ユーロも年内はもみあい(週報12月第4週)

先週のユーロは、EUと英国との通商協議にのみ注目が集まり、週初は継続協議を懸念した売りが先行、週後半はクリスマスで取引が細って引けました。

ユーロも年内はもみあい(週報12月第4週)

ユーロも年内はもみあい

〇先週のユーロ週初はEUと英国の通商協議継続を懸念した売りに、後半はクリスマスで取引が細り引ける
〇通商協議は合意になり関税ゼロは継続となるも、再交渉含みでの合意や通商以外では双方の間に大きな壁
〇短期的にはポンド高で動く可能性も、長期的にはポンド売りの流れか
〇ユーロは短期的に調整局面入り、ドル売りの流れは続き年明けには12月高値を更新の可能性
〇今週は1.2150レベルをサポートに1.2250レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、EUと英国との通商協議にのみ注目が集まり、週初は継続協議を懸念した売りが先行、その後買い戻しは入ったものの米国GDP確報値によるドル買いで改めて売られて24日を迎えました。東京時間から既に合意の思惑が強まりポンド買いとユーロ買いの動きとなっていましたが、途中からはユーロポンドのポンド買いがユーロの上値を抑える動きとなりました。週後半はクリスマスで欧州が週末を挟んで休みとなる国もあることから、取引が細って引けました。

EUと英国との通商協議がようやく合意に辿り着きましたが、一時は合意無しの離脱という見方も強まる中で、新型コロナウイルスの変異による感染拡大もあり、おそらくはジョンソン首相のシナリオ通りだったのでしょうが、引っ張って、引っ張って最後に譲歩して合意という結果に落ち着きました。市場参加者もこれまで振り回されて、いい加減疲れていたでしょうし、時期的にクリスマスということもあってポンドに買いは入ったものの思ったほどの動きにはなっていません。

ただ通商協議がまとまって関税ゼロは継続となるものの、今後の再交渉含みでの合意であることや、通商面以外ではEUと英国との間に大きな壁が出来るという事実には変わりありません。一例として英国の金融機関はロンドンからEU内でのビジネス強化を迫られますし、これはその他のサービス業においても同様です。各種手続きは煩雑となり明らかに単一市場から出たということを1月1日以降各所で見ることとなるでしょう。

おそらく短期的にはポンド高の反応で動くのでしょうが、長期的にはポンド売りの流れが出てくるのではないかと考えています。こちらは今週のコラムでのポンド月足チャートもご覧ください。

いっぽうでユーロについては、これまでのユーロ高の流れに対して短期的には調整局面入りとなっていますが、ドル売りの流れ自体は今後も続いていくと考えられ、現在のもみあいを改めて上抜けして12月高値を年明けにも更新してくる可能性は高いでしょう。ただ、年内は現在の様子見が継続しやすいと見ています。

予定を見ても今週は何も無い状態ですので、日足チャートをご覧ください。

ユーロも年内はもみあい

直近ではピンクのラインで示した収束状態となっていて、さすがにどちらかに抜ける動きは出てくるでしょうが、それでも横方向の動きとなって方向感が年内に出てくることは無いでしょう。もみあいの中心が1.22水準となっていますので、年内は同水準を中心としたもみあいを考えます。今週は1.2150レベルをサポートに1.2250レベルをレジスタンスとする週を見ておきますが、12月31日の東京市場休場時は振れる可能性もありますので、念の為注意してください。

なお、カレンダー通りとなりますので、次回のユーロ週報は1月4日となります。

今週のコラム

今週はポンドドルの月足チャートをご覧ください。

今週のコラム

紫の四角が一年、2014年高値と2020年安値の戻しを赤のターゲットで、2018年高値と2020年安値の戻しを青のターゲットで示してありますが、どちらも似た水準にあることがわかります。現在の水準から1.37台半ばまではいったん引っかかりやすいところで、1.37台半ばを明確に上抜けるまではポンド高という流れにはなってこないでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

12月28日(月)
**:** オセアニア、英国、カナダ休場

12月29日(火)
(特になし)

12月30日(水)
16:00 英国12月住宅価格

12月31日(木)
**:** 東京、ドイツ休場。米国短縮取引。

1月1日(金)
**:** 全市場休場
**:** 英国がEUから離脱

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月21日(月)
ユーロはEUと英国との協議がまとまらないまま週明けを迎えたことと、英国での変異ウイルスによる新たな行動制限を嫌気したポンド売りとともにユーロも売りが先行、欧州市場序盤には1.2167レベルの安値をつけました。その後いったん東京朝方の水準に戻したものの改めて売りが強まり1.2129レベルの安値をつけました。

12月22日(火)
ユーロドルは東京市場ではじり安、欧州市場に入ってからは買い戻しという動きとなりましたが、どちらかというと上値の重たさを感じさせてのNY市場入り。NY市場では経済指標をきっかけにドル買いの動きとなり、1.2151レベルまで水準を下げての安値引けとなりました。

12月23日(水)
ユーロドルは動きは鈍かったものの前日NY市場での下げに対して緩やかな調整の買い戻しが終日目立ちました。EUと英国との通商協議が24日にも合意する流れが見えてきたことから底堅さはあるものの、結果を見るまでは動きたくないという流れでした。

12月24日(木)
 クリスマスイブで一部の市場は休場、短縮取引と流動性が低下する中で、東京市場ではEUと英国との通商協議合意期待が高まりました。ポンドはじり高、ユーロも東京前場こそじり高となっていたものの、後場以降はユーロポンドでもポンド買いの動きが見られ、ユーロはじり安へと方向転換。その後もユーロ安・ドル高の動きがドル円ではドルの底堅さにつながりました。合意はNY市場前場に正式に発表されました。

12月25日(金)
 クリスマスで東京を除いて主要市場は全休場、東京市場でも国内業者がワイドスプレッドでレートを提示していた程度で閑散なままで一週間の取引を終えました。

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