<< 東京市場の動き >>
〇ドル円105円台後半で動意に乏しい
〇世界的にも夏休みムード、しばらくは次の材料および方向性を探る展開か
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.60-106.40
週明け10日の東京市場は、動意に乏しい。ただ終盤にかけ、早出の欧州勢が取引に参画したのちはドル買いの動きがやや目立つ展開となった。
先週末には、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で新型コロナウイルスの感染者が世界全体で1970万人に達したことが明らかに。うち、500万人以上が米国に集中しているとの指摘も聞かれ、一部で話題となっていた。
そうした状況を踏まえたドル/円は前週末のNYクローズと大差のない105.85-90円で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。おおむね105.70-95円といったレンジ取引で明確な方向性はうかがえなかった。途中、中国の経済指標が発表されたほか、「香港警察、中国に批判的な香港紙創業者を国安法違反容疑で逮捕」といったニュースが聞かれ、動意への足掛かりになるかと期待されたが結局不発に。
しかし、終盤になると、とくに目立った材料もないなかドル買いが集中すると、16時現在では105.90-95円まで値を上げ、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「TikTokをめぐる動き」と「米国情勢」について。
前者は、先週段階で中国発の動画共有アプリTikTokの売却先は米マイクロソフトでほぼ決定かと目されていたが、米紙WSJが「米ツイッター社がTikTok買収の可能性に関する事前協議を行った」と報じ話題となっていた。そのほか、米公共ラジオNPRが「TikTokは11日にも、トランプ政権を提訴する計画」と報じ、先とは違う意味で思惑を呼んでいたという。
対して後者は、議会与野党が追加経済対策の規模や内容をめぐって対立するなか、トランプ大統領は景気への悪影響を懸念し、大統領令での実施に踏み切っている。ただ、そんなトランプ氏だが世論調査で人気は低迷しているだけでなく、米情報当局が11月の大統領選に関する声明を発表し、そのなかで「中国はトランプ氏再選を望んでいない」との分析を発表していた。なお、選挙戦で優勢とされるバイデン氏だが、ラジオのインタビューで、「黒人を軽視するような失言」をして批判にさらされるなど、若干風向きが変わってきた感も。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末の金曜日に発表された注目の米雇用統計は、失業率、非農業部門雇用者数ともに予想を上回る内容となったが、ドルはレンジを超えていくまでには至らなかった。また、その流れは東京休場の本日アジア時間も継続している。新型コロナの状況などを注視しつつ、しばらくは次の材料および方向性を探る展開となりそうだ。ただ、いわゆる盆休みとなる本邦勢だけでなく世界的にも夏休みムードがかなり高まっていることから、「薄商い=乱高下」の構図を警戒する声も少なくはない。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など注目要因は依然として目白押し。それら数ある要因のなかでも、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。また、前者である「米中」を中心に不安定な世界情勢をたどるなか、G7など国際会議への関心がジワリと高まりつつある感も否めない。緊張緩和などに繋がる動きがあるのだろうか。
テクニカルに見た場合、先週のドル/円は105.30-106.47円という1.2円ほどのレンジ取引。また、本日も引き続きレンジ内にとどまっている状況ながら、先で指摘したように東京終盤にかけてドル買いが強まっている。このあとさらに続伸し、106.47円というレンジ上限を抜けることができるか否かに注目だ。なお、仮に超えた場合には、6月高値109.85円を起点とした下げ幅の半値戻しに当たる107.00-05円がターゲットに。
本日この後は6月の米雇用動態調査が発表される予定となっているものの、正直市場筋からの関心はそれほど高くない。基本的に影響は限られそうだ。
ただ、別にエバンズ・シカゴ連銀総裁によるウェブイベント参加が実施される見込みで、発言内容には注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.60-106.40円。上方向は、先週末高値の106.05円レベルが最初の抵抗。上抜けると、移動平均の21日線が位置する106.20-25円や106.47円がターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値である105.70円前後を割り込めるか否かがまずは注視されている。下回った場合には105.30円が意識されそうだ。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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