ユーロドルは先週のレンジを繰り返しやすい(週報2月第1週)

先週のユーロは、週前半は前週から続くECB関係者によるユーロ高けん制発言と米国株の下げに追随した欧州株安の動きがユーロ売りを強める動きとなりました。

ユーロドルは先週のレンジを繰り返しやすい(週報2月第1週)

ユーロドルは先週のレンジを繰り返しやすい

〇先週のユーロ、週前半はECB関係者によるユーロ高けん制発言と欧州株安の動きが売りを強める動きに
〇今週は欧州主要国の経済指標の発表が連日行われ、木曜には英中銀MPCも
〇英中銀はマイナス金利導入に否定的な為、ユーロも底堅さを示しやすいか
〇高値圏からの急落相場で株式市場参加者全体がリスクオフの動きに対して警戒的に
〇上昇時よりも下降時、ユーロドルは欧州株安によるユーロ売りに反応しやすいか
〇今週は1.2050レベルをサポートに1.2175レベルをレジスタンスとする週

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週前半は前週から続くECB関係者によるユーロ高けん制発言と米国株の下げに追随した欧州株安の動きがユーロ売りを強める動きとなりました。特に水曜に大きく下げた局面ではユーロ高牽制とともにECBの追加緩和の可能性にも言及したこと、そしてNY市場で米国株が大きく下げる動きとなったことから一時1.20台半ばまでユーロが売られる材料となりました。

週後半は株式市場に追随してユーロドルも買い戻しの後の下げという動きになりましたが、金曜にはフィンランド中銀総裁がECBの追加緩和には否定的な発言をしたことから、株式市場が一段安となる中でユーロは水曜からの安値を切り上げる動きを続けました。ECB関係者でもハト派、タカ派は当然いますが、通貨政策に関しては金融政策より足並みが揃っていると考えられ、ECBとしてユーロ高要因の調査を行っていることを考えると、ユーロの買い戻しも限界がありそうです。

今週は月初で連日欧州主要国の経済指標の発表がありますし、木曜には英中銀MPCもあります。しかし経済指標は多くが速報ではなく改定値であること、また英中銀は現状維持でマイナス金利導入には否定的であることからポンドは底堅い推移となりやすく、その点ではユーロも底堅さを示しやすいと言え、先週同様の上下ともにカウンターでの取引が出やすい状況が続きそうです。

もっとも影響を与えそうな要因は引き続き米国株式市場です。前週末1月22日から一週間の間に起きた米国ゲームストップ株の乱高下が主要株式の価格形成にも影響を与え、ボラティリティ(VIX)も大幅に上昇させることとなりました。ゲームストップ株の動きは収束したように思えますが、これまで調整らしい調整が無いまま高値圏からの急落相場で、株式市場参加者全体がリスクオフの動きに対して警戒的になっていると考えられます。

そうなると、株式市場は上昇時よりも下降時により敏感に動きやすくなりますし、米国株の動きが欧州の主要株価指数にも強く影響を与えていることから、ユーロドルについても欧州株安によるユーロ売りにより敏感に反応しやすくなると考えられます。引き続きユーロ高に対するECBの警戒感は1.20の大台よりも上の水準では関係者の発言として出てくる可能性も併せて考えると、全般的なドル高トレンドの中でユーロは下げる方向に警戒したいところです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ユーロドルは先週のレンジを繰り返しやすい

11月安値から1月高値までの上げに対して38.2%押しの水準は1月中旬も先週も止められていますので現状では強いサポートとなっていますが、材料的にはユーロ安方向への動きが強まりやすいこと、また次に試す動きが出てくると3度目のトライとなり、いったんは下げが強まる動きが考えられます。

1月高値を起点に18日安値までの下げ、その後の22日の戻しを3点としたフィボナッチ・エクスパンションを想定すると、50%エクスパンションが1.2041、61.8%エクスパンションが1.2006となっていて、1.20台前半がターゲットとなりやすい水準であることがわかります。また先週高値の1.2183レベルで短期的な戻り高値も見たと考えると、今週のところは基本的に先週のレンジの中でも動きを継続しやすいと言えそうです。今週は1.2050レベルをサポートに1.2175レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円のチャートを見てみましょう。

