<< 東京市場の動き >>
週明け30日の東京市場は、ドルが小高い。一時下値を試す展開となったが、失敗に終わると結果は「行って来い」どころか逆行高に。
週末に記者会見をした安倍首相が「リーマン・ショック時を上回るかつてない規模の対策を取りまとめる」としたうえで、過去最大56兆円超の対策を関係閣僚に指示。また、「北朝鮮が日本海に向け飛翔体を発射」、「日本政府は米中韓全土からの外国人を入国拒否へ」−−などと報じられるなか、週明けを迎えている。
ドル/円は、先週末のNYクローズよりドル安・円高の107.65円前後で寄り付いたのち、じり高推移となり107.95円レベルを示現。しかし108円にはとどかず、その後は株価の動きをにらみつつ下落に転じると107.10-15円まで値を下げた。ただ、日米株価が下げ渋ったことなどを材料に流れが反転。徐々にドル買い・円売りが優勢になると、結局「行って来い」の展開に。さらに、早朝高値では上げ止まらず、108円を抜けると108.20円レベルまで続伸。16時時点では108.10-15円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、それとは別に、先週末ムーディーズから格下げされた南アフリカのランドがいきなりの安寄り。対円では史上最安値となる5円台で寄り付き、その後も低位揉み合いに。
一方、材料的に注視されていたものは、新型コロナをめぐる「米国の状況」と「欧州の状況」について。
前者については、26日に中国を上回り世界最多の感染者数を記録した米国が、週末に感染者数が10万人を突破。しかも、うち半数程度をNY州が占めていることが明らかになったことで、トランプ米大統領が「NY州の封鎖検討」と発言し一時物議を醸す局面も。ところが、NY州のクオモ知事などからの猛反対もあり、のちに撤回。典型的な朝令暮改となった。なお、トランプ氏は会見で「ここ2週間ほどが感染拡大による死者のピークに」、「生命と経済を守るために必要なことをすべて行う用意あり」と述べている。
対して後者は、世界最悪の死者数を数えるイタリアにおいて、同国政府が「死者数1万人を超えた」と発表。また同2位、6600人の死者となったスペインは「30日から経済活動を原則停止」、さらにはフランスも「全土の外出制限を少なくとも4月15日まで延長」と発表されていた。そうした厳しい環境下、時事通信が報じた「イタリアが発行を求めたコロナ債めぐりEUの南北分裂深刻化」といった内容が思惑を呼んでいた。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナウイルスをめぐる金融市場の混乱は、まだ終息のメドが立たない。株価や為替もさることながら、債券(金利)や原油価格などもいまだ波乱含みの様相だ。たとえば、回避されたというより「失敗に終わった」という言い方の方が適切だと思われる「米NYの封鎖」や、日本における「東京のロックダウン(都市封鎖)」などが今後現実のものとなれば、相場は再びかなりの乱高下をたどっても不思議はないだろう。関連のニュースには引き続き注意を払いたい。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは引き続き「新型コロナウイルス」絡みの話題だ。また、今週は週末に発表される3月の米雇用統計を中心に、米経済指標の内容が週間を通して、相場の波乱要因か。
テクニカル面からすると、先週24日NYに示現したドル高値111.71円を起点に時間足などでは右肩下がりの値動きをたどってきたが、それがようやく底入れした感もうかがえる。下値リスクそのものはくすぶるものの、短期的にはドルの戻り局面か。ただ、移動平均では200日線が位置する108.30-40円がドルの戻りを阻むとの見方も聞かれており、底入れを確認するためにも出来るだけ早いタイミングで上抜けたいところだろう。
本日は2月の中古住宅販売成約指数や3月のダラス連銀製造業活動指数といった米経済指標が発表される予定となっている。ちなみに、後者は3月分のデータということで、予想値はマイナス10前後。前月のプラス1.2から、かなり悪化する見通しだ。本丸は週末の米雇用統計だが、本日も発表される米経済指標には一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.50-109.00円。ドル高・円安方向は、先でも取り上げた200日線が位置する108.30-40円がまず目先の抵抗に。上抜ければ、75日線などが位置する109円前半がターゲット。
対するドル安・円高方向は、107円半ばレベルに位置するテクニカルポイントが意識されそうだが、下回ると東京安値の107.10-15円を目指す展開か。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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