米株注視、週末調整の動きにも一応要注意
〇ドル円、3日ぶりに一時104円を下回る局面も見られるなど、ドルが小安い展開
〇豪ドル、対円やドルで続伸、豪ドル/円は一時78.80近くまで上昇
〇ECB理事会、量的金融緩和拡大やPEPP拡大を発表、ユーロにとってポジティブ要因となる
〇英EU通商交渉、悲観的なコメント報道も、交渉は本日以降週末も続く見込み
〇米新型コロナウイルス経済対策法案をめぐる協議、手ごたえをうかがわせる発言も
〇本日発表の経済指標や米欧要人の発言にも注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ103.70-104.60
<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は、ドルが小安い。3日ぶりに一時104円を下回る局面も観測されていた。
ドル/円は104.20-25円でオープンしたのち、当初は底堅く推移。104.15円レベルをボトムに下げ渋ったが、割り込むと、そのまま一気に104円割れまで値を崩す展開となった。目先のボトムを示現後は揉み合いの様相を呈したものの、上値は重い。104円台乗せたまでの戻りが精々で、16時現在では104.00-05円で推移、欧米時間を迎えている。
なお、値幅そのものは決して大きくなかったが豪ドルは対円やドルで続伸。豪ドル/円は年初来高値を更新し、78.80円近くまで一時上昇していた。
一方、材料的に注視されていたものは、「欧州情勢」と「英EU通商交渉」について。
前者は、大きく2つに大別され、うちひとつは昨日もっとも注視されていたECB理事会における金融政策について。およそ半年ぶりとなる「量的金融緩和拡大」決定のほか、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を5000億ユーロ拡大すると発表している。また、もうひとつのポイントは、実施されたEU首脳会議1日目で、ボーランドとハンガリーが妥結し、「1.8兆ユーロの予算と復興基金で合意」したことが明らかになった。これらはともに、通貨ユーロにとってはポジティブ要因に。
対して後者は、依然として報道は楽観と悲観が混在した状況ながら、英国の要人からは悲観的なコメントが複数聞かれ、思惑を呼ぶ。たとえば、ラーブ外相からは「依然として隔たりが大きく、大きな進展が必要」、ジョンソン首相も「通商合意なしのEU離脱に備えるべき」と発言していたようだ。その一方、EUの行政執行機関である欧州委員会は交渉決裂に備え、「航空、道路、鉄道輸送、漁業への混乱を抑えるための短期的な措置」を発表している。ギリギリの交渉は本日以降週末も続く見込みだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円だけを見ていると動意は極めて鈍いが、対豪ドルで年初来安値を更新するなど、全体を通してみれば米ドルの弱さが目に付く。本日もNYダウなど米株高のなか、基本的な流れとしてドル安が続くかどうかに注目だ。ただ、前者の米株高について、NYダウが節目の3万ドルをいよいよ超えてきたことで短期的な達成感が取沙汰されているうえ、本日は週末金曜日。目先の調整先行から一時的な下押しにともない、為替市場でもドルが底堅く推移するとの見方も聞かれていた。
材料的に、本日からこの週末にかけて注視されているものは、先で取り上げた「英EU通商交渉」と、「米新型コロナウイルス経済対策法案をめぐる協議」の行方。後者については、昨日ムニューシン米財務長官とペロシ下院議長がともに、「大きく進展」と手ごたえをうかがわせる発言をしたこともあり、市場はやや楽観ムードが強くなっている。一転し、ハシゴを外すような展開にならないことを祈るばかりだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日一時104.58円まで上昇するも、レンジの上限は越えられず。その後はむしろ、レンジ下限を意識した動きとなっている。いずれにしても、すでに3週間以上経過している103.66-104.76円という1.1円レンジをめぐる攻防に要注意だ。
なお、今週のドル/円相場はここまでわずか65ポイント程度しか動いておらず、これは今年の週間最小変動幅に近い。方向性の乏しいまま、今週が終わってしまうのだろうか。
材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の材料としては、11月の生産者物価指数や12月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値といった米経済指標が発表されるほか、クォールズFRB副議長の講演などが実施される予定だ。そのほか、EU首脳会議など各種の欧州ファクターにも一応の注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.70-104.60円。昨日示現した高値104.58円が最初の抵抗。上抜けるとレンジ上限の104.76円、さらには105円前後が視界内に。
対するドル安・円高方向は、本日東京でも下げ止まった103.90-95円の攻防にまずは注視。時間足など短期ベースでは同レベルで何度もサポートされており、殊のほか強いサポートである可能性もある。ただ下回るようだと、レンジ下限103.66円が意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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