上値は重いが長期的には鈍い動きが続く
〇先週のユーロドル、じり安の流れ続き、10/23週間安値1.0762レベルつける
〇週後半、ECB関係者のタカ派発言で一時的に買いが先行し1.0839レベルの日中高値を見る
〇市場参加者のコンセンサスは、次回ECB理事会0.25%の利下げ
〇今週は米雇用関連の数字で米金利がどのように動くかが最大の要因に
〇4月安値と9月高値の78.6%押し1.0731がいったん下げ止まりやすい水準
〇今週は1.0730レベルをサポート、1.0835レベルをレジスタンスとテクニカルな水準から上下を考える
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは週初に高い水準で始まって以降はじり安の流れが続き、23日NY市場で週間安値となる1.0762レベルの安値をつけました。週初はECB関係者の0.5%利下げの可能性といったハト派発言も出ていましたが、週後半には逆にタカ派な発言も出ていたことで、今後の経済指標次第といった流れになって行きますが、依然として市場参加者のコンセンサスは0.25%の利下げとなっています。
今週は米国雇用統計週ということで月末ですが、米国の雇用関連の数字が火曜以降連日出てきますので、これらを見て米金利がどのように動くのかが最大の要因となります。また欧州要因では主要国の7〜9月期GDP速報値と10月CPI速報値が30、31日に出てきますが、月末を控えての実需の動き、特に31日のロンドンフィキシングもあることから、欧州要因はこの2日に集約されていると見てよいでしょう。
ここまで米金利上昇によるドル全面高の動きと日本の選挙要因による円安の動きとがミックスしてユーロ安ではあるもののユーロ円では円安(ユーロ高)という流れでしたが、今週も基本的な材料は変わらず、金曜まで向かい、雇用統計本番でどのような数字が出るのかで方向性が決まってきそうです。ただ中長期的な動きもユーロドル(下げ)とユーロ円(上げ)では異なり、日本の政局が不安定な間はユーロドルの動きは相殺されやすいという流れです。
またドル全体の動きをドルインデックスで確認するとユーロドルが動きが鈍いこともありますが、2023年以降方向感が無いことは次のドルインデックス週足チャートからわかります。長期的にはあまり大きな動きが期待できない状態が続いていると見た方が良さそうではあります。
ユーロドルのテクニカルはいつもの日足チャートをご覧ください。
8月・9月のダブルトップのネックラインを切ってからの下げはまだ終わっていないという感じですが、ユーロドルにしては動きが速く、現在の水準よりも下では4月安値と9月高値の78.6%押しとなる1.0731がいったん下げ止まりやすい水準と言えます。いっぽうで金曜の戻りが61.8%戻しの1.0834と重なっていたことから、短期的にはこれら両水準に挟まれた展開を考えつつ、どこかで一度利食いの買い戻しが出るパターンを想定しています。
今週に関しては1.0730レベルをサポートに、1.0835レベルをレジスタンスと素直にテクニカルな水準から上下の水準を考えておくこととします。
今週のコラム
今週は為替ではなくNY原油先物の動きを見ておきましょう。チャートは日足です。
週明けの早朝相場で円安に振れギャップアップしましたが、それ以上に動いたのが原油先物です。イスラエルによるイランの攻撃が石油施設には行われなかったこと、それに対してイランが更なる反撃が無さそうな反応を示したことで急速にリスクオフムードが和らぎました。
先週末は既に72ドル台から70ドル台へと下げていましたが、今朝の先物市場では大きくギャップダウンして67ドル台まで下げ、その後68ドル台前半でもみあっています。原油は中東の緊張の割には上値が重たい状態でしたが、今後はテクニカルに67ドル台半ば、そして9月安値の64ドル台を視野に入れる展開となりそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月28日(月)
**:** 欧州・英国冬時間 ☆
18:00 ベルギー中銀総裁講演
10月29日(火)
16:00 ドイツ11月消費者信頼感
10月30日(水)
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値 ☆
17:55 ドイツ10月失業率
18:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
22:00 ドイツ10月CPI速報値 ☆
24:00 シュナーベルECB理事講演 ☆
27:00 ナーゲルドイツ連銀総裁講演 ☆
10月31日(木)
16:00 ドイツ9月小売売上高
16:45 フランス10月CPI速報値 ☆
18:00 イタリア中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏9月失業率
11月1日(金)
16:00 英国10月住宅価格
18:30 英国10月製造業PMI
21:30 米国10月雇用統計 ☆
11月3日(日)
**:** 米国冬時間に移行 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月21日(月)
週明けのユーロドルはドル高の動きから下げましたが、ユーロ円の買いが相殺したこともあり値幅は60pips止まり、前週の安値手前までの動きとなりました。ユーロ円は163.15レベルまで上昇し、こちらは高値引けとなりました。
10月22日(火)
ユーロドルはドル高によるユーロ安の動きに加え、複数のECB関係者から次回理事会で0.5%の大幅利下げの可能性を排除しないといった類の発言が出たこともあり海外市場以降あらためて下げる動きとなりました。ラガルド総裁とエコノミストのレーン理事の発言、主要国のPMI速報値次第では0.5%利下げ思惑の可能性が取りざたされていました。
10月23日(水)
政治主導相場の一日でした。トランプ前大統領がリードを広げ当選する可能性が高まったことによる米金利上昇からユーロ売りが進み、NY朝方に1.0762レベルの安値をつけましたが、ユーロ円が円売り要因で上昇したこともあり、値幅は限定的となっていました。
10月24日(木)
ユーロドルは米金利低下の調整の動きをきっかけとした買い戻しが入り1.07台後半から1.08台前半へと上昇しました。しかし、ドル円の利食い売りとともにユーロ円の売りも見られたことでユーロドルの値幅は限定的でした。
10月25日(金)
ユーロドルはNY市場までは1.08台前半で小動き。NY市場ではECB関係者のタカ派発言で一時的に買いが先行し1.0839レベルの日中高値を見たものの、その後は米金利上昇に押されて1.0791レベルまで下げて安値引けとなりました。
注:ポイント要約は編集部
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