ドル円、リスク回避ムードの後退を背景に節目108円を試す展開
〇ドル円海外時間に107.99まで急伸
〇良好な6月消費者信頼感指数、フロリダでの感染者増加レベル鈍化、財務長官の追加救済策発言等が要因
〇ユーロドルは一時1.12割れ
〇ドル円、テクニカルに持ち直しの動き見られるも、ファンダメンタルズの弱さが続伸を阻むシナリオか
〇本日の予想レンジ:107.40ー108.40
海外時間の為替概況
30日(火)の外国為替市場でドル円は急伸。@堅調な株式相場を背景とした投資家心理の改善期待(リスク選好の円売り)や、A米6月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果98.1、予想91.1)の良好な結果、B月末ロンドンフィキシングにかけてのドル買い・円売り、C米フロリダ州における感染者数の増加ペース鈍化(リスク回避ムード後退)、Dムニューシン米財務長官による「7月末までに上院と下院が協力し追加救済策を進める」との発言、E米長期金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、6/9以来となる高値107.99まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、107.94近辺で底堅い動きを続けております。
30日(火)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@ユーロ圏6月消費者物価指数における上昇率鈍化や、A米長期金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方には、一時1.1191まで下落する場面も見られました。しかし、6/25に記録した直近安値1.1190をバックに下げ渋ると、B株高・原油高を背景としたリスク選好ムード(クロス円上昇→ユーロドル連れ高)や、C月末ロンドンフィキシングにかけてのユーロ買い圧力、DバルニエEU主席交渉官による「英国との通商合意は可能。合意に向けて努力している」との楽観的な発言(EUと英国が通商交渉で合意するとの期待感→英ポンド急伸→ユーロドル連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間4時50分現在)では、1.1235近辺まで持ち直す動きとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、6/23に記録した約1カ月半ぶり安値106.07をボトムに反発に転じると、昨日は約3週間ぶり高値となる107.99まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上下限を上抜けするなど、テクニカル的にみて、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C世界的な貿易戦争再開リスク(米大統領選挙への不確実性が増しつつあり、トランプ米政権による強硬外交が強まる恐れあり)、D朝鮮半島や中東、中印、香港、メキシコを巡る地政学的リスク、E新型コロナの第2波リスク(世界的に外出規制が再開する恐れ)、F日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)、G全米各地で続く人種差別抗議デモなど、ドル円相場の下落を想起させる材料が沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に持ち直しの動きが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。欧米株や米長期金利の動向や、新型コロナ第2波リスクを巡るヘッドライン、日米の主要経済指標(日銀短観や、米6月ADP雇用統計、米6月ISM製造業景況指数など。日銀短観においては投資計画項目に注視)、米中貿易摩擦に関する続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(108.40近辺に控える200日線をバックに戻り売りが強まる展開を想定)。
本日の予想レンジ:107.40ー108.40
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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