来週の為替相場見通し:『新型コロナ第2波リスクに要注意。リスク回避ムードは継続か』(6/13朝)

今週のドル円相場は、週初109.68で寄り付いた後、早々に高値109.70を記録しました。

来週の為替相場見通し:『新型コロナ第2波リスクに要注意。リスク回避ムードは継続か』(6/13朝)

新型コロナ第2波リスクに要注意。リスク回避ムードは継続か

〇ドル円は110円トライに再度失敗、下落に転じる
〇FOMCでは2022年末までのゼロ金利継続方針が示され、YCC導入是非について継続検討
〇米株及び原油先物価格の急反落等が重石となり一時106.57まで急落、107.39まで反発して越週
〇ユーロドルはFOMC後のドル売りに1.1423まで急伸
〇しかしその後株価下落でリスク回避の動きが強まり1.1213まで急落、1.1258前後での越週
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも下落リスクが警戒される
〇来週の予想レンジドル円105.50ー108.50、ユーロドル1.1050−1.1350 

今週のレビュー(6/8−6/12)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初109.68で寄り付いた後、早々に高値109.70を記録しました。しかし、先週末金曜日に記録した高値109.86をバックに伸び悩むと、@110円トライ失敗に伴う短期筋の見切り売りや、A米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にしたポジション調整(ドル売り)、B米長期金利の低下に伴うドル売り圧力、C200日移動平均線を割り込んだことに伴う失望感(俄かロングのロスカット誘発)、D米FOMC(米連邦公開市場委員会)で2022年末までのゼロ金利継続方針が示されたこと(ドットチャートで全17名の内15名が2022年末までのゼロ金利政策維持を示唆)、EパウエルFRB議長より「YCC導入是非についてはまだ結論が出ていない」「今後の理事会で議論を継続する」と将来的なYCC導入の可能性を滲ませる発言が見られたこと、

F全米大規模デモを嫌気したドル売り圧力、G米国における感染者数の再拡大(第2波リスクへの警戒感)、H米株及び原油先物価格の急反落(先週までのリスクオン相場の巻き戻し→クロス円売り→ドル円連れ安の流れ)等が重石となり、週後半にかけては、一時約1ヵ月ぶり安値となる106.57まで急落しました。しかし、短期間で急激に下げ過ぎた反動や、上記Hがリスク回避の円買いから資産現金化のドル買いに波及したこと等が支援材料となると、引けにかけて幾分持ち直し、結局107.39近辺まで反発しての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1289で寄り付いた後、@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株および原油先物価格の上昇を受けた投資家心理の改善期待(リスク選好のドル売り・円売り)、B欧州委員会によるEU復興基金への期待感(財政出動期待)、C全米での大規模デモを嫌気したドル売り圧力、D米FOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見でパウエルFRB議長が「YCC導入是非についてはまだ結論が出ていない」「今後の理事会で議論を継続する」と将来的なYCC導入の可能性を滲ませたこと等が支援材料となり、週央にかけては、一時3/10以来、約3ヵ月ぶり高値となる1.1423まで急伸しました。しかし、E新型コロナ第2波リスクの高まりから、市場がリスク回避の動きを強めると、F米株および原油先物価格の急落を受けた資産現金化のドル買い需要が上値を抑え、週末にかけては、約1週間ぶり安値1.1213まで急落し、結局1.1258前後での越週となっております。

来週の見通し(6/15−6/19)

<ドル円相場>
ドル円は、先週末金曜日(6/5)に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、6/11には一時106.58まで急落しました(わずか1週間で3.28円の急落劇)。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線を下抜けした他、バンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態)や一目均衡表三役好転も終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの悪さ」を強く印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策における緩和余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きな米国=イールドカーブ・コントロール導入の可能性もあり)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(リスク回避のドル買い・円買いの再燃リスク)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク(米国フロリダ州などで感染再拡大の兆候)、E日本経済の先行き不透明感(実質金利上昇→円高)、F全米で続く大規模デモなど、ドル円の下落を想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。世界的な外出規制緩和に伴う景気回復期待は既に消化済みであり、ここから先は「第2波リスク到来→リスクオンの巻き戻し」の流れに注意が必要でしょう。米中を巡るヘッドラインや、米中の主要経済指標の結果、6/15ー6/16に予定されている日銀金融政策決定会合(第二次補正予算の影響を見極めるステージとなる為、政策は据え置かれる公算大)、6/18−6/19に開催されるEU首脳会議(EU復興基金への期待感後退→リスク回避ムード再燃の流れに警戒)、欧米株や米長期金利の動向、米国における感染者拡大の続報を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(クロス円下落→ドル円連れ安の流れがメインシナリオ)。

来週の予想レンジ(USDJPY):105.50ー108.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、6/10に記録した約3ヵ月ぶり高値1.1423をトップに反落に転じると、週末(6/12)にかけて、1.1213まで急落しました。この間、一目均衡表転換線を下抜けした他、約2週間に亘り継続したバンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態=強い上昇トレンドを示唆)も終了するなど、テクニカル的にみて、やや「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ユーロ圏経済及び物価の先行き不透明感や、Aドイツ連邦憲法裁判所がECBの公的部門証券買い取りプログラムの一部が違憲であるとの見解を示していること、B英合意なき離脱リスクの再燃リスク(英国とEUの移行期間の延長判断が6月末に期限を迎える)、C米中対立激化懸念(リスク回避のドル買い・円買いの再燃リスク)、D朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、E新型コロナの第2波リスク(米国フロリダ州などで感染再拡大の兆候)、FEU復興基金承認へのハードルの高さ(オランダ・オーストリア・デンマーク・スウェーデンが反対を表明しており、6/18−6/19に開催されるEU首脳会議に向けて財政出動期待が後退する恐れあり)など、ユーロドルの上値を抑制する材料は今尚沢山残っている状況です。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。新型コロナウイルスに係るヘッドライン(外出規制緩和後のユーロ圏の感染者数の動向など)や、欧米株及び欧米長期金利の動向(違和感のあるリスクオン相場の更なる巻き戻し→資産現金化のドル買いへの波及の恐れ)、6/18−6/19に開催されるEU首脳会議(EU復興基金に進展が見られるか否か)の結果を睨みながらも、当方ではユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(新型コロナ第2波リスクへの警戒感と欧州における財政出動期待の後退が上値を抑える展開)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1050−1.1350

注:ポイント要約は編集部

新型コロナ第2波リスクに要注意。リスク回避ムードは継続か

ドル円日足

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