今週のレビュー(8/3−8/7)
〇トルコ円週末にかけ史上最安値の14.34まで急落
〇トルコ中銀が流動性を絞り翌日物スワップは金利換算で1,000%超へ上昇、トルコショック再来へ警戒感
〇外貨準備減少でトルコ中銀はトルコ買い介入余力低下
〇トルコリラ円軟調推移をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):14.15ー14.95
今週のトルコリラ円相場は、週初15.18円で寄り付いた後、翌8/4に、週間高値15.35円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線及び基準線に続伸を阻まれると、@トルコ国内おける新型コロナウイルスの感染拡大や、A米中対立激化懸念(リスク回避の新興国通貨売り・円買い)、Bトルコ経済の先行き不透明感、Cロシアや欧米諸国との関係悪化懸念(トルコの海底ガス油田調査)、D外貨準備の急減リスク(トルコリラ買い介入余力の低下)、Eトルコ株(BIST100)の急落、Fトルコリラショック再来への警戒感(トルコ当局が空売りを防止する目的で流動性を絞ったことから、トルコリラの翌日物スワップ金利は一時1000%超へ急騰)が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる14.34円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、結局14.60円前後での越週となっております。
来週の見通し(8/10−8/14)
トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、史上最安値となる14.34円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転やパーフェクトオーダー、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合の弱さ」を印象づけるチャート形状となっております。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス幅拡大、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念、E米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、F新型コロナ第2波懸念(トルコ国内の感染者数拡大)など、トルコリラ売りを想起させる材料は今尚山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「続落リスク」が警戒されます。新型コロナウイルスに端を発したトルコ経済の先行き不透明感、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス幅拡大(投資妙味の減退→国内から国外への資本流出活発化)、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力の低下)、米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(トルコショックが再来する中、想定外のボラティリティ拡大に要注意)。尚、来週は8/10に予定されているトルコ5月雇用統計、8/14のトルコ6月経常収支、トルコ6月鉱工業生産などに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):14.15ー14.95
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:山中 康司
2020.08.10
トルコリラ円レポート月曜版(20/8/10)
トルコの当局の政策のまずさとテクニカルな材料が大きかったのですが、それ以外のトルコリラを取り囲む材料自体に目立った変化はありません
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.08.07
トルコリラ円見通し トルコリラは対ドル及び対円で史上最安値を更新、対ユーロで大幅続落(20/8/7)
トルコリラ円は8月6日夜に14.32円の安値を付けて5月7日に付けた14.61円を割り込んで対円での史上最安値を更新した。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。