トルコリラ円レポート月曜版
〇トルコ円週末にかけ14.21レベルまで大幅に下落
〇外貨準備に余裕のなくなったトルコで中銀がO/N金利を引き上げ逆に市場に愛想をつかされた形
〇今週は引き続きトルコリラ安が進みやすい状況に変化無し
〇大台14.00レベルをサポート14.90レベルをレジスタンスとする流れを予想
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが「いったん安値圏での踊り場形成を考え、14.90レベルをサポートに、前週高値には届かない15.30レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が14.21レベル、高値が15.27レベルとなり、サポートを下抜け、トルコリラが大幅安の動きとなりました。
先週のトルコリラは、5日東京市場までは週初の水準でまったく動かない状態が続いていたのですが、5日欧州市場から下げ始め翌6日NY市場では週間安値の14.21レベルまで大幅に下げる動きを見せました。主な要因は外貨準備の減少で介入資金に余裕が無いことから、トルコ中銀がオーバーナイト(翌日物)金利を引き上げたことで市場参加者に愛想をつかされたということです。
どの通貨でも売らせないために短期金利、特にオーバーナイト金利を引き上げるという行動を見る時があるのですが、これはある意味いよいよ打つ手が無くなったことを市場に知らせるようなものでその瞬間は良くてもすぐに足元を見られる動きとなるものです。今回のトルコリラもまさにその状態だったと言えそうですが、既にトルコリラの取引には規制がある中、高金利を払ってロールしなくてはならないトルコリラポジションが無かったのだと思います。
効果が無いままにその直後からトルコリラ売りが強まる結果となりました。おそらくトルコリラで売り持ちを持つ場合でもこうした金融市場でカバーする必要が無いよう、先渡しでトルコリラを行うとかNDFのような決済を伴わない先物ベースでの取引を行うとか、投機的な取引をする場合は陰に隠れて取引するものです。そして結局のところトルコリラを買ってた向きが売ることになったというところでしょう。
ただ、本邦個人投資家はこの程度の動きではスタンスは変わりませんので、5日以降にポジションが減っているということは無いようです。しかし、市場全体としては週後半の下げで2週間前に史上最安値を更新した対ドルのトルコリラに続いて、対円でも5月の安値を割り込み史上最安値を更新することとなりました。
トルコの当局の政策のまずさとテクニカルな材料が大きかったのですが、それ以外のトルコリラを取り囲む材料自体(EUとの対立など)に目立った変化はありませんので、地合いも悪いということになります。
テクニカルには史上最安値を更新しましたのでまず日足チャートで次のターゲットがどの水準となるのかから見ていきます。
長期的には下げ続けていますが、今年に入ってからの動きとしては3月下旬の戻り高値を起点とした逆N波動(ピンク)を考えることが出来、フィボナッチエクスパンションでターゲットを計算すると、78.6(61.8%の平方根)エクスパンションが14.04とほぼ次の大台14円と重なることが確認できます。さらにその下の100%エクスパンション13.44が最終的な手ーゲットとなりますが、今週ではないでしょう。
次に上記のターゲットを表示したいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
ピンクの水平線が次のターゲットとなる14.04、赤い水平線は5月につけたこれまでの史上最安値14.63です。さすがに5月安値をレジスタンスとするには近すぎますので3週前の高値圏から引いたレジスタンスライン(ピンク)が今週は15円を割り込んできますので。同ラインをレジスタンスと考えてよさそうです。
今週は引き続きトルコリラ安が進みやすい状況に変化は無いと考え、大台14.00レベルをサポートに、レジスタンスに近い14.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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