トルコリラ円見通し 対ドルで最安値更新中、対円も最安値更新迫る(20/9/7)

トルコリラ円は9月4日夜に一時的な上昇で14.36円まで戻したものの早々に売られて9月5日早朝には14.19円まで下落して8月21日以降の安値更新した。

トルコリラ円見通し 対ドルで最安値更新中、対円も最安値更新迫る(20/9/7)

対ドルで最安値更新中、対円も最安値更新迫る

〇トルコリラ円、9/5早朝に14.19まで下落、8/21以降の安値更新
〇対ドルでは9/4に7.46で最安値更新、対ユーロは終値ベースで9/3に8.80で史上最安値更新
〇マイナス金利状態、市場介入資金力の低下により対ドルや対ユーロで史上最安値更新が続く
〇トルコ観光収入が激減した状況に陥っている為、リラ売りを助長している
〇14.36を超えないうちはもう一段安余地あり、14.19割れから14.10、14.00を試す下落を想定
〇14.36を上抜く場合、14.40台前半への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円は9月4日夜に一時的な上昇で14.36円まで戻したものの早々に売られて9月5日早朝には14.19円まで下落して8月21日以降の安値更新した。8月10日に史上最安値14.07円を付けた後は8月12日に14.79円、8月21日に14.65円と戻り高値を切り下げ、8月19日安値14.21円の後は8月24日朝安値14.28円、その後は14.30円台を維持してほぼフラットな下値支持線を形成して14.30円台を中心とした小レンジでの推移となり、8月10日以降の日足は三角持ち合い型となってきた。
トルコリラ円の史上最安値はベンダーによっては8月18日の14.235円であり、9月3日安値14.231円で既に安値を更新し、9月4日も14.222円への続落により8月10日以降の三角持ち合いから下放れ始めている。8月10日はフラッシュクラッシュ的な急落だったために取引業者によっては安値に乖離も発生しているので、全般的な流れとしては8月後半からの持ち合いから転落し始めてすでに史上最安値更新に入ってきている状況と認識すべきだろう。

【トルコリラの対ドル・対ユーロでの下落基調続く】

トルコリラは対ドルにおいて9月3日夜に7.45リラを付けて8月26日につけた7.42リラの史上最安値を更新したが、9月4日も7.46リラまで最安値を更新している。日足では8月31日から5日連続・丸1週間の下落となり、週足では前週比1.41%の下落となった。
対ユーロでのトルコリラは9月1日に8.84リラまで史上最安値を更新した後は新たな高値更新へ進めずにいるが、終値ベースでは9月3日に8.80リラをつけて9月1日の8.77リラを割り込んで史上最安値を更新している。9月1日夜からユーロが対ドルで下落してきたことがトルコリラには若干の下支えではあるが最安値圏にとどまった状況にある。

【トルコ消費者物価上昇率は高止まり、実質マイナス金利状態続く】

先週のトルコ経済指標は8月31日の4−6月期GDP、9月3日の物価指数等でトルコリラ売りを加速させるものが続いた。
8月31日に発表されたトルコの4−6月期GDPは前期比でマイナス11.0%となり1−3月期のマイナス0.1%から大幅に悪化して市場予想のマイナス8.2%を下回った。前年比はマイナス9.9%となり1−3月期の4.4%から大幅悪化したものの市場予想のマイナス10.7%を若干上回った。6月からの経済活動再開によっても大幅な落ち込みの状況が続いているが、8月後半からは新型コロナウイルス感染者が再び増加傾向に入り始めているために7−9月期の回復への力強い期待感は後退しつつある。
9月3日発表されたトルコの8月消費者物価は前月比0.86%上昇となり7月の0.58%から上昇、前年比は11.77%で7月の11.76%から若干の上昇だったが、8月の生産者物価指数は前月比2.35%上昇で7月の1.02%上昇から伸びが加速し、前年比では11.53%となり7月の8.33%から大幅上昇となった。

