史上最安値更新。実質金利のマイナス幅拡大がリラの重石に
〇トルコリラ円PMI不冴え、トルコーギリシャ間の緊張、国内感染再拡大等で史上最安値14.23を記録
〇引けにかけ小反発するも戻り鈍く14.26での越週
〇トルコリラ円テクニカル、ファンダメンタルズとも、「下落リスク」が警戒される
〇インフレ高進、外貨準備の急減、ギリシャを巡る地政学的リスクが重し
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):14.00ー14.50
今週のレビュー(8/31−9/4)
今週のトルコリラ円相場は、週初14.36円で寄り付いた後、@トルコ第2四半期GDP(結果▲9.9%、予想▲10.7%)が市場予想を上回ったことや、A株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り)を背景に、週明け早々に高値14.49円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、Bトルコ8月製造業PMI(結果54.3、前回56.9)の冴えない結果や、Cトルコーギリシャ間で高まる緊張感、Dトルコ国内における新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、Eインフレ指標(消費者物価指数及び生産者物価指数)の高止まりを受けた実質金利のマイナス幅拡大が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる14.23円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局14.27円前後での越週となっております。
来週の見通し(9/7−9/11)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて史上最安値となる14.23円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転及びパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大(インフレ高止まり)、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、Eギリシャを巡る地政学的リスク、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナ感染再拡大懸念など、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感や、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(実質金利マイナス→投資妙味減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)、ギリシャを巡る地政学的リスク(軍事衝突リスク)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は9/10に発表されるトルコ6月失業率や、週次外貨準備高、9/11の7月経常収支などに注目。冴えない結果が示されれば、トルコリラが一段と売り込まれるシナリオも想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):14.00ー14.50
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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