ドル円今週も先週のレンジ内でもみあい
〇先週のドル円、週後半106円台半ばを2度つけるも、上値は重い
〇自民党総裁、明日8日に告示、来週14日に投開票
〇米雇用統計、大幅改善の8.4%となるも今後の雇用対策補助金は不透明
〇ミニバブルの米ハイテク株市場、週後半急速に調整入り主要株価指数軒並み下げる
〇ドルは米国株式市場の動向、ユーロはECB理事会が今週の変動材料か
〇今週は105.60レベルをサポートに106.60レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通し
先週のドル円はユーロドルが1.20の大台に乗せて達成感が出たことによる利食い売りとともにドル買い戻しの動きが目立ちました。週初は前週の安倍首相辞意表明で大きく下げた日経平均が下げる前の水準に回復したことによるリスクオンから始まり、1日にはユーロドルが1.20の大台に乗せた達成感から反落する動きとともにドル買いを後押し。しかし週後半には106円台半ばを2度つけたものの、NYダウが高値圏から大きく下げる動きとなったこともあって、どちらかというとドルの上値の重たさを感じさせる週末クローズとなりました。
まず国内政治では安倍首相後の自民党総裁に菅官房長官が選ばれることが確実な情勢となったことで、これまでの路線継続を好感していることは株式市場の動きが示す通りです。既に菅新総裁で固まった感はありますが、明日8日に告示、来週14日に投開票というスケジュールです。
また他に目立った経済指標が無い中で、金曜の雇用統計は注目材料となりましたが、大幅に改善し8.4%となったものの、今後の雇用対策補助金が不透明なこともあって、このまま雇用の改善が続くかどうかはやや不透明です。特に9月末で補助金が切れる航空業界では、8万人以上が一時帰休も含めて失職の危機にさらされています。また、9月末で期限切れとなる現在の予算は、週末にホワイトハウスと議会との間で12月初めまでの予算確保でほぼ合意しました。しかし、現在もめている新型コロナに対する予算とは切り離しての合意であることから、コロナ関連予算がどうなるかはまだ不透明な状況です。
そして、ミニバブルとなっていた米国のハイテク株市場は先週後半に急速に調整が入りました。主要株価指数は軒並み下げましたが、NYダウ(現物)も3日高値29199.35から4日の安値27644.48まで2日間で一時1500ドルを超える下げを見せました。ただ、8月末に銘柄入れ替えもあって大きく上げてきただけに5%強の下げは調整の範囲という状況です。目先は4月安値から引いたサポートラインで止まるかどうかを見ておくとよさそうです。
チャートを見ると2日間の下げとしては大きいものの、6月の押しに比べれば値幅も小さいですし、さらに下げて来ない限りは株式市場の参加者も気にしないと思われます。
ドル円のチャートはどうでしょうか。こちらはいつもの日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
8月以降は下が105.10上も107.05と2円弱のレンジの中でのもみあいを継続していますが、現在もこのもみあいをどちらに抜けることも出来ずにいます。半値が106.08となっていますが、同水準をニュートラルに上下50線幅というのが先週の動きでした。今週も基本的にこの50線幅の中でのもみあいを基本と考えられます。
日本の材料で動くことは難しいでしょうから、米国要因でドルの動き、欧州要因でユーロの動きというあたりが今週も変動材料となりますが、ドルに関しては米国株式市場の動向、ユーロについてはECB理事会あたりがきっかけになる可能性が高そうです。ただ、基本的にもみあいを続けるという前提で、今週は105.60レベルをサポートに106.60レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
9月7日(月)
**:** NY市場休場
**:** 中国8月貿易収支
9月8日(火)
08:01 英国8月小売売上高
08:50 本邦4〜6月期GDP改定値
08:50 本邦7月貿易収支(国際収支)
10:30 豪州8月企業景況感
15:00 ドイツ7月貿易収支
15:45 フランス7月貿易収支
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP確定値
18:30 南ア4〜6月期GDP
9月9日(水)
07:45 NZ4〜6月期製造業売上高
09:30 豪州9月消費者信頼感
10:00 NZ9月企業信頼感
10:30 中国8月CPI・PPI
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 米週間原油在庫統計
9月10日(木)
08:01 英国8月住宅価格
15:45 フランス7月鉱工業生産
16:00 トルコ6月失業率
18:00 南ア4〜6月期経常収支
20:45 ECB理事会
21:30 ラガルドECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国8月PPI
23:00 米国7月卸売在庫・売上高
9月11日(金)
15:00 ドイツ8月CPI
15:00 英国7月貿易収支
16:00 トルコ7月経常収支
17:00 ドイツ連銀、フランス中銀総裁講演
21:00 レーンECB理事講演
21:30 米国8月CPI
**:** EU財務相会合(〜12日)
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
8月31日(月)
週明けのドル円は東京市場では安値圏で若干の上下はあったものの月末ということもあって大きな動きは見られませんでした。しかし株式市場は菅官房長官を軸に新総裁が決まる可能性が出てきたことで、これまでの路線を継承するとの判断から寄り付きとともに金曜急落前の水準へと戻していました。海外市場では逆に日経平均急反発の反動とダウが下げたこともあって株式市場はじり安となりましたが、ドル円では下で突っ込んで売ってしまった向きの損切りもあってNY前場には106.10まで上昇後、引けにかけてはダウ安の影響もあってやや下げる動きとなりました。
9月1日(火)
ドル円は106円台での上値の重さを確認すると東京昼前には105.59レベルの安値をつけました。しかし105円台半ばでの買いもしつこく欧州市場序盤の底固めを経てNY市場前場には106.15レベルの高値をつけた後、引けにかけてはやや押しての引けとなりました。
9月2日(水)
ドル円は終日じり高の展開を続けました。目立った材料は無かったものの前日からのユーロを中心としたポジション調整の動きからドル買い戻しの動きとなっていました。欧州市場以降はユーロが一段安となったことからNY市場では106.30レベルまで高値を切り上げ、そのまま高値圏での引けとなりました。
9月3日(木)
ドル円は東京市場では動きが鈍かったものの底堅さは変わらず、欧州市場に入ってからはユーロ円の買いに引っ張られてNY市場朝方には106.54レベルの高値をつけました。しかし、NY市場ではNYダウが急落する動きとともにドル円も売りが強まり105.99レベルまで下押し後若干戻して引けました。
9月4日(金)
ドル円は106円台前半で底堅い動きではあったものの、米国雇用統計の発表を前にして動意薄の展開が続きました。米国雇用統計では失業率が1桁となり予想よりもかなり良い8.4%に留まったことでドル買いの動きとなり一時106.51レベルの高値をつけました。しかし前日高値はトライしきれず、ダウの下げとともに買われる前の水準へと押して引けることとなりました。
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