金融市場、米などの経済活動再開の行方注視(週報4月第3週)

先週のドル/円は、ドルがやや弱含み。一時は107円を割り込み、1日に記録した4月の月間安値106.93円に面合わせする局面も観測されていた。

金融市場、米などの経済活動再開の行方注視(週報4月第3週)

金融市場、米などの経済活動再開の行方注視

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドルがやや弱含み。一時は107円を割り込み、1日に記録した4月の月間安値106.93円に面合わせする局面も観測されていた。

前週末、新型コロナウイルスについては、一時集中治療室に入っていた「ジョンソン英首相が退院」とのニュースが伝えられたほか、米ジョンズ・ホプキンズ大学が「米国における死者数が2万人超となり、イタリアを抜き世界最多になった」との集計結果を発表している。(20日時点のアメリカでの死者数は3万人を超えている。)また、別にOPECプラスやG20エネルギー相会合に関する話題が幾つか取り沙汰されていた。
そうしたなか、寄り付いたドル/円は先週末のNYクローズと大差ない108.35-40円。その後、示現した108.50円レベルが週間高値となり、以降週間を通してドルは冴えない値動きとなった。途中、ドル売りがかさみ107円を割り込み、106.93円の月間安値に面合わせするも下回れず。下値トライが失敗したとの見方もあり、週末にかけては107円台を中心とした一進一退をたどり、週末NYは107円半ばで取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナの感染拡大」と「原油安打開に向けた動き」について。
前者は、感染拡大がピークを越えたと言った見方から外出制限などを緩和する国が出始めた反面、引き続き厳しい措置を取り続ける先もあり、対応にかなりの差異が見られはじめたことが話題に。たとえば、制限緩和に動き始めた先はスペインやオーストリアのほか、米国の一部の州など。それに対して、日本や英国、フランス、トルコ、ロシアなどは厳しいスタンスを維持、国民にいま少しの辛抱を強いていた。なお、それとは別に、新型コロナの影響で発表された中国の1-3月GDPが公式統計以来初のマイナス(▲6.8%)になったことも、大きな話題に。

対して後者は、前週末にかけて実施されたOPECプラスは、協議延長にまでもつれ込むなど紛糾したのち、結局「970万バレルの協調減産で最終合意」となった。しかし、内容には不透明なところが残ったうえ、市場筋のあいだでは物足りなさを指摘する声も少なくない。結局、価格を強く押し上げるほどの要因とはならなかったどころか、中国の需要減観測などもあり、NY原油先物は逆に週末にかけ一段安の展開をたどっている。

<< 今週の見通し >>

世界的に見て新型コロナの感染拡大は続いているものの、先でも指摘したように一部の国では外出制限などを緩和、経済活動を再開する国が出始めている。ただ、個人的には「第2波の襲来」を懸念しており、まだまだ予断を許さない。また、先週発表された米経済指標に加え、金融機関を中心とした企業決算もおおむね冴えなかっただけでなく、中国の経済指標、とくにGDPは目を覆いたくなるほどの惨状を示していた。改めて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたダメージの深さが浮き彫りになった格好と言えよう。しかし、今回の「コロナショック」は、米中のみならず日欧露韓などを含めても「勝者はどこにもいない」戦いだけに、果たしてどの通貨が「買い進められる」のかが判然としない。いま少し状況を見極めたいところだ。

材料的に見た場合、「貿易を中心とした米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「原油情勢」など、注目要因は依然として山積みとなっている。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題で、楽観論と悲観論が入り混じるなか、経済活動再開に向けた動きや、実体経済への影響ということで発表される企業決算などにも注意を払いたい。また、先週末に掛けては「米バイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズが開発した抗ウイルス薬『レムデシビル』」を中心に、治療薬に対する期待感が急速に高まり、マーケットの不安感を打ち消していた感もあっただけに、今週も続報には要注意。

テクニカルに見た場合、ドルは先週一時月間安値106.93円に面合わせするも割り込めず。下値トライは失敗に終わった格好にある。そんなドル/円は、今月以降ザックリ言って106.90-109.40円という2.5円レンジ。今週も、まずは足もと形成しているレンジを上下どちらに放れるのか、その方向性を注視したい。
ちなみに、上方向ならまずは110円、そして110.55-60円がターゲットに。対して、下方向の場合には106円半ば、105.20円レベルなどが意識されそうだ。

今週、4月のカンザスシティ連銀製造業活動指数や同ミシガン大消費者信頼感指数確報値といった米経済指標が幾つも発表される予定となっている。先でも触れたように、先週発表された米経済指標はおおむね冴えず、雇用を中心とした米景気の落ち込みを顕在化しているものが少なくない。今週も波乱要因として注意を払いたい。また、同様に、今週も発表される米企業決算の内容には一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.50-109.00円。ドル高・円安については、足もとで下回って推移している移動平均の200日線が位置する108.30円レベルが最初の抵抗。上抜けても、移動平均の25日線や75日線は108円台に位置しており、それを超えたのちようやく109円台乗せが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週トライするも割り込めなかった月間安値106.93円をめぐる攻防にまず注目。割り込むようだと、フィボナッチで見たテクニカルポイントの106円半ばや、少し遠いが105.20円レベルなどがターゲットに。

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