来週の為替相場見通し:『ドル売り地合い継続。米FOMCがメインイベント』(12/12朝)

週末にかけて、約1週間ぶり安値となる103.82まで反落しました。

来週の為替相場見通し:『ドル売り地合い継続。米FOMCがメインイベント』(12/12朝)

『ドル売り地合い継続。米FOMCがメインイベント』

〇ドル円週央にかけ104.59まで上昇するも米指標悪化、長期金利低下等で103.82に反落、104.04で越週
〇ユーロドルイベント前調整で週央にかけ1.2059まで下落後、イベント通過後の巻き戻しに1.21台回復
〇ECBは債券緊急購入プログラムの拡大・延長、金融機関向け貸し出しの拡充等の追加緩和措置を発表
〇ドル円地合いの弱さ印象づけるチャート形状、欧英交渉決裂懸念等ファンダメンタルズの円高要因も多い
〇リスク選好の一服からのドル円下落想定状況によっては11/6安値103.17を試す展開も
〇12/16のFOMCは追加緩和の見方分かれ波乱含み
〇来週の予想レンジ(USDJPY):102.50ー105.00、(EURUSD):1.1950−1.2250

今週のレビュー(12/7−12/11)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初104.14で寄り付いた後、@対欧州通貨でのドル買い圧力(ECB理事会やEU首脳会議を控えたユーロ高の巻き戻し)や、A米追加経済対策を巡る先行き不透明感(共和党が示した妥協案を民主党が却下→リスク回避ムードの再燃→欧米株下落→リスク回避のドル高)、B低調な米10年債入札結果を受けた米長期金利の上昇等が支援材料となり、週央にかけて、一時104.59まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、CECB理事会後の対ユーロでのドル売り圧力や、D米新規失業保険申請件数(結果85.3万件、予想72.5万件)の冴えない結果、E新型コロナウイルスの感染拡大懸念、F好調な米30年債入札を受けた米長期金利の低下、G米中対立激化懸念(米政府よる制裁強化に対して中国政府は報復の構え→リスク回避の円高)が重石となり、週末にかけて、約1週間ぶり安値となる103.82まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(12/12日本時間5時45分現在)では、104.05近辺で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.2128で寄り付いた後、@重要イベント(ECB理事会やEU首脳会議)を控えたポジション調整や、AECB当局者によるユーロ高牽制の思惑、B欧英交渉を巡る悲観論の再燃(英ポンド下落→ユーロ連れ安)、C欧米株の下落を背景としたリスク回避のドル買い圧力、D低調な米10年債入札結果を受けた米長期金利の上昇が重石となり、週央にかけて、約1週間ぶり安値となる1.2059まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、EECB理事会(※)が概ね市場予想の範囲内であったことや、F上記Eを受けた短期勢のショートカバー(預金ファシリティ金利の引き下げなど、踏み込んだ追加緩和策の実現を見込んでいた向きによる買戻し)、Gドイツ国債利回りの上昇、H広範に広がるドル売り圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(12/12日本時間午前5時45分現在)では、1.2115近辺まで持ち直す動きとなっております。

※ECB理事会での主な決定事項は以下の通り
@パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を1兆8500億ユーロに5000億ユーロ増額すること
A上記@の期間を2022年3月末まで9カ月間延長すること、
B償還を迎えた緊急購入債券の再投資を2023年末まで1年間延長すること、
C貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の期間を2022年6月まで1年間延長すること、
D期間3年のオペを追加的に3回実施すること(内1回を少なくとも2021年12月に実施すること)、
E今春に導入した担保条件の緩和を2022年6月まで延長すること、

来週の見通し(12/14−12/18)

<ドル円相場>
ドル円は、11/11に記録した高値105.68をトップに反落に転じると、11/18にかけて一時103.64まで下落しました。この間、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的にみて、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております(104円台半ばのレジスタンスを抜けられず反落→上値の重さを再確認)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(米新規失業保険申請件数が予想外に悪化)、B米中対立激化懸念(米政府による制裁措置に対して、中国政府は対抗措置を講じる構え)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大リスク(新型コロナワクチンが開始されても感染拡大を防ぐことは容易ではないとの慎重な見方)、E日本経済の先行き不透明感(本邦における新型コロナ感染者数拡大→本邦の景気先行き不透明感→デフレ懸念→円の実質金利上昇→円高)、F実体経済と株価の乖離(過剰流動性相場の巻き戻しリスク。年末にかけてのポジション調整リスクに警戒)、G米追加景気対策の後ずれ観測、H米財政赤字の拡大懸念(米国債の格下げリスク)、I欧英交渉の決裂リスク(決裂となればリスク回避の円高再燃)など、ドル円相場の下落を想起させる材料が引き続き沢山残っている状態です。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。欧米株及び米長期金利の動向や、新型コロナウイルス及びワクチン開発に関するヘッドライン、米追加経済対策に係る続報、米主要経済指標の結果(12/15の米12月NY連銀製造業景況指数、米11月鉱工業生産、12/16の米11月小売売上高、12/17の米FOMC、米11月住宅着工件数など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(リスク選好ムードの一服→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路を想定。状況次第では11/6に記録した約8ヵ月ぶり安値103.17を試す展開も視野)。尚、12/16(日本時間12/17午前4時)に予定されている米FOMCでは、追加緩和の是非を巡る見方が市場参加者の間で珍しく割れており(米追加経済対策の決定時期が不透明であることが要因)、いずれに転んだとしても直後の値動きは荒くなると考えられます。足元の雇用情勢の弱さに鑑み、追加緩和決定(資産購入規模の拡大や購入対象資産の年限変更)に至る場合には、サプライズ的にドル売りが加速する恐れもあり、注意が必要です。

来週の予想レンジ(USDJPY):102.50ー105.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、11/4に記録した約3ヵ月半ぶり安値1.1603をボトムに反発に転じると、12/4にかけて、約2年7ヵ月ぶり高値1.2178(2018年4月26日以来の高値圏)まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲上下限を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転やパーフェクトオーダー、強い上昇トレンド入りを示唆するバンドウォークも出現するなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となっております。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、A世界的な貿易戦争再開リスク(欧米貿易摩擦懸念)、B欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(ロックダウン再開に伴う欧州経済の下振れ懸念。新型コロナワクチン出荷の遅延リスク)、C英国・EU間の通商交渉難航リスク、DECB当局者によるユーロ高牽制の思惑など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です(特に目先は上記Cのヘッドラインに振らされる展開)。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的な強さに下支えされながらも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株及び欧米長期金利の動向や、新型コロナウイルスの感染拡大状況、新型コロナワクチンに係る続報、欧州圏の主要経済指標(12/14のユーロ圏10月鉱工業生産、12/16のユーロ圏12月製造業PMI、12/18のドイツ12月ifo景況指数など)の結果、英国とEUの通商交渉の行方を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(ECB当局者によるユーロ高牽制と、英EU交渉の先行き不透明感がユーロの重石)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1950−1.2250

注:ポイント要約は編集部

『ドル売り地合い継続。米FOMCがメインイベント』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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