トルコリラが対ドルや対ユーロで史上最安値を更新しているのはトルコ中銀が政策金利(週間レポレート)を8.25%に据え置く中で物価上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態に陥っていることと、外貨準備高の減少による通貨貿易力=市場介入資金力の低下による先安懸念が膨張していることが背景だ。コロナ不況の長期化のなかで、トルコにとって最重要産業でもある観光収入が激減した状況に陥っていることがトルコリラ売りを助長している。海外金融機関だけでなく、トルコ国内においてもトルコリラ安を嫌ってドルやユーロ及びゴールドへの換金が進んでいる。
トルコ中銀の次回金融政策決定会合は9月24日。今週は9月10日に失業率の発表がある。

【4か月サイクルによる一段安への警戒とその後の反騰への注意】

【4か月サイクルによる一段安への警戒とその後の反騰への注意】

トルコリラ円は概ね4か月周期の底打ちサイクルで推移してきた。通貨危機的下落となった2018年8月13日安値以降は4か月半後の2019年1月3日底、4か月後の2019年5月9日底、4か月弱の同年8月26日底、4か月強の2020年1月6日底、4か月目の同年5月7日底がこのサイクルの底打ちであった。5月7日底から現在までがちょうど4か月目となる。すでにこのサイクルの底を付けていったん反騰期に入っても不思議ない時間帯にあるが、日足チャートでは8月10日及び8月18日の安値を下値支持線とした三角持ち合いから転落し始めているところであり、持ち合い下放れによる一段安が加速して当面の安値を付けた後にいったん買い戻されるという展開になりやすいのではないかと思われる。

4か月サイクルはやや長引けば4か月半を要しているので、今回もやや長引く場合は9月24日のトルコ中銀政策金利発表を前後するところまでは一段安懸念が継続すると思われるが、昨年5月7日への急落後も大きく戻したように、史上最安値を更新しながら下げが加速する場合は売られ過ぎの反動による自律的反発でも戻りが大きくなる可能性もあるところと注意する。

【当面のポイント】

(1)9月4日夜に14.36円まで一時的に戻してからの一段安で9月5日早朝に14.19円の安値を付けているので、当面はこの高安レンジを上下いずれへ抜けるのかで流れを見定めたい。
(2)9月4日夜高値14.36円を超えないうちはもう一段安余地ありとし、9月5日未明安値割れからは14.10円、次いで14.00円を段階的に試す下落を想定する。14.10円以下は反発注意圏とみるが、対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安が加速する場合は14.00円割れへ向かう可能性もあるところと注意する。
(3)9月4日夜高値14.36円を上抜く場合は14.40円台前半への上昇を想定するが、中期的な流れがまだ一段安警戒の範囲にあると仮定すれば14.40円以上は戻り売りにつかまりやすいところとし、その後に14.25円を割り込むところからは下げ再開と一段安警戒と考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月10日
 16:00 6月失業率 (5月 12.9%、予想 13.4%)
 20:30 週次外貨準備高 9/4時点 (8/28時点 415.9億ドル)
9月11日
 16:00 7月経常収支 (6月 −29.3億ドル、予想 20.00億ドル)
9月14日
 16:00 7月鉱工業生産 前年比 (6月 0.1%、予想 1.8%)
 16:00 7月小売売上高 前月比 (6月 16.5%、予想 5.6%)
 16:00 7月小売売上高 前年比 (6月 -0.8%、予想 1.0%)
9月17日
 20:30 週次外貨準備高 9/11時点
9月21日
 23:30 8月中央政府債務残高 (7月 1721億ドル)

9月22日
 16:00 9月消費者信頼感指数 (8月 59.6)
9月23日
 19:30 8月自動車生産台数 前年比 (7月 -11.8%)
9月24日
 16:00 9月製造業景況感 (8月 106.2)
 16:00 9月設備稼働率 (8月 73.3)
 20:00 トルコ中銀 政策金利発表 (現行 8.25%)
 20:30 週次外貨準備高 9/18時点
9月25日
 17:00 8月観光客数 前年比 (7月 -85.9%)  

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