レンジ上限超えなるか、ドル高正念場に(週報9月第1週)

先週のドル円は、ドルが小高いが高値は106円半ばまでと引き続きレンジ内。米雇用統計、とくに失業率がかなりの好数字となったが、レンジブレークには至らなかった。

レンジ上限超えなるか、ドル高正念場に(週報9月第1週)

レンジ上限超えなるか、ドル高正念場に

〇先週のドル円、一時106円半ばまで値を上げるも、レンジ上限107円には届かず
〇菅官房長官の出馬により安倍政権下での政策継続との期待感からドル買い・円売りに
〇ユーロドル、2018年5月以来の一時1.20ドル台を回復するもその後は急速に上げ渋り
〇引き続き米中対立注意、さらに豪、印、欧州と中国との関係悪化も懸念
〇本日7日レーバーデーでNY休場、来週の米FOMCを控え週間通しやや動きにくい展開
〇今週のドル円予想レンジ105.20-107.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小高い。ただ、高値は106円半ばまでと、引き続きレンジ内。週末の米雇用統計、とくに失業率がかなりの好数字となったが、レンジブレークには至らなかった。

8月28日の金曜日、安倍首相が突然の「辞意表明」。それを受け、後任人事をめぐる「日本の政局」に対する不安感が取り沙汰されたが、先週末には最有力候補とされる「菅官房長官が自民党総裁選に出馬の意向」と伝えられていた。

そうしたなか取引が始まったドル/円は105.40円前後で寄り付いたのち、週間安値である105.29円をつけたが、以降はドルの買戻しが目立つ展開に。菅官房長官の出馬により、安倍政権下での政策が継続されるとの期待感に繋がるとドル買い・円売りに寄与していたようだ。ドルは一時106円半ばまで値を上げたが、レンジ上限である107円にはとどかず。NYは週間を通したドルの高値圏106.20-25円で取引を終え、越週している。
なお、それとは別にユーロが対円やドルで週間を通して堅調裡。ユーロ/ドルは2018年5月以来となる一時1.20ドル台を回復する局面も観測されていたが、当局者から「口先介入」と思しき動きも観測され、その後は急速に上げ渋った。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の政局」と「中国情勢」について。
前者は、トランプ米大統領と過去最高ともいえる蜜月関係を築いてきた安倍首相が退任するだけに、当初は金融市場でも強い警戒感が聞かれていたが、前述したように菅官房長官が出馬の意向を示したことで、警戒感が一気に後退した。ちなみに、今回の自民党総裁選は当初の予想通り、菅官房長官と石破元幹事長、岸田政調会長の三つ巴の争いになるだけでなく、最終的には菅官房長官が勝利を収め、次期首相になるとの見方が有力だ。そのため、安倍氏が行ってきた政策の継続性を期待する向きは大勢となっている感を否めない。

対して後者は、引き続き米中の対立が様々な分野で取り沙汰されるなか、別途、豪中や中印の関係悪化も思惑を呼んでいた。また、訪台しているチェコの議長が台湾総統と会談を実施したことに、中国外務省が「公然とした挑発」とする批判を行ったことについて、欧州との関係悪化も懸念されていたようだ。一方で、欧州との関係改善を目的として中国要人が外交攻勢を強めていたものの、後者チェコの話については、ドイツやフランスから強い懸念発言が聞かれるなど工作が不調に終わった感もうかがえた。

<< 今週の見通し >>

「安倍首相の辞意表明」を受けた「日本の政治不安」は取り敢えず一服。市場を席巻している「菅官房長官が後任に指名される」といったシナリオ通りで進めば、マーケットがそれほどネガティブに捉えることもなく、今後あまり材料視されることがないかもしれない。そうした意味ではドル高がやや有利か。また、先週発表された米経済指標は、週末の雇用統計を中心になかなか良好なものが多く、それもドルの支援要因だったが、NYダウなど米株は逆に週末にかけて総じて冴えなかったところはやや気掛かり。基本的には、まだ調整の範囲内との見方が有力ではあるものの、予断は許さない。さらに続落するようだと、為替市場においてもドル売りなどで反応する可能性もある。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」などのほか、「ベラルーシ情勢」や「安倍首相辞任とその後継者人事」も新規要因として注意が必要だろう。今週は週初7日がレーバーデーでNYが休場。来週に注目の米FOMCが控えていることで、週間を通してやや動きにくい展開をたどるとの見方も少なくないようだ。ただ、米ファンダメンタルズ要因への関心は依然高く、発表される米経済指標などにも引き続き注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、名実ともに9月相場入りしているが、引き続き8月相場のレンジにとどまっている。方向性はいまだ乏しく、今週も105-107円の上下いずれを「しっかり」とブレークするのか、その方向性とタイミングを注視したい。なお、ドル/円単体では上値も重そうだが、対ユーロなどでドル買いがさらに進むとの見方から、対円でもドルは連れ高になるとの指摘も一部で聞かれていたようだ。

一方、今週は、8月の米消費者物価指数が発表されるほか、先週発表された8月の米雇用統計が良好だったこともあり、週間ベースの新規失業保険申請件数に対する関心も高い。さらに改善されるか否かがポイントで、改善されればドルの支援要因に。
そのほか、米財務省による10年債などの入札や、中国の経済指標発表、さらなる金融緩和に踏み切るとの観測も取り沙汰されているECB理事会などにも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.20-107.50円。ドル高・円安については、レンジ上限にも近い106.85-90円に位置する移動平均の90日線をめぐる攻防を注視。超えれば106.95円や107.05円などがターゲットになる。
対するドル安・円高方向は、先週安値の105.20円、そして8月以降のレンジ下限にあたる105.10円はかなり強いサポート。その手前となると、105.60円レベルあるいは106円などが弱いながらテクニカルポイントか。

注:ポイント要約は編集部

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