トルコリラ円レポート月曜版
〇トルコリラ円、史上最安値14.19で更新も動きが鈍い展開に
〇CPI・PPI共に前年比で上昇、政策金利8.25%と比べると高止まり、次回トルコ中銀会合に注視
〇東地中海でのトルコとギリシャの対立は緊張緩和に向けた協議を始めることを合意
〇今週のトルコリラ円、14.05レベルをサポートに先週高値圏14.40レベルをレジスタンスとする流れ
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、毎回同じようなレンジを書いていても先週も「史上最安値を更新する可能性が高く大台14.00をサポートに、14.60レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が14.19レベル、高値が14.44レベルとなり、史上最安値は更新したものの予想以上に動きが鈍い展開となりました。
先週のトルコリラは、2日までは前週の狭いレンジの中で横ばいを続け、全く動意無しの状態でしたが、上値は重く翌3日に史上最安値をわずか2銭したのみで若干戻しての週末となりました。この市場最安値更新の動きは、ドルトルコリラで前週のドル高値を上抜け対ドルでのトルコリラ史上最安値更新を受けての動きです。対ドルでは7.46目前の水準までトルコリラ安が進みましたが、ドル円も底堅い動きとなっていたことでトルコリラ円では大きな動きとはなりませんでした。
先週は材料にはなりませんでしたが、CPI・PPIともに前年比で上昇し政策金利の8.25%にと比べると高止まっています。次回のトルコ中銀会合は9月24日でまだ日がありますが、ドルトルコリラにおけるトルコリラ売りの一要因となっています。
また現在紛争の火種となっている地域は南シナ海と東地中海ですが、東地中海でのトルコとギリシャとの対立にやや変化が見られました。EUも制裁をちらつかせる中で3日に両国が緊張緩和に向けた協議を始めることで合意したというニュースが出ています。トルコリラには好材料ですが、協議が始まるのみで具体的にどうなるかはこれからという点ではこれだけでトルコリラ反転は期待できないでしょう。
また新型コロナでは、どの国も経済活動再開後に感染者が増えているという点では同じですが、トルコでも5日に5月15日以来の数字まで1日あたりの感染者が増えています。増加のペースが緩やかなため現時点では気にするほどでは無いかもしれませんが、国内外の旅行客の移動を早々に緩和してきただけに、今後の動向はやや気になるところです。
今週はトルコの経済指標では失業率と経常収支の発表がありますが、これらはあまり大きな材料とはなりそうもありませんので、引き続き対ドルの水準を気にしながらの値動きが続きやすいというところです。今週はまずドルトルコリラの日足チャートから見ていきます。
基本的にドル高・トルコリラ安を継続しているため、テクニカルにきれいな上昇N波動の3点を決めることが困難です。つまり、フィボナッチ・エクスパンションが使いにくいので、今回はフィボナッチ・プロジェクション(フィボナッチ・リトレースメントの100%以上の戻し)を使ってみましょう。
ドルの5月高値と6月安値を基準にフィボナッチ・リトレースメントの100%超えを見ると127.2%(161.8%の平方根)プロジェクションが7.4263(下の青のターゲット)と最近の高値圏と重なっています。次は161.8%プロジェクションがターゲットとなりますが、こちらは7.6270(上の青のターゲット)となっています。まだ距離はあるものの、中期的には7.60超えを試しやすいと見ることができます。
次にいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
先週引いたラインをそのまま残してありますが、上側のレジスタンスラインは依然として有効です。また前回の史上最安値に水平線を引いてありますが、下抜けしたとは言い切れないものの戻しも弱いことを考えると引き続き14円の大台を視野に入れる流れには変化は無いものと考えています。
今週もトルコリラ円は史上最安値更新を継続しやすい流れにあり、大台の手前14.05レベルをサポートに、先週の高値圏14.40レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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