もみあい継続も、リスクオフは円高を想定(週報4月第3週)

先週のドル円は、週前半はドル売り(円買い)で後半はその買い戻しという動きとなりました。

もみあい継続も、リスクオフは円高を想定(週報4月第3週)

もみあい継続も、リスクオフは円高を想定

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半はドル売り(円買い)で後半はその買い戻しという動きとなりました。週を通して値幅も少ない状況でしたが、ドル円は4月3日以降1円未満のレンジが半月ほど続いていますので、コロナウイルスは相変わらずではあるものの、各国協調の金融政策と景気刺激策によって、荒れ相場は取りあえず落ち着いたというところです。

株式市場は金融緩和がこのまま続き、コロナウイルスが落ち着けば景気はV字回復するという楽観的な空気が株高地合いとしていますが、NYダウを例に挙げると2月の史上最高値と急落後安値との半値戻し以上の水準に上げてきています。コロナ特需と言われる銘柄もありますが、実体経済の状況は直近の経済指標だけから判断しても過去に例を見ないほどの悪い数字となっていますし、コロナ後が見通せないという業種も多い状態です。これは米国だけでなく、欧州や日本でも同様です。

また先週も取り上げた原油市場ですが、NY原油はOPECプラスとG20による協調減産決定後も下げ続けて、今朝の早朝市場で17.11ドルまで下げています。これは2001年11月の17.12ドルを割り込んでいますから、その下の目立ったサポートは1998年安値10.65ドル、1986年安値9.75ドルと大台10ドル程度しかありません。

原油市場は投機の動きもありますが、圧倒的に実需が価格を形成しますので、人と物の移動が戻り経済状況が回復してこないと供給余剰で下げ続ける可能性が高く、そうであると一部の特需銘柄を除いた株価は重くなり、リスクオフの流れが続きやすいと考えられます。問題は、このリスクオフで為替市場がどうなのかという点です。先週も為替の周辺市場がリスクオフに動いているのではということを書きましたが、為替市場ではどう取るか見方が分かれています。

一時期は資金調達難によるドル買いが目立ちましたが、その部分が解消されたことを確実視するとやはり従来型のリスクオフで株安の時にはドル安という動きがメインシナリオであると思います。最悪の経済状況下では安全資産は米ドルだという見方もあるようですが、現在の世界で最も感染者が多い米国の状況を見ていると、現状はドルを安全資産と見ることには抵抗があります。

仮にこの世の中が何年も続くというのではあれば、それこそ恐慌に繋がってしまいますが、その時にはシナリオ全体を組み直す必要があり、そこまでの悲観は現実離れしています。今は早ければ夏にもコロナウイルスを撃退し、多少時間はかかっても景気回復への道を歩むというのが最もありそうな動きですしコンセンサスもそうであると思います。そうであれば、コロナ前の動きを考えて素直にリスクオフは円高という見方が妥当と思います。

さて、今週は木曜に欧州主要国と米国の製造業・サービス業PMI速報値が発表されますが、現状の実体経済を判断するために注目される数字です。週前半はこれまで同様にもみあいを継続しやすいと見ていますが、一連のPMIが前回程度(と言っても悪いですが)で収まるのか、あるいは更に悪化するのか、そのあたりで4〜6月期の業界のマインドを参考にするというところでしょうか。

ドル円(日足)チャート

次にテクニカルな観点です。日足チャートをご覧ください。

大きくは3月のレンジで中期的なレンジは見てしまいましたし、短期的にも4月のレンジが当面の上下になっていくであろうというチャートです。その中で、さらに目先の動きを考えるならば、4月高値109.39とその後の安値106.93からターゲットを計算することとなります。安値は106.93で良さそうですが、上値としては61.8%戻しの108.45という水準がターゲットとなります。

今週は上記の水準を参考にして、107.00レベルをサポートに、108.50 レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

もみあい継続も、リスクオフは円高を想定

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月20日(月)
07:45 NZ1〜3月期CPI
08:01 英国4月住宅価格
15:00 ドイツ3月PPI
17:00 ユーロ圏2月経常収支
18:00 ユーロ圏2月貿易収支

4月21日(火)
10:30 豪中銀会合議事要旨公表
14:00 豪中銀総裁講演
15:00 英国3月雇用統計
18:00 ドイツ4月景況感
23:00 米国3月中古住宅販売

4月22日(水)
15:00 英国3月CPI・PPI
15:45 フランス4月企業景況感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
22:00 米国2月住宅価格指数
23:00 ユーロ圏4月消費者信頼感速報値
23:30 週間原油在庫統計

4月23日(木)
**:** トルコ市場休場
15:00 ドイツ5月GFK消費者信頼感
16:15 フランス4月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ4月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国4月製造業・サービス業PMI速報値
21:30 米国新規失業保険申請数
22:45 米国4月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国3月新築住宅販売

4月24日(金)
08:01 英国4月GFK消費者信頼感
15:00 英国3月小売売上高
17:00 ドイツ4月IFO企業景況感
21:30 米国3月耐久財受注
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月13日(月)
週明けの市場は原油価格下落が株式市場、為替市場へと波及しリスクオフの円買いが先行する動きとなりました。108円を割り込んでからもじり安の展開のまま海外市場に入りましたが、欧州市場がイースターで休場ということもあってNY市場まではやや買い戻しが入っていました。NY市場ではダウの下げとともに改めて円買いの動きとなり107.50レベルまで下値を拡大後やや戻して引けました。

4月14日(火)
東京市場では底堅い日経平均株価とともにドル円も底堅い動きを続けていましたが、欧州市場に入り日経先物に調整の売りが入る動きとともにじり安となりました。前日安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながら一段安、NY後場には一時107円割れとなり、若干戻しての引けとなりました。

4月15日(水)
東京市場では若干上値が重たい程度で動意薄でしたが、欧州市場に入りユーロ売りが先行する中でドル円もドル買いに追随する展開となりました。NY市場に入り一段のユーロ売りとともにドル円も107.87レベルの高値をつけましたが、その後急速に戻す動きとともにドル円も107円台前半へ押して引けました。

4月16日(木)
ドル円は東京の朝方からドル買いが先行し昼過ぎには108.08レベルの高値をつけました。機関投資家から大口の買いが出たという見方がされていましたが、後場以降は行って来いの動きとなり、海外市場に移ってからは株価の上値も重たくなったことからNY前場には107.17レベルへと下押し。引けにかけてはダウが反発したこともあり107円台後半へと買い戻されて引けました。

4月17日(金)
ドル円は早朝こそ買いが強まった株価指数先物の動きに追随してドル買いの動きとなりましたが、東京市場が始まり株価の上値が重くなる動きとともにドル売りの流れとなりました。108円台から107.65レベルまで下押し後は若干の買い戻しも見られたものの基本的にもみあい、NY前場には株安の動きとともに改めてドル売りの動きとなり、107.30レベルまで下押し後にやや戻して引けました。

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