ユーロドルは高値圏での調整。ユーロ円の動きにも注意(週報8月第2週)

先週のユーロは、前週金曜から月曜にかけて大きく調整は入ったものの、ユーロ買いが根強く木曜には前週高値を上回る動きを見せました。

ユーロドルは高値圏での調整。ユーロ円の動きにも注意(週報8月第2週)

ユーロドルは高値圏での調整。ユーロ円の動きにも注意

〇ユーロドルユーロ買い意欲強く高値更新
〇ユーロの先行きに対する見方分かれる
〇今週は米国要因中心か
〇1.1680レベルをサポート、1.1900レベルをレジスタンスとする週を予想

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、前週金曜から月曜にかけて大きく調整は入ったものの、ユーロ買いが根強く木曜には前週高値を上回る動きを見せました。金融市場全般における米ドルからの逃避が為替市場ではユーロを中心とした欧州通貨に向かいやすい地合いが続いています。

米国と欧州の比較という面では新型コロナの感染者数増加の状況、米国議会で共和党と民主党で合意できない補助金問題(その後、大統領令で両党の間の金額での補助金継続したものの民主党は反発)など、米国内の悪材料を主としたドル売りですが、ここに至るまでのユーロ買いポジションの増加を考えると、高値警戒感が高まっていることも事実です。

ちなみに先週のコラムで紹介したシカゴ通貨先物のユーロ買いポジションは前週から更に増え、金曜に発表された4日時点のポジションは18万枚を超える枚数でユーロが始まった1999年以降で最大のユーロ買いポジションが前週から続いています。ポジション調整を経てまだここまで高水準の買いが続いているというのも驚きですが、ユーロ売りで見ると20万枚を超えていたこともあり、いつ調整が入ってもおかしくはない水準という程度かもしれません。

実際に金融機関のユーロに対する見方も分かれていて、ドル安(ユーロ高)は続くという見方もありますし、最近のドルは売られすぎているという見方もあって、1.20の大台を前にして方向感に迷いが出てきているという印象です。ただ、ポジション的にはシカゴの通貨先物は市場全体の縮図といえ、依然として多くの市場参加者は中長期的なユーロ高を見ているということになります。

今週は欧州材料としては4〜6月期の英国GDPとフランスGDP改定値など、連日経済指標はありますが、一連の重要イベントは経過したことで、方向性を決めるほどの材料とはなりません。どちらかというと、米国材料として来週の民主党と共和党の全国大会に向けての動きや、米中対立問題などのほうが注目されやすいと言えます。こうした材料が株式市場に与える影響が他の金融市場の方向感につながるきっかけになりそうですが、最近では必ずしも株式市場とドルの動きには相関が見られないことも多く、見るとすればユーロ円のほうが株式市場の上下と相関が高い(株高=ユーロ円上昇)と言えるでしょう。

また、株式市場と言えば先週6日にインテルから次期CPUファームを含む膨大な内部資料が漏洩しました。しかも、その資料は全体のまだ一部ということで捜査が始まったようですが、インテルの株価も若干下げている程度であまり反応は見られません。もっと大きな下げとなってハイテク株市場に影響が出てもおかしくなさそうなので、これもしばらくは警戒して見ておくべきでしょう。

テクニカルな観点から日足チャートをご覧ください。

ユーロドルは高値圏での調整。ユーロ円の動きにも注意

先週週足チャートで示した2020年安値を起点に上昇N波動(ピンク)によるフィボナッチ・エクスパンションの100%エクスパンション(均衡表のN計算値と同じ)が1.1954となっていて、同水準はターゲットとなりやすい水準ですし、底堅い動きが続く場合には同水準から大台の1.20までの動きも思った以上に早い展開となる可能性もあります。いずれにしても目先のターゲットは1.19台半ばから1.20です。

逆に下値の目途が難しく7月後半に3月高値(青の水平線)を上抜けてからのペースが速く近いところには先週安値(1.1696)しかサポートと言える水準はありません。同水準を下回ると3月高値1.1495が次のターゲットですが、いまの動きからはそこまでの下げは考えにくく、先週の安値を下回ったとしても大きく抜けることはないのではないかという値動きにしか見えません。最近は動きも大きくどちらに動きにしてももうしばらく調整を続けそうですから、1.1680レベルをサポートに1.1900レベルをレジスタンスとする週を見ておくことにします。

