ユーロはもみあいも上値が重い流れに(週報1月第4週)

先週のユーロは、月曜安値金曜高値と水曜に押しを挟んだものの週を通してユーロが強い地合いを続けました。

ユーロはもみあいも上値が重い流れに(週報1月第4週)

ユーロはもみあいも上値が重い流れに

〇先週のユーロ、週を通してユーロが強い地合い続ける
〇29日発表のドイツとフランス10〜12月期GDP速報値に注目、両国ともマイナス成長予想
〇景気減速懸念のきっかけになれば、先週のユーロ買いに対して調整の売りが出てくる可能性
〇FOMCの結果次第でドル安の動きが出てくればユーロ買いに
〇ユーロポンドの下げが加速すればユーロドルの下げのきっかけとなる可能性も
〇ユーロドル今週は1.2075レベルをサポートに1.2210レベルをレジスタンスとする週

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、月曜安値金曜高値と水曜に押しを挟んだものの週を通してユーロが強い地合いを続けました。材料としては欧州から強めの経済指標が見られたことで、最近のロックダウンによる景気減速懸念がやや後退したこと、ECB理事会においてユーロの水準に特段の言及が無かったこともユーロ買いに安心感を与えていたと言えます。

しかし、金曜の動きを見ていると1.21台後半ではユーロ売りが出てくること、また先週の高値1.22台前半には距離もあり、短期的には先週月曜で安値をつけたものの中長期的には年初来高値1.23台からの調整局面が続いているという見方も否定できません。

今週はラガルドECB総裁やECB理事の講演はあるもののECB理事会の翌週ということもあって注目度はやや低めです。それよりは最近強めの経済指標も見られる中で、29日に発表されるドイツとフランスの10〜12月期GDP速報値が最大の注目材料でしょうか。前期は両国とも大きくプラスとなっていたものの、今期の数字は両国とも改めてマイナス成長に沈み込む予想です。

ロックダウンが強化されつつあることを考えると1〜3月期の成長も期待できそうもないなど、直近でやや緩和していた景気減速に懸念が広がるきっかけとなる可能性もあります。蓋を開けてみないとわからないものの先週のユーロ買いに対して調整の売りが出てくる可能性があるのではないかと見ています。

それ以外には今週は目立った材料は無いもののFOMCの結果次第でドル安の動きが出てくるとすれば、それはユーロ買いとなりますがその場合でも先々週の高値圏1.22台前半はレジスタンスになってくるでしょう。早速ですがテクニカルな観点からも見てみます。いつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロはもみあいも上値が重い流れに

11月安値から1月高値までの上げに対して、先週安値は38.2%押しの水準で止められていますし、同水準は12月上旬に押しが入った際の安値ともほぼ一致しています。そして1月高値から先週安値までの下げに対しては金曜の高値圏は半値戻しとほぼ重なりますが、61.8%戻しの1.2235は先々週の高値圏と重なる水準にあり、先週初からの上げの限界点に近い水準になるという見方ができそうです。

ここからの展開としては上がった場合には1.22台前半はあっても、同水準からは反転しやすいですし、逆にストレートに下げる可能性も否定できず、その場合には1月高値からの逆N波動を考え再び先週安値圏に近づいていくというイメージが考えられます。個人的にはいったん1.22台に乗せた後に1.21を割り込んでいく動きを考え、今週は1.2075レベルをサポートに1.2210レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロポンドのチャートを見てみましょう。

今週のコラム

先週のユーロドルの上昇トレンドの中で水曜にユーロが下げた直接的なきっかけはユーロポンドの売りでした。この時にユーロポンドは0.8850を割り込み昨年5月15日以来の安値をつけました。ユーロポンドは先々週にピンクのサポートラインを下抜け、先週には赤の水平線を下抜けと12月高値からの下げを明確にしてきています。

いったんは先週の下げがダマシっぽい動きとはなっているものの中期的にはユーロポンドの下げが加速する可能性があり、この動きが出てくる時はユーロドルの下げのきっかけとなる可能性があるため、注意深く見ておきたいところです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月25日(月)
17:45 ラガルドECB総裁講演
18:00 ドイツ1月ifo企業景況感
22:45 レーンECB理事講演
**:** ダボス会議(〜29日)

1月26日(火)
16:00 英国12月失業率

1月27日(水)
16:00 ドイツ2月GFK消費者信頼感
16:45 フランス1月消費者信頼感
24:00 レーンECB理事講演
28:00 FOMC結果公表
28:30 パウエルFRB議長講演

1月28日(木)
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感
22:00 ドイツ1月CPI速報値
26:15 シュナーベルECB理事講演

1月29日(金)
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
16:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値
16:45 フランス12月PPI
17:55 ドイツ1月失業率

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月18日(月)
ユーロドルは上値が重たい流れが続いたもののほとんど動きが見られず、1日のレンジも33pipsに留まりました。欧州市場で1.2053レベルの安値をつけたものの引けにかけては買い戻しも見られ東京市場の水準に戻して引けました。

1月19日(火)
ユーロドルは東京市場ではユーロ円の買いが、欧州市場では強い経済指標をきっかけとしたユーロ買いが継続、NY市場前場には1.2145レベルの高値をつけました。その後は1.21台半ばでユーロ売りオーダーが出てきたこと、またユーロ円がドル円とともに下げに転じたことからやや押しての引けとなりました。

1月20日(水)
ユーロドルは東京市場では全般的なドル安の動きからユーロ買いとなっていましたが、欧州市場に入りユーロポンドの売りをきっかけにユーロが他通貨に対して売りが強まり、ユーロドルはNY前場には1.2077レベル、ユーロ円も125.27レベルまで水準を切り下げました。引けにかけては買い戻しも出て1.21台を回復して引けました。

1月21日(木)
ユーロドルは前日の下げに対してECB理事会を前にしたポジション調整の買い戻しが目立ちました。またECB理事会でユーロの水準に対して言及がなかったこともユーロの買いを強め1.2173レベルまで上昇後、若干押しての引けとなりました。

1月22日(金)
ユーロドルは高値圏でもみあいの一日となりました。東京市場では買いが先行、いったん押しは入ったものの欧州市場前場に1.2190レベルと週間高値をつけました。その後は1.21台後半で売りも見られたことから1.2170レベルを中心とした高値圏でのもみあいのまま引けました。

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