ユーロドル 年末高値から調整の一週間(週報1月第1週)

新年入りして貿易以外のデメリットを目にすることも増えるでしょうから11月初めから2か月続いているユーロ高の調整局面入りとさせる材料となる可能性があります。

ユーロドル 年末高値から調整の一週間(週報1月第1週)

年末高値から調整の一週間

〇先週のユーロ、年末に向け12/30,12/31と1.2310レベルの高値をつけ年初来高値を更新する年末相場
〇EU英国の貿易協定可決、既に合意を織り込んでいたことから大きな動きにはならず
〇ドイツでの部分的ロックダウン強化、延長されるとの見方強くユーロ売りの材料とされる可能性あるか
〇更なるユーロ高も考えられるがそこまでの好材料見当たらず、高値からの調整が続きやすい週になるか
〇今週は1.2150レベルをサポートに1.2300レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

先週のユーロは、年末に向け30・31日と1.2310レベルの高値をつけ年初来高値を更新する年末相場となりましたが、30日には材料視されなかったフィンランド中銀総裁によるユーロ高牽制発言をきっかけに、短期的には1.23台で目先の高値を見た格好となりました。為替市場も年末年始は3連休となることからそれなりに買い手の利食いも入ったと考えられます。

先週はEUと英国との貿易協定もギリギリで可決され、欧州通貨買いで反応はしたもののこれまでさんざん引き延ばされてきたこともあって、市場参加者はようやく通商協議から離れられるということからほっとした感もあり、大きな動きにはなりませんでした。既に合意を織り込んでいたことから好材料がひとつ無くなったという見方の方が妥当かもしれません。というのも先週も書いたように将来的な再交渉含みでの合意であることや、通商面以外では単一市場から出たことで様々な分野で障壁が懸念されるということもあります。

これまで通商協議ばかりが注目されていましたが、新年入りして貿易以外のデメリットを目にすることも増えるでしょうから11月初めから2か月続いているユーロ高の調整局面入りとさせる材料となる可能性があります。また、まだ数字には出てきませんがドイツでは部分的ロックダウンの強化が12月16日に行われましたが、当然経済回復の鈍化に繋がります。当初1月10日までが予定されていましたが、新規感染者も死亡者も増加している現状では延長されるとの見方が強く、ユーロ売りの材料とされる可能性がありそうです。

今週は月初ですから連日欧州主要国の経済指標が発表されますが、まだ12月中旬以降の動きは反映されていませんので、細かい変動要因にはなるでしょうが注目すべきは12月後半以降のドイツの数字が出てくるようになってからでしょう。米国雇用統計も以前に比べて注目度は低下していますので、それよりも2021年に新たに投票権を持つ米国地区連銀総裁の発言の方が注目されるかもしれません。ちなみに昨年に比べ2021年のFOMCメンバーは一段とハト派になっています。

テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

12月上旬以降、ピンクの平行線で示した上昇チャンネルの中での動きとなっていますが、年末に1.2310レベル(チャート内1.2309)で高値をつけ、ユーロ高けん制発言が出ていることなどを考えると年初はユーロ売りが先行しやすい地合いで、11月安値と12月高値の23.6%押しが1.2142となっていることから1.21台半ばまでの下押しは考えておくべきかと思います。

更なるユーロ高の動きも考えられるものの、現状ではそこまでの好材料は見当たらず、今週は高値からの調整が続きやすい一週間になると見ています。今週は1.2150レベルをサポートに1.2300レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円のチャートを見てみましょう。

今週のコラム

短期的にはピンクの平行線で引いた上昇チャンネルを想定することも可能ですが、既に下限に近くどちらかと言うと黄色のラインマーカーで示した125円台後半から127円の間で横方向のもみあいを継続していると見る方が妥当です。ユーロドルもドル円もドル安トレンドが続く中でユーロ円はドルを介在して中立な動きを1か月続けていることになります。

そろそろ動きが出て来ても良さそうなのですが、ドル円が新型コロナの感染者拡大を懸念した株安による円高の動き、ユーロドルも短期的にはいったん高値をつけたと考えると下抜けを考えやすく、10・11月の高値圏となった125円水準への下押しを考えやすくなってきている段階と見ています。年初は3主要通貨ペアともに下方向を見ていることになります。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月4日(月)
17:50 フランス12月製造業PMI
17:55 ドイツ12月製造業PMI
18:00 ユーロ圏12月製造業PMI
18:30 英国12月製造業PMI

1月5日(火)
16:45 フランス12月CPI速報値
17:55 ドイツ12月失業率

1月6日(水)
16:45 フランス12月消費者信頼感
17:50 フランス12月サービス業PMI
17:55 ドイツ12月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏12月サービス業PMI
18:30 英国12月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏11月PPI
22:00 ドイツ12月CPI速報値
23:00 英中銀総裁講演

1月7日(木)
16:00 ドイツ11月製造業新規受注
18:30 英国12月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月CPI速報値、消費者信頼感
19:00 ユーロ圏11月小売売上高

1月8日(金)
16:00 ドイツ11月貿易収支、鉱工業生産
16:45 フランス11月貿易収支、鉱工業生産
19:00 ユーロ圏11月失業率
22:30 米国12月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月28日(月)
ユーロは東京市場では買い、欧州市場では売りとなりましたが、欧州市場は振替で休場の国もあったことから参加者が少ない中での上下になっていた様子でした。その後は、ドル買い(ユーロ売り)とユーロ円の買いに挟まれ方向感が無いままに引けました。

12月29日(火)
ユーロは前日のもみあいを上抜け東京前場からユーロ買いが強まり、対ドル、対円ともにユーロ買いが強まる展開となりました。NY市場に入り年初来高値を更新すると、達成感とその後のダウ反転によるユーロ円の下げからユーロドルも押す場面も見られましたが、基本的に強い地合いのままで一日を終えました。

12月30日(水)
ユーロドルは東京前場にはドル円での円買いよりもユーロ買いが目立っていましたが特に材料は見当たらず、その後はドル円の円買いがユーロ円にも影響し欧州市場序盤には東京朝方の水準に戻していました。しかし海外市場では改めてユーロ買いの動きとなり、EUと英国との貿易協定が英国議会で可決されたことも欧州通貨買いに繋がり1.2310レベルの高値をつけた後やや押して引けました。

12月31日(木)
東京市場が休場となる中でユーロドルはアジア市場朝方に買いが先行したものの前日高値は超えられず、上値が重たい流れが続きました。NY市場に入り前日は反応しなかったユーロ高牽制発言を改めて材料視し、連休前のポジション調整から引けにかけては1.2215レベルまで水準を切り下げ安値引けの年末となりました。

1月1日(金)
全市場休場


注:ポイント要約は編集部

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