今週のコラム

ユーロ円のチャートを見て今後のターゲットについて見ておきましょう。

ユーロドルは高値圏での調整。ユーロ円の動きにも注意 2枚目の画像

ユーロ円は7月末に年初来高値を上抜けたことで上昇N波動(ピンク)の動きとなっていますが、この上昇N波動にフィボナッチ・エクスパンションをあてはめると先週の高値125.59は61.8%エクスパンションの125.49とほぼ一致する水準となっています。また次のターゲットとしては78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションの127.17ですが、同水準を見る時にはユーロドルも1.20の大台を見ているでしょう。

そしてサブチャートに示したのはダウ先物のチャートですが、本文にも書いた通りでユーロ円の動きとダウ先物の動きは比較的相関が高いと言えます。米国株式市場の動きがユーロ円に影響し、ユーロ円の動きがユーロドルにつながるという連鎖には当面注意というのは、このあたりの動きによるものです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

8月10日(月)
**:** 東京市場休場

8月11日(火)
08:01 英国7月小売売上高
15:00 英国7月失業率
18:00 ドイツ8月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏8月ZEW景況感

8月12日(水)
15:00 英国4〜6月期GDP速報値
15:00 英国6月貿易収支、鉱工業生産
18:00 ユーロ圏6月鉱工業生産

8月13日(木)
08:01 英国7月住宅価格
15:00 ドイツ7月CPI

8月14日(金)
15:45 フランス7月CPI
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP改定値
18:00 ユーロ圏6月貿易収支

前週のユーロレンジ

ユーロドルは高値圏での調整。ユーロ円の動きにも注意 3枚目の画像

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月3日(月)
ユーロドルは、上下しながらも前週末の調整の動きが続き、NY市場では1.1696レベルと先週月曜の水準へと下押ししましたが、1.17割れでは買いたい向きも残っていたことから引けにかけては1.17台半ばまで戻す動きとなりました。

8月4日(火)
ユーロドルは欧州市場前場までは月曜NY市場以降の買い戻しが続き、月曜高値を上回る動きから一時1.1806レベルをつけていました。しかし1.18台乗せ直後に欧州通貨全般に売りが入りNY市場前場には1.1721レベルへと下押し。その後は再びユーロ買い戻しの動きとなり1.18前後の水準まで戻して引けました。

8月5日(水)
ドル円は東京市場では107.50レベルに買いが見られ底堅い動きを続けていました。しかしユーロドルではユーロ買い・ドル売りが続く中、欧州市場に入りユーロの動きに引っ張られる形でドル円も下落、弱いADP全国雇用者数の数字も重なって一時105.32レベルまで水準を下げましたが、引けにかけては再び下げ始める前の水準へと戻しました。
いっぽうユーロドルは東京市場からユーロ買いの動きが強く、欧州市場に入りユーロ円が先週高値を上抜けたことからユーロドルも一段高となりました。NY市場では一時1.1905の高値をつけたものの引けにかけてはやや押す動きとなりました。

8月6日(木)
ユーロドルは東京市場では動かなかったものの欧州市場序盤にポンド買いの動きとともに上昇、一時1.1916レベルと前日高値を更新したものの反落。NY市場朝方には1.1817レベルの安値まで下押ししましたが、後場には株高の動きがユーロ円の買いにつながりユーロドルも1.18台後半に買い戻されての引けとなりました。

8月7日(金)
ユーロは、前日NY市場で上げて以降は上値の重たい流れが続いていましたが、東京昼前に対ドル対円ともに売りが強まり前日NY朝方の水準へと下押ししました。その後はNY市場までもみあいを続けていたものの、予想よりも強い雇用統計を受けたドル買いの動きから下押しが入り、ユーロドルは1.1756レベル、ユーロ円は124.46レベルまで水準を下げた後にやや戻して引けました。

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