

今週のコラム

もみあいを上抜けてきたことで、テクニカルには昨年安値からの上昇ウェッジの中での上昇トレンドへと回帰してきたと考えてよさそうです。短期的にはどちらにも動きうるのですが、長期的には2018年高値と昨年安値の61.8%は既に上抜けてきていることから、78.6%(61.8%の平方根)戻しの132.55が次のターゲットです。

ドル円が110円をトライする時には、ユーロ円は132円台半ばを目指す動きが出てくるというイメージとなるでしょうか。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

3月15日(月)
**:** 米国夏時間開始
09:01 英国3月住宅価格
**:** ユーロ圏財務相会合

3月16日(火)
16:45 フランス2月CPI
19:00 ドイツ3月ZEW景況感
**:** EU財務相会合

3月17日(水)
19:00 ユーロ圏2月CPI
19:00 ユーロ圏1月建設支出
27:00 FOMC結果発表
27:30 パウエルFRB議長会見

3月18日(木)
19:00 ユーロ圏1月貿易収支
21:00 英中銀MPC結果発表
22:00 デギンドスECB副総裁講演
27:00 シュナーベルECB理事講演

3月19日(金)
09:01 英国3月消費者信頼感
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
16:00 ドイツ2月PPI

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月8日(月)
週明けのユーロドルはドル買い(ユーロ売り)の一日となりました。東京市場からユーロはじり安の動きを続けていましたが、欧州市場序盤に金曜安値を下抜け。その後もユーロ売りが続きNY後場には1.1844レベルまで水準を切り下げ安値引けとなりました。

3月9日(火)
ユーロドルは前日に続いてドルの動きとなりました。東京前場には前日安値をわずかに下回り1.1836レベルの安値をつけましたが底固めの動きとなり、欧州市場序盤にユーロ買いが強まり1.1916レベルまで上昇。NY市場ではユーロ円の売りも出たため、みあいのまま引けました。

3月10日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル買い(ユーロ売り)となっていたものの、ドル円での円安の動きに沿ってユーロ円でも円売りの動きが強かったため、対ドルでの動きは鈍いままでした。欧州市場に入るとドル買いの動きがドル売り(ユーロ買い)に転換したため、NYの引けまで上下しながらも1.1930レベルまで上昇し高値引けとなりました。

3月11日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤には米金利低下によるユーロ買いが出てからECB理事会待ちとなりました。ECB理事会では債券緊急購入プログラムの購入ペースを加速させるとの発言に欧州金利安、ユーロ安で反応しましたが、ユーロは東京市場の水準にも下げられず、材料出尽くとの見方からユーロ買いへと転換、1.1990レベルの高値をつけそのまま高値圏での引けとなりました。

3月12日(金)
ユーロドルは東京市場から欧州市場前場まではドル買いの動きに押されて水準を切り下げる動きとなり欧州市場前場には1.1910レベルの安値をつけました。しかし、週末を控えたポジション調整にユーロ円の買いも加わってユーロドルは1.19台半ばへと欧州市場序盤の水準に戻して引けました。なお、ユーロ円は130.39レベルまで上昇し、2018年10月以来の高値をつけました。

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る