ドル上値トライ、再開するか否かを注視
〇先週のドル円、5日の目先高値から104.42まで一時1円以上下落
〇ビットコイン、14日に49600ドル台まで上値伸ばし5万ドルを視野に入れた展開
〇TikTokの米事業売却について、バイデン政権が無期延期に
〇今週は月曜日がNY休場、中国が17日まで春節で本格的な動意は18日以降に
〇19日G7首脳によるオンライン会談開催、バイデン米大統領の外交デビューに
〇リスクとしては上向きで、レンジを放れるとすればドル高方向か
〇今週のドル/円予想レンジ104.20-106.30
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが小安い。5日の105.76円を目先高値に、一時は1円以上も下落。ただ、週末にかけてドルは持ち直しの動きも。
前週末、「日米豪印4ヵ国がテレビ電話方式での首脳会談開催へ調整」と報じられたほか、暗号資産のビットコインが再び4万ドルの大台超えしたことが明らかに。また同じく暗号資産のイーサリアムは一時1760ドル前後をつけ、過去最高値を更新している。
そうした状況下、週明けのドル/円は105.35円レベルで寄り付いたのち、当初は買いが先行。週間高値である105.67円まで上昇したが、以降は逆にドル売りに押される展開となった。目先高値から1円以上下落した104.42円まで弱含みをたどったものの、週末にかけては再びドル買いの動きから105円台を再度回復する局面も観測されている。週末NYは104.90-95円で越週に。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「暗号資産をめぐる動き」と「中国情勢」について。
前者のうち、先でも取り上げたビットコインは6日に初めて4万ドルを突破したのちも基調としての上昇は継続。途中、米テスラが15億ドルものビットコイン投資を行ったことが明らかになり、それが好感されると、一時急騰する局面も。さらに、この週末14日には49600ドル台まで上値を伸ばし、ついに5万ドルを視野に入れた展開をたどっていた。ちなみに、今年の1月1日段階ではまだギリギリ3万ドル以下で推移していることから、年初来わずか1ヵ月半足らずで70%近い「暴騰」を記録している計算で、一部からはさすがに「バブル」を指摘する声も。
対して後者は、中国海警局の船が2日連続尖閣諸島沖で領海侵入するなど、領土をめぐり日本との対立が鮮明化するなか、米国とは逆に一部について対立緩和も。実際、バイデン米大統領が改めて「国防総省が対中戦略を見直す」と宣言したほか、米紙WSJがトランプ氏の強い肝煎りで進められていた「TikTokの米事業売却」について、「バイデン政権が無期延期にした」などと報じ、物議を醸していた。ただ、その一方で、通称「クワッド」と呼ばれる日米豪印による実質的な対中包囲網に関し、「日豪外相」や「米印首脳」など個別の電話会談が何度か繰り返され、対応が協議されていたようだ。
<< 今週の見通し >>
ドル/円は5日の105.76円まで上値を伸ばしたこともあり、大きな流れは依然としてドル高方向へのリスクが指摘されている。ただ、先週10日には1円以上も下落した104.42円を示現するなど、上値トライは一旦仕切り直しとなった印象を否めない。今週再びドル高へ振れ、前述した高値105.76円を超えていくような展開となるのか、それともいま少しレンジ取引をたどるのか、攻防が注視されている。なお、今週は週明け月曜日が「プレジデントデー」でNYが休場となるうえ、中国は17日まで春節(旧正月)にあたることから、「本格的な動意は参加者が戻ってくる18日以降、週末にかけて」−−などといった声も取り沙汰されていた。
一方、今週も米国を中心とした株価や金利の動きに注意しつつ、材料的には変異株が猛威を振るう新型コロナの状況や、各国政治ファクターなどにも要注意。たとえば、後者に関してはG7の今年の議長国である英国が、「G7首脳によるオンライン会談を19日に開くことを計画」とも報じられている。事実とすれば、先週末のイエレン米財務長官に続き、今度はバイデン米大統領が外交デビューとなるわけで、金融市場のみならず、その発言は大いに注視されそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は5日の105.76円でドル上値、先週10日の104.42円では逆に短期的な下値を試した感もある。つまり、足もと推移している105円挟みはなかなか居心地の良い水準かもしれず、いましばらく104.42-105.76円というレンジ取引が続く可能性を否定できない。
ただ、リスクとしては上向きで、レンジを放れるとすればドル高方向か。5日高値にも近い移動平均の200日線をめぐる攻防にも引き続き要注意だ。
材料的に見た場合、中長期的には領有権や人権問題などで様々な対立を抱える「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、2月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標が発表されるほか、1月26-27日開催分のFOMC議事録要旨が公開される予定だ。また、ユーロ圏財務相会合などが開催される欧州情勢、そして欧州通貨の動きにも一応注意を払いたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、104.20-106.30円。ドル高・円安については、引き続き200日線ならびに5日高値105.76円をめぐる攻防に注目。超えれば106円台回復、106.11円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、足もと104.40円レベルまでレベルを切り上げてきた移動平均の21日線がまずはサポートで、割り込んでも104.10-25円に位置する90日線や一目均衡表の先行帯の雲の上限などがドルの下値を支えそう。いずれにしても下値は堅いか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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