ドルは再び高値更新、引き続き波乱含み
〇東京市場のドル円、総選挙の結果受け下方向にギャップ空けて高寄り、153円台で寄り付き底堅く推移
〇153.90近くまで急伸し調整売りなどに緩むも、16時現在153.40-45で推移
〇高値161.96起点の61.8%戻し153.40上抜け、76.4%戻し156.65-70を時間かけトライか
〇ドル高円安方向、東京高値も近い154円が最初の抵抗、上抜けると155円が名実とも視界内
〇ドル安円高方向、東京安値152.65-70の攻防に注目
〇本日早朝に空けた下方向152.30-70レベルのギャップにも注目
〇欧米時間のドル円予想レンジ:152.60-153.90
<< 東京市場の動き >>
週明けの東京市場はドルが堅調裡。一時153.90円近くまで上昇し、直近の戻り高値を再び更新している。
週末は、北朝鮮からロシアへの派遣兵が27日にも戦闘に参加する可能性が取り沙汰されるなど、引き続き思惑を呼んでいた。一方、それとは別に日本で実施された総選挙は与党の自民党が大敗。自公あわせても過半数にとどかないなど、与党が想像以上の惨敗を喫している。
そうした状況下、ドル/円は前述した総選挙の結果を受けてか下方向にギャップを空けて高寄り。153円台で寄り付いたのち、ドルは底堅く推移している。むしろ途中は上値を試す動きが活発となり、ドルは153.90円近くまで急伸。その後はさすがに調整売りなどに緩むものの、153円を割り込むことはなく、16時現在では153.40-45円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の政治情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、27日に投開票された総選挙で、自民と公明両党は公示前の計288議席から実に73も議席を減らす結果に。もちろん過半数(233)にとどいておらず、本日早朝から相場の波乱要因となっていた。共同通信が「自民大敗で石破首相に責任論」と報じるなか、時事通信は「石破首相が退陣否定」、NHKも「石破首相、政権継続へ野党に協力要請方針」−−などと情報が錯綜していた。そののち、自民党の小泉選対委員長が辞表を提出し受理されたことが明らかに。それに対し、与党自民党のトップである石破首相は会見を行い、続投する考えを改めて表明したことに加え、「政策面で他党に協力要請あり得る」方針を示していた。ただ、これで話が終わり、一件落着かというとそうではないだろう。周囲からの退陣圧力の高まりなど、引き続き日本の政治情勢には注意を払いたい。
後者は、当初ロシアのプーチン大統領が「恐怖をあおる西側のデマ」などと完全否定していた北朝鮮によるロシアへの派兵が明らかになった。実際、北朝鮮も「派兵したとすれば国際法規に則した行動」などと、やや煙に巻いた表現ながら、派兵を事実上認めていたようだ。なお、派兵された北朝鮮兵に関する続報が伝えられ、一挙手一投足がそれぞれ話題に。たとえば、米紙「北朝鮮兵数千人がロシア西部に到着」、ゼレンスキー氏「北朝鮮軍が27日にも戦闘参加」、共同通信「金総書記側近もロシア入り、軍部隊を統括」、ウクライナ国防省「ロシアが北朝鮮兵をトラックで前線に移送」−−などになる。今後の動きにも要注意だ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、9月16日安値139.58円を起点としたおよそ「1ヵ月で10%のドル高進行」をほぼ達成した153円台乗せで、ドル高進行も一旦仕切りをするように思っていたのだが、結果ドルは続伸。本日東京時間に154円乗せをうかがう展開も観測されていた。もともと基本的なリスクはドル高で、このあといま一度154円トライをする局面があっても不思議はなさそうだ。ただ、それでも上値は重いと考えており、高値掴みには慎重さを求めたい。
市場の関心は依然として日米金融政策に高い。そうした意味で考えると、今週は日銀が金融政策決定会合の結果を発表するうえ、米国は雇用統計を中心に重要な経済指標の発表が連日相次ぐ。それだけでも波乱含みの一週間を予感させよう。また、それとは別に総選挙が終わった日本の政治情勢、投票まですでに10日を切っている米大統領選の行方なども市場の波乱要因か。選挙結果は、為替のみならず金融市場すべてに大きな影響を及ぼす可能性を秘めている。
テクニカルに見た場合、円売りの流れ止まらず。ドル/円は本日東京で一時153.90円近くへと達していた。高値161.96円を起点にした61.8%戻し、153.40円を先週末段階では超えられなかったものの、前述したように本日東京時間に上抜け。ちなみに、76.4%戻しは156.65-70円とかなり遠いが、時間をかけつつもトライする可能性否定できない。
対するサポートは本日早朝に空け、いまだ埋め切れていない下方向のギャップになる。
本日は米経済指標として、10月のダラス連銀製造業活動指数などが発表される予定となっている。今週もっとも注目される指標は週末の米雇用統計だが、それまでにも重要とされる指標発表は少なくないだけに、いずれにも注意を払いたい。また日本時間だと明29日だが、国連安保理がイスラエル報復について緊急会合を行う見込みだ。一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは152.60-153.90円。ドル高・円安方向は、本日東京高値も近い154円が最初の抵抗か。上抜けると、155円が名実とも視界内に。
対するドル安・円高方向は、東京安値152.65-70円の攻防にまずは注目。その下152.30-70円レベルは取引のない空白地帯、いわゆるギャップがまだ空いたままのため、それをめぐる動きにも目を配っておきたいところだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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