NY休場もあり基本はレンジ取引
〇ドル円、NY市場休場で積極的な動意なし
〇菅官房長官「安倍政権後も大規模な金融緩和を続ける」考え示す
〇先週末の英国情勢についてのネガティブニュース、ロンドン時間に改めて材料視の可能性も
〇本日の東京時間、時間外取引でNYダウなど米株3指数いずれもマイナス圏での推移
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.90-106.60
<< 東京市場の動き >>
週明け7日の東京市場は、ドルが小じっかり。ただ、NY市場がレーバーデーで休場になるということもあってか、積極的な動意はうかがえなかった。
前週末には、主要な全国紙で次期首相の最有力候補である菅官房長官の個別インタビューがそれぞれ報じられ、思惑を呼ぶ。たとえば日経新聞では「安倍政権後も大規模な金融緩和を続ける」考えを示していた。また、それとは別に、米政府が中国の半導体受託生産大手である「中芯国際集成電路製造(SMIC)を禁輸リストへの追加検討」と報じている。
そうしたなか取引が始まった為替市場だが、ドル/円は静かなスタート。106.20円前後でオープンしたのち、106.20-40円といったレンジ取引に終始。新規材料に欠けたうえ、NY市場休場もあり、積極的な売買は総じて手控えられている。16時現在では106.25円前後で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「日本の政局」と「英国情勢」について。
前者は、先で指摘したように主要全国紙などで伝えられた菅インタビューが思惑を呼ぶ。「安倍政権後も大規模な金融緩和を続ける」(日経新聞)のほかに、「新政権は暫定ではない」(共同通信)、「中国国家主席来日の日程調整のプロセスに入ることは慎重にと思っている」(産経新聞)−−などが話題に。また別途、時事通信が「菅首相のもとの早期解散を警戒、最短『10月25日投票説』も」などと報じるなか、自民党の鈴木総務会長から「新内閣ができてフレッシュで、評価が高いときに国民の信を問う。ひとつのタイミングだ」との発言も聞かれていた。
対して後者は、週末には何故か英国情勢についてネガティブなニュースが相次ぐ格好となった。ちなみに、それらのなかから幾つか取り上げれば、「首相官邸、EUとの通商交渉合意の確率は30-40%と見込む」(タイムズ紙)、「ジョンソン氏、EU通商交渉のデッドラインを10月15日に設定」(テレグラフ紙)、「首席交渉官はEUとの通商交渉で譲歩しない姿勢を強調」(デーリー・メール紙)、「英政府、EU離脱協定の重要部分を無効にする新たな法案を準備」(FT紙)−−などとなる。ただ、まだ織り込まれた感がないため、このあとロンドン時間に改めて材料視される可能性もありそうだ。
<< 欧米市場の見通し >>
市場では、まだそれほど悲観的に捉えている向きは少数派だが、NYダウをはじめとする米株に続落懸念が指摘されていることはやや気掛かり。そして実際、本日の東京時間、時間外取引でNYダウなど米株3指数はいずれもマイナス圏での推移となっていた。とくにナスダック指数の下落が注視されており、さらに下げがかさめば、為替市場においてもドル売り要因となりかねないかもしれない。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」など注目要因は依然として目白押し。それらに加え、ここにきて「安倍首相辞任とその後継者人事」と「ベラルーシ情勢」も新規要因として注目を集めはじめている。ただ、本日だけに限定すれば、NYやカナダ市場が休場となるうえ、明日以降にECB理事会など注意すべき材料が控えており、やや動きにくそうな雰囲気だ。基本的にはレンジ取引にとどまるとの見方が有力。
テクニカルに見た場合、8月以降のドル/円はおおむね105-10円という2円レンジをたどっているが、ここ数日だけに限れば106.00-55円といった、わずか55ポイントレンジに過ぎない。まずは、足もとの55ポイントレンジをめぐる攻防が注視されるが、前段でも指摘したようにNYなどの休場もあり、レンジブレークは明日以降に持ち越しとなる公算も取り沙汰されていた。
一方、本日は、NYの休場もあり、目立った米経済指標の発表や通貨当局者らによる講演などは予定されていない。新規材料に乏しく、そうした意味ではやや動きにくそうな雰囲気も。
ただ、本日は英国でジョンソン首相が会見を行う予定とされ、先で取り上げた週末にネガティブな報道などが相次いだ英国情勢について言及する見通しだ。ユーロも含めた欧州通貨の動きには一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.90-106.60円。時間足など短期ベースでは直近だけで少なくとも2度トライして超えられていない106円半ばが最初の抵抗。ちなみに、そのレベルは前回高値106.95円を起点とした下げ幅の76.4%戻しに当たるテクニカルポイントだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値を含む106.15-20円が最初のサポートで、割り込んでも106円前後では底堅いイメージ。大崩れする可能性は低いだろう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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