一旦下げ止まったが、ドル再下落にも注意
〇12日の東京市場でドル円は小じっかり
〇未明の安値を攻めきれず107円台で欧州時間迎える
〇パウエルFRB議長が発した弱気見通しにトランプ大統領反発
〇ドル円は5月安値105.99からの上昇の8割を戻し、全戻しも視野に
〇本日も為替は株価動向次第、欧米時間のドル円予想レンジ106.70-107.70
<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は、終わってみればドル小じっかり。一時は106.60円を割り込み、前日記録した戻り安値に接近したが攻め切れなかった。
ドル/円は106.85-90円で寄り付いたのち、ドル売りが先行。株価の動きなどをにらみつつ、じりじりと下値を試す展開となるなか、日中安値である106.55-60円を示現し、前日記録した戻り安値に面合わせした。しかし、そののちはドル買い戻しが逆に優勢となり、107円台を回復するとさらに続伸。107.30-35円まで上昇し、16時現在では107.10-15円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米景気見通し」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、現地時間10日のFOMCと絡め、パウエルFRB議長が発した「弱気見通し」がトランプ米大統領の癇に障ったようだ。トランプ氏は「FRBはしばしば間違える。わたしの方が彼らよりずっとうまくやれる」としたうえで、「2021年は米経済が史上最高の年になる」などと従来からの強気見通しを再び強調していた。なお、そうしたなかCNBCは、米財務長官が、新型コロナウイルス感染の第2波が起きたとしても、米国経済を再び閉鎖するべきではないとの見方を示したと報じている。
対して後者は、聯合ニュースが、動画投稿サイト「ユーチューブ」で北朝鮮の対外宣伝メディア「朝鮮の今日」のアカウントが規約違反により停止されたことが分かったと報じるなか、北朝鮮が「米国との関係はいまや絶望的な状況。両国の関係改善は見込めない」との見解を示したとされ物議を醸す。さらに、「北朝鮮外相、核・ミサイル戦力強化を進める方針を強調」、「金委員長、『ロシアの日』を受けプーチン大統領に祝電送る」などといった報道も。米国との融和どころか対立が深まりつつある。
<< 欧米市場の見通し >>
5月安値105.99円を起点に、109.85円まで一時上昇していたが、失速すると昨日は106.58円までドル安が進行した。ちなみに、率に換算すると上昇の8割以上も戻してきた計算で、フィボナッチの観点では100%戻しの可能性も視界内に捉えられている。本日東京の動きをみると、目先は取り敢えず下げ止まった感もあるが、予断は許さないだろう。一方、昨日筆者も懸念を発した米株は、実際にNY市場でNYダウが史上4番目の下げ幅を記録するという大きな下落をたどっている。本日も、為替の動きについては米株の動きがカギを握ることになりそうだ。
材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「全米に広がるデモ活動」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と、「全米に広がるデモ活動」の動きになる。また、それとは別に金利情勢を含めた「米ファンダメンタルズ要因」と、一旦落ち着いた感のあった「新型コロナの感染再拡大懸念」にも注意を払いたい。なお、後者については「デモ活動の拡大」と絡めた合わせ技、クラスターの発生も懸念されているという。
テクニカルに見た場合、再三再四指摘しているドル/円の「105.99円を中心とした逆ヘッド&ショルダー」あるいは「シンメトリー(左右対称形)」だが、まだ辛うじて維持されている。ただ、ここからさらに続落し、たとえばヘッドにあたる105.99円を下回ったりすれば、その見方は誤っていたと言うことになろう。いずれにしても、ドルの下値は引き続き正念場に。
本日、5月の輸出入物価指数や6月のミシガン大学消費者信頼感指数速報といった米経済指標が発表される予定となっている。なかでも、とくに後者の内容には注意を払いたい。それを除くと、決まり物としての材料は乏しいが、突発的な要人によるテレビ会談なども最近は少なくないだけに、警戒だけは怠らないようにしたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.70-107.70円。東京高値にあたる107.30-35円が最初の抵抗。上抜ければ、移動平均の25日線などが位置する107.70円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、少し遠くなった感もあるが、強いサポートとなると、直近だけで2度下げ止まった106.55-60円。ただ、短期的には107円も弱いサポートとして意識され始めている。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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