ユーロドル1.20で達成感。ECB理事会で一段安も(週報9月第1週)

先週のユーロは、テクニカルな要因が大きかった一週間になったと考えられます。

ユーロドル1.20で達成感。ECB理事会で一段安も(週報9月第1週)

ユーロドル1.20で達成感。ECB理事会で一段安も

〇先週のユーロドル、高値1.2012レベルと大台乗るもその後急速に値を下げる展開
〇今週木曜ECB理事会、追加緩和や今後のインフレ見通し等これまでとやや異なる内容か
〇ECB理事会でのユーロ高けん制発言思惑から、短期的には上抜けより下抜けの可能性
〇今週は欧州通貨の動きと併せてドルインデックスにも注目
〇今週のユーロドル、1.1700レベルをサポートに、1.1880レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、テクニカルな要因が大きかった一週間になったと考えられます。週初は安倍首相辞意表明後に急落した日経平均が全戻しとなったことでユーロ円が引っ張ってのユーロ買いとなりましたが、8月18日につけた年初来高値1.1966レベルを抜けられずに9月入り。1日は仕掛けのユーロ買いも加わって1.20の大台乗せを見ることとなりました。

3度目の正直で高値1.2012レベルと大台乗せとなりましたが、達成感が出る中で買い手も無理をした感が強くストップオーダーも巻き込みながら急速に値を下げる展開となり、3日まで200ポイント以上も反落、その後も上値は重く金曜の雇用統計後には週間安値をわずかとはいえ更新する動きとなりました。

先週は株式市場の動きが為替市場にも影響を与えましたが、ユーロに関してはこれまでトライしきれなった1.20の大台に乗せたことで一気にポジション調整に繋がったと言えます。シカゴの通貨先物のポジションも前週は21万枚を超え買いポジションとしては過去最大となっていましたが、先週1日時点でわずかではあるものの減少し20万枚を割り込みました。高値を更新する動きの中で大口の投機筋はカウンターでユーロ売りに回っていたという構図が想像できます。

さて今週は夏休みも明け9月のECB理事会があります。これまでの緩和政策維持には変更は無いもののパウエルFRB議長がジャクソンホールで新たな平均インフレ目標導入を表明したことから、ECBにおいても追加緩和、今後のインフレ見通し等、これまでとはやや異なる内容となる可能性も否定できません。念の為注意しておきたいところです。

また先週はレーンECB理事が「為替相場は金融政策から生じる」と金融政策とは反する最近のユーロ高を注視している様子が伺えました。理事会、あるいは理事会後の総裁会見でユーロの水準について言及する可能性もあり、その場合はよりユーロが下げるリスクが大きいと言えるでしょう。

チャートからテクニカルにも見ていきましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロは6月高値を上抜けて7月末に向けて上昇後は、高値圏で4回高値つけての反落を繰り返しています(水色の点線)。そして形は不規則ではあるもののリバーサルパターンとなるか、更に高値を試すかの方向感が出にくい流れとなっています。しかし、1.20の大台達成、シカゴのポジション減少、ECB理事会でのユーロ高けん制発言思惑、といったことを考えると短期的には上抜けより下抜けの可能性が高そうです。

下抜けの場合は、ピンクの太線で示したネックラインを下抜けると、6月後半の押しと9月高値との38.2%押しとなる1.1689を視野に入れる展開となりますが、逆に同水準で下げ止まるようだと、まだユーロ高に回帰する可能性も残されます。ただ、今週はユーロが対ドル、対円ともに調整が入るリスクを考えておいた方がよさそうで、上記ターゲットに近い1.1700レベルをサポートに、先週後半の戻り高値水準と重なる1.1880レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はドルインデックスの日足チャートをご覧ください。

今週のコラム

ドルインデックスはユーロの比重が高いため、ユーロのチャートを上下逆にしたチャートに近いものがありますが、それでも半分近くはその他の通貨であるため、ドルとしての動きを見る場合にはドルインデックスは重要です。また今週はECB理事会の影響も大きいので、ECBとは関係の無い他の通貨を含めて見た場合はどうなのかという観点です。

短期的には8月初めからのピンクの平行線で示した下降チャンネルの中での動きで、現状はチャンネル上限に近く、素直に考えるならばドル反落の可能性を考えてもよい状況です。レジスタンスラインを上抜けて初めてドルの上昇を考えることになります。ECB理事会で何も無ければ再びユーロが買われドルインデックスも下げ、ECB理事会で予想以上にユーロが下げる動きが見られた場合にはドルインデックスはレジスタンスを上抜けて上昇といったシナリオが考えられます。

またブレグジット後の協議が難航していることからポンド売りがドルインデックス上昇となる可能性もあるでしょう。いずれにしても、今週は欧州通貨の動きと併せてドルインデックスも見ておいたほうが良さそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

9月7日(月)
**:**  NY市場休場

9月8日(火)
08:01 英国8月小売売上高
15:00 ドイツ7月貿易収支
15:45 フランス7月貿易収支
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP確定値

9月9日(水)
 (特になし)

9月10日(木)
08:01 英国8月住宅価格
15:45 フランス7月鉱工業生産
20:45 ECB理事会
21:30 ラガルドECB総裁会見

9月11日(金)
15:00 ドイツ8月CPI
15:00 英国7月貿易収支
17:00 ドイツ連銀、フランス中銀総裁講演
21:00 レーンECB理事講演
**:** EU財務相会合(〜12日)

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月31日(月)
ユーロドルは、前週の安倍首相辞意表明による日経平均の下げを全て回復する動きの中で、ドル円の買いとユーロ円の買いが歩調を揃えたため、NY前場までは若干の押しを挟みながらもユーロドルも上昇しました。NY前場には高値1.1966レベルと8月18日につけた年初来高値に並ぶ水準となりましたが、NY市場ではユーロ円の下げもありやや押して引けとなりました。

9月1日(火)
ユーロドルは、8月に2度試して抜けられなかった1.1966を上抜けたことで東京市場では1.20の大台目前まで水準を切り上げました。その後NY市場までは1.20を試せずにいましたが、NY市場前場には1.2012の高値を示現、達成感と無理やり上げた短期筋の売りも出て、引けにかけては急速に値を下げ1.1901レベルの安値をつけての引けとなりました。

9月2日(水)
ユーロドルは前日に1.20の大台を見たことからさらに利食いの売りが広がり、ユーロの下げが対ドル対円ともに目立つ一日となりました。欧州市場に入り週間安値を更新する動きとなり、短期筋のストップも巻き込みながら、NY市場では1.1822レベルの安値をつけた後に若干戻して引けました。

9月3日(木)
ユーロドルは、東京市場では前日の流れを継続してユーロ売りが先行、欧州市場序盤には1.1788レベルの安値をつけました。その後はポジション調整を主としたユーロの買い戻しが対ドル、対円で入りNY市場ではダウ急落によるドル売りも重なって1.1863レベルまで買い進められて引けました。

9月4日(金)
ユーロドルは米国雇用統計の発表を控えてNY市場までは1.18台半ばで全く動きが出ませんでした。失業率が予想以上に改善して8.4%となったことで、発表後には1.1781レベルまで水準を切り下げました。しかし、前日に続いて米国株に売りが広がったことからドル売りが出て雇用統計発表前の水準へと戻して引けました。

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