コロナ第2波警戒のなか米経済指標にも注意(6/30夕)

30日の東京市場は、ドルが小高い。値幅そのものは30ポイントにも満たなかったが、「寄り付き安・大引け高」に近い動きで、見た目以上にドルが強い印象だった。

コロナ第2波警戒のなか米経済指標にも注意(6/30夕)

コロナ第2波警戒のなか米経済指標にも注意

〇ドル円107円台後半を小高く推移
〇「香港国家安全法制」の可決により米中対立激化の恐れ
〇米国内の新型コロナの感染「第2波」と経済への影響に対する懸念高まる
〇ドル円は昨日過去2週間上値を阻んできた抵抗107.63上抜けリスクはドル高方向に
〇欧米時間のドル円予想レンジ107.20-108.10

<< 東京市場の動き >>

30日の東京市場は、ドルが小高い。値幅そのものは30ポイントにも満たなかったが、「寄り付き安・大引け高」に近い動きで、見た目以上にドルが強い印象だった。

ドル/円は107.55円前後で寄り付いたのち、日中安値の107.50円レベルを示現。以降は、緩やかな上昇をたどると、107.75-80円まで値を上げている。ただ、日経平均株価が終値ベースで300円近い上昇をたどった反面、NYダウ先物は弱含みと股裂き商状で材料視されにくい状況だった。16時現在では日中高値圏の107.75円で推移、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「米中の対立」と「米国のコロナ第2波」について。
前者は、米国務長官が「香港の自治を破壊し人権を侵害した」ことを理由に、共産党幹部の入国を制限すると発表したことへの対抗措置として、中国外務省が「香港情勢介入の米当局者のビザ発行を禁止する方針」を早々に打ち出したことが話題に。また、米商務長官が「香港の優遇措置を取り消す」と発言するなか、事前に懸念されていた通り、中国の全人代常務委は開催最終日にあたる本日30日に「香港国家安全法制」を可決している。米国からの度重なる警告にもかかわらず、強行可決したことで、両国の対立がさらに激しさを増す危険性も改めて懸念されていた。

対して後者は、WHOが世界情勢について、「パンデミックは加速、終息には程遠い」と指摘。さらに、現在感染者数世界2位のブラジルに対し、「依然大きな課題に直面している」としたうえで、連邦・州政府間の連携を強化するよう求めていた。そうしたなか、米国でもFRB議長から、早期に規制を緩和した南部や西部州を中心に感染が再び拡大しており、経済への影響に対する懸念が表明されたほか、CNNが報じた「経済再開のプロセスを停止したり後退させたりした州が、少なくとも16州に達した」とのニュースも話題に。

<< 欧米市場の見通し >>

各国で新型コロナの感染「第2波」への懸念が高まっており、先で指摘したCNN報道のように、米国では「経済活動の一時停止」などに踏み切る州も観測されはじめている。そうした状況下、米国は今週末に「独立記念日」を迎えることになり、一部地域ではお祭りムードが高まり、人が密集するとクラスターが発生するのではないかという懸念の声も聞かれた。昨日発表された米経済指標の内容が良好で、好感したドル買いが足もとは優勢ながら、状況をいま少し見極めたいところだ。

材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒だろう。ただ、月末・四半期末ということでの駆け込み的な需給要因や、米国以外では「数百億ポンドの財政出動を約束する」と期待されている英国情勢、ジョンソン首相の発表を波乱要因として警戒する声も聞かれている。

テクニカルに見た場合、過去2週間程度ドルの上値を阻んできた抵抗107.63円を、昨日NYで上抜けてきた。クローズベースでは押し戻されたが、その後再び上回ったレベルでの推移だ。チャートを素直に見ればリスクはドル高方向にバイアスがかかる。
ちなみに、高値109.85円を起点とした下げ幅のフィボナッチはというと、38.2%戻しに当たる107円半ばを超えてきたことで、次のターゲットは半値戻しの107.95円。それを超えると61.8%戻し108.40円となりそうだ。

本日、6月のシカゴ購買部協会景気指数や同6月消費者信頼感指数といった米経済指標が発表される予定となっている。昨日発表された米経済指標が良好だったこともあり、本日の指標に対しても期待感は強い。好数字が続けば、ドル高のさらなる後押しに。
また、ウィリアムズNY連銀総裁のオンライン講演や、ムニューシン米財務長官とパウエルFRB議長による下院金融委員会公聴会での証言にも注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは107.20-108.10円。上方向は、昨日示現した高値の107.88円の攻防にまずは注視。超えれば、心理抵抗の108円レベル、そして移動平均の200日線も位置する108.40円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日早朝に記録した107円半ば、昨日まで抵抗として寄与した107.40円前後などが今度は逆にサポート。底堅いイメージだが、下回ると107円前後が意識されそうだ。

コロナ第2波警戒のなか米経済指標にも注意

(ドル円日足)

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