米国株の上下が欧州株の上下に影響し、その動きがユーロドルの上下に繋がる動きは書いた通りですが、ユーロ円はユーロの動きとドル円の動きが影響し、日本株が下げる時には単純に円安とはなっていないことは普段の日経平均とドル円の動きを見ていればわかります。

最近の米国株の下げによるリスクオフが為替相場ではドル高という表現が目立ちますが、少なくとも日本株と円相場については以前のように株安と円高がセットで動くことが多い印象です。そうなるとドル円の上昇とともに上がってきたユーロ円がここからどうなるのか、テクニカルな観点から考えてみましょう。

今週のコラム

ユーロ円は11月安値と10月高値を起点とした上昇ウェッジの中での動きを継続しています。またドル円週報に書いた通りですが、ドル円は今週一度は大台105円をトライする可能性が高い地合いにあります。ユーロ円は1月上旬の高値が年初来高値となっていますが、現在の水準はそれほど離れていないこと、また年初来高値を上抜ける動きが出るとある程度は上方向に走ることが考えられます。

今週は円要因で円安→ユーロ円の上昇となる可能性が高そうに思えますが、その場合でも日本株が上昇する動きになっているとも思えず、今週のところは株安の中でのユーロ円上昇という先週後半の動きが再現されるのではないかと見ています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

2月1日(月)
16:00 ドイツ12月小売売上高
17:50 フランス1月製造業PMI
17:55 ドイツ1月製造業PMI
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏12月失業率

2月2日(火)
16:00 英国1月住宅価格
16:45 フランス1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値

2月3日(水)
17:50 フランス1月サービス業PMI
17:55 ドイツ1月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏1月サービス業PMI
18:30 英国1月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏12月PPI

2月4日(木)
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月小売売上高
21:00 英中銀MPC結果発表

2月5日(金)
16:00 ドイツ12月製造業新規受注
16:45 フランス12月貿易収支
22:30 英中銀総裁講演、デギンドスECB副総裁講演
22:30 米国1月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月25日(月)
ユーロドルは東京市場では動きが無かったものの欧州市場に入り発表された弱めの経済指標をきっかけに欧州株が下落、ユーロドルも前日安値を割り込みました。その後も上値の重たい動きが続きNY市場ではストップオーダーも引っ掛けて1.2116レベルまで売られた後にやや戻して引けました。

1月26日(火)
ユーロドルは東京市場では売りが先行していたものの欧州市場に入り前日とは逆に欧州株が強い動きとなったこともあって、欧州市場序盤の安値1.2108レベルから1.2176レベルまで水準を切り上げ、そのまま高値圏でもみあいのまま引けました。

1月27日(水)
ユーロドルは東京市場では上値が重たい程度でしたが、欧州市場に入りオランダ中銀総裁がユーロ高に対して対処する手段があると発言したことをきっかけに売りが強まりました。前日安値を下回るとストップも巻き込みながら一時1.2059レベルの安値をつけ、引けにかけては1.21台を回復して引けました。

1月28日(木)
ユーロドルはNY市場まではもみあいを続けていましたが、NY市場に入りダウに買い戻しの動きが見られ、欧州株も連れ高となったことからユーロ買いの動きとなりました。ただ前日までのECB関係者による一連のユーロ高牽制発言もあり上値も限定的なままで引けました。

1月29日(金)
ユーロドルは東京前場こそドル円と歩調を揃えてドル買いが先行しましたが下げきれず東京後場以降は一転買い戻し。欧州市場ではユーロ円の買いも手伝って前日高値を上抜け、NY市場では一時1.2156レベルの高値をつけました。しかしNY後場には米国株に改めて売りが入ったことから欧州株先物も下げ、1.21台前半へと押しての月末クローズとなりました。

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