ドル円 105円を挟んでのもみあい(週報2月第2週)

先週は、週前半は前週末に105.77レベルの高値をつけて以降の調整が続き、水曜には104.42レベルの高値をつけましたが、週末にかけては105円台に戻しての引けとなりました。

ドル円 105円を挟んでのもみあい(週報2月第2週)

105円を挟んでのもみあい

〇先週のドル円、10日に104.42レベルの安値をつけるも週末は105円台に戻しての引けに
〇FOMCの議事録公表やFOMCメンバーの講演は長期金利上昇についての言及に注意
〇米国や欧州主要国のPMI速報値の発表に注視
〇今週は104.60レベルをサポートに105.30レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半は前週末に105.77レベルの高値をつけて以降の調整が続き、水曜には104.42レベルの安値をつけましたが、下がったところでは買いも残っていることを確認し、週末にかけては105円台に戻しての引けとなりました。ただ、東京市場休場、中国が終節で一週間の休場が始まることもあり、週末に向けては方向感がはっきりしない地合いとなりました。

ここに至るまでのドルの動きを振り返るとテクニカルな要因を主に104円台半ばから105円台後半まで上昇したものの、105円台半ばから上では実需も含めてドル売りも並び、その後は短期筋の利食いも入って上昇が始まった104円台半ばまで押す動きを見せました。ただ、ドル上昇トレンドはまだ続いていると考える参加者が多く、104円台半ばで下げ止まるとその後は105円台に乗せる動きです。

上げもその後の押し、そして買い戻しと材料よりはテクニカルな動きがドル円の動きを作っていますが、米金利の上下が為替市場でのドルへの影響していることにも変化はありません。ただ先週は米金利の動きとドルの動きは基本的に歩調を揃えていたものの、米金利は金曜に金利上昇を強めて2月8日の水準を上抜け1.218%まで上昇したものの、ドルはどちらかというと上値が重たい流れだったと言えます。参考までに米国10年債利回りの日足チャートです。

今週の週間見通し

この動きは金利上昇とドル高が乖離してはいないものの、為替市場ではここからのドル高に対して迷いも出て来ているということの現われかと考えられます。上述の通りでテクニカルには現状はドル上昇トレンドの中での調整の範囲内ですが、今後の方向性を探る上で米金利の動きが徐々に参考にならなくなってくる可能性も考えおく必要がありそうです。

今週は週前半は中国が春節の連休であり、月曜が米国も祝日となっていることから動きが出てくるとすれば火曜日以降ですが、FOMC議事録の公表、FOMCメンバーの講演といったところは現時点では大きな材料にはならないものの、長期金利上昇について言及があれば注意というところでしょうか。他には欧州主要国と米国のPMI速報値が発表されますので、このあたりも念の為コンセンサスからのずれを見ておきましょう。

今はテクニカルが最も重要だと見ていますのでチャートを見ていきましょう。

昨年7月からのレジスタンスラインを上抜けて以降の上昇スピードがやや速かったことは、先週書いた通りですが、初来安値からの上昇N波動における127.2%(161.8%の平方根)エクスパンション105.61を達成し、上昇チャンネルの上限もまた同水準にあり、わずかに抜けてはいるもののいったん目先の上昇は終わった展開です。

そして、1月21日安値と2月高値との半値押しが104.54と先週安値はほぼターゲットと一致、また2月高値と先週安値との半値戻しも105.08とほぼターゲットと一致しました。ただ、やや動きに乖離はしているものの米金利は高い状態であることや、日経平均株価が強い地合いを続けていることを考えると、先週安値もまた目先の安値をつけたと考えて良いでしょう。

現状は105円を中心に上値の次のターゲットとして61.8%戻しの105.24レベル、また下値も上昇チャンネルのサポートラインが104円台半ばから後半へと上がってくることを考えると、大台から上下とも30〜40銭程度の値幅を見ておくことが妥当です。今週は104.60レベルをサポートに105.30レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

2月15日(月)
**:** 香港市場・米国市場休場、中国市場休場(11〜17日)
08:50 本邦10〜12月期GDP速報値
09:01 英国2月住宅価格
19:00 ユーロ圏12月貿易収支
**:** ユーロ圏財務相会合

2月16日(火)
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP改定値
19:00 ドイツ2月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏2月ZEW景況感
22:30 米国2月NY連銀製造業景況指数

2月17日(水)
08:50 本邦1月貿易統計
16:00 英国1月CPI・PPI
17:00 南ア1月CPI
19:00 ユーロ圏12月建設支出
20:00 南ア12月小売売上高
22:30 米国1月PPI、小売売上高
23:15 (ボストン連銀総裁講演)
23:15 米国1月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国12月企業在庫
28:00 FOMC議事要旨公表

2月18日(木)
09:30 豪州1月失業率
20:00 トルコ中銀政策金利発表
22:00 ブレイナードFRB理事講演
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22:30 米国1月住宅着工・建築許可件数
24:00 ユーロ圏2月消費者信頼感速報値
24:00 アトランタ連銀総裁講演
25:00 週間原油在庫統計
30:45 NZ10〜12月期PPI

2月19日(金)
08:30 本邦1月CPI
09:01 英国2月消費者信頼感
09:30 豪州1月小売売上高
16:00 ドイツ1月小売売上高、PPI
16:45 フランス1月CPI
17:15 フランス2月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ2月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏2月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏12月経常収支
18:30 英国2月製造業・サービス業PMI速報値
23:45 米国2月製造業・サービス業PMI速報値
24:00 米国1月中古住宅販売
25:00 (ボストン連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

2月8日(月)
 東京市場のドル円は金曜NY市場での下げに対してドル買いの動きが強まりました。主な要因としては米長期金利が上昇した動きでしたが、夜間取引で欧州市場序盤に1.200%まで上昇、ドル円も105.67レベルの高値をつけました。しかし105円台半ばから後半にかけては実需売りも見られ、その後は利食いに押されNY市場では金曜安値も割り込み105.15レベルまで下げ安値圏での引けとなりました。

2月9日(火)
 ドル円は前日に続いてドル買いポジション調整の1日となりました。東京市場から短期筋のドル買いの投げが目立ち欧州市場朝方には104円台半ばまで水準を切り下げていました。その後の海外市場ではNY市場で104.50レベルの安値はつけたもののほぼ横ばいの動きのまま終わりました。

2月10日(水)
 東京市場では安値圏でもみあいを続けていましたが、欧州市場に入りユーロ買いの動きに引っ張られ前日安値を下回るとストップロスも巻き込んで104.42レベルの安値を付けました。しかし104円台前半では買いも見られる中、日銀追加緩和思惑のニュースヘッドラインに反応し104.84レベルへと反発、その後は上値も重くなり、もみあいのまま引けました。

2月11日(木)
 東京市場が休場、また中国が11日から17日まで春節(旧正月)で連休となることもあってアジア市場だけでなく終日動きが鈍い1日となりました。ドル円のレンジは25銭に留まり動意薄のまま終わりました。

2月12日(金)
 週末の東京市場ではドル円は若干底堅い程度でほとんど動意のないままでした。欧州市場に入り目立った材料は無い中で全般的なドル買いの動きとともにドル円も105.18レベルの高値を付けましたが、105円台前半では売りたい向きも多くNY市場で105円を割り込んで以降はほとんど動きのないままに一週間を終わりました